26話 ナンパ野郎に制裁を
それから1週間は身近な人に挨拶に行って生存報告をしたりして学校には行けていない。
市役所に行って色々説明もした。
何故か記者の人がいたが多分俺の事を取材に来たのだろう。亜里奈から聞いた感じ最初のゴブリン戦の映像が全国民に流れたらしいから。
ネットで見てみたら名前までは流出してなかったけど顔とかが載ってたから多分何かしらの情報を得てここまで来たのだろう。
話しかけられたが「今はまだ忙しいのでまた今度で」
と言って帰ってきた。
記者さんも常識ある方の人で引いてくれた。
マジクソな記者とかだと相手の都合関係なしに自分の都合を押し付けてくるから嫌いなんだよ。記者って存在は。
大体やることが終わって学校に行っても始まるのは3ヶ月分の勉強だ。
幸いにもステータスが出来たことによる副作用かは知らないが記憶力が上がっている。
1週間机に張り付いて勉強したら無事追いつく事が出来た。
まだ1学期が始まったばかりで帰ってきたのが7月中旬、てことはもうすぐ
「夏休みだぁー!!」
隣の席の楪さんが叫ぶ。
楪さんは元気いっぱいの女の子だ。小柄だが、運動神経は抜群。頭の方はまぁあれだがいつもニコニコしていてムードメーカー的な存在だ。
なお、運動神経と引き換えに胸も無くなってしまっている。.......絶壁だ。
以前捨て猫が入れてある段ボールの中を覗いて猫を抱き上げようとした時に猫が楪さんの胸に飛び込んだけど、そのまま滑り落ちていった。
その時の猫の顔は「なんで前のご主人様は挟まれたのに。」みたいな顔をしていた。
楪さんはそれを見て真顔で猫を段ボールに戻していた。
「夏休みかぁ」
一応中間、期末テスト両方基準点に達してるから追試とか補修とかないけど、授業数って大丈夫なのか?
あとなんかダンジョン解放される気がするんだよね。
なんでかわからないけどそんな予感がする。
〜土曜日〜
「ごめんね?待たせた?」
「いや、今来たばっかだよ。」
俺と亜里奈は名古屋駅の金時計前で待ち合わせをしている。
3ヶ月も放ったらかしにされたんだからデートくらいして!との言い分でデートをすることになった。
取り敢えず街をぶらぶら歩いてみる事にする。
お互い気になった店に入りながらショッピングを楽しむ。
お金はまぁ、思わぬお給金が貰えたため余裕だ。懐が暖かすぎて暖が取れるくらい。今夏だけど。
「そろそろお腹空かない?飯食べに行こうぜ。」
「もうそんな時間か。じゃあどこ行く?」
「ここから1番近いのはマックかサイゼだね。」
「じゃあマック行こ〜」
花の女子高生がマックか...まぁ普通だと思うけど。サイゼ行くかと思った。
ちなみに俺はマックだとダブルチーズバーガーしか食べない。フィレオとかも食べるときはあるけど基本ダブチーだ。
俺はダブルチーズバーガーのセットで亜里奈も俺と同じでダブルチーズバーガーを頼んでいた。
席に座って食べる。
「私やっぱりマックのポテトが1番好きだわ」
「ふにゃってなってるのが俺は好きかな?」
「そうそう、わかってるじゃん」
と雑談しながら食べ進めてく。
「ちょっとトイレ行ってくる。」
「おけ、待ってるね。」
毎回シェイク飲むと腹壊すんだよなぁ。これからシェイク飲むのやめるか。腹壊すってわかっててなんで頼んだんだろう。
5分ほどで腹に溜まっていたのを全て出しきり亜里奈がいる席へ戻ろうとしている時に亜里奈の周りに男が3人囲んでいるのが見える。
「ねぇねぇ、君可愛いねぇ、俺たちと一緒に来ないー?」
「来なよー、君1人だけなのかな?」
「え、いや、あの、彼氏としてるんですけど。」
「君1人にしてる彼氏なんてほっといて俺たちと遊ぼうよー。」
亜里奈に積極的に話しかけているのは2人だが、その後ろにガタイのいい男が威圧するようにそこにいる。
そのせいで亜里奈はビビっているようだ。
「ほら、行こうよー!」
と言って遂に亜里奈の手を握る。
俺はそれを見て少し力を出してその場に行く。
「おい、てめぇ誰の彼女に手ェ出してんだ。」
「あぁ?関係ねぇ奴は引っ込んでろ、ガキが」
大学生だと思うが睨みつけてくる。後ろの1人は口元をニヤニヤさせこっちを見てくる。
「話聞いてたか?俺の彼女って言ったんだよ。わかってる?脳みそある?」
煽っていく。どうせ、こういうやつは言い返すより先に手を出す。
「彼氏だかなんだか知らねぇが、俺たちの邪魔すんじゃねぇ!」
右腕で殴りかかってくる......が大振りだ。そんなおっそい攻撃避けるまでもない。ゴブリンの方が早い。
「おっせぇ!ゴブリンの方が強かったぞ!」
俺は左腕で、相手の拳をいなして、右手を握りしめて顔面を狙う。
「誰に喧嘩売ったか、後で後悔しろ。」
そう言って顔面ギリギリの所で拳を止める。
だが、それでもナンパ野郎は気を失って地面に倒れこんだ。
「てめぇ!香山に何しやがる!」
ともう1人の方がこっちに殴りかかってくる所だったが、後ろからガタイのいい男が、そいつの頭を掴む。
「すまなかった。その顔、どこかで見覚えのある顔だと思っていた。だが、今の殴り方で思い出した。
あのダンジョンに送られた人。」
その人は、頭を下げながらこちらに確認の様に言ってくる。
「このバカ達の面倒を見れなくてすまん。これ、俺の電話番号だ。後で連絡する。いいか?」
「あぁ、ちゃんとそいつらの管理しとけよ。」
「すまなかったな。」
そう言ってガタイのいい男は2人の頭を掴み、引きずって店内から外に出て行った。
「皆さま、すいませんでした。」
俺は店内にいたお客様に謝罪し、マックの店長にも謝罪しておく。
「喧嘩は悪いことだけど、今回は許すよ。あいつらよくこの店でナンパして、こっちも困ってたんだ。むしろスカッとしたよ。」
と特になにもなかった。
「大丈夫だった?」
「うん、怖かったけどゆーくんがいたから。」
「そっか。」
そのあとは家に帰りアマゾンプライムで映画を見た。
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