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俺を好きな幼馴染(美少女)が男のふりして男子校に押しかけてくる。そしてルームメイトとして居座る  作者: 遠都衣(とおとい)
第4章 男子校のルームメイトとデート……ってこんなにイチャイチャするか普通?

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第16話 いつものお礼に、お前の欲しいやつを買ってあげます



「あ〜〜! 面白かった〜〜!」


 映画を見終わり、シネコンのロビーに出てきた瑠偉がそう言って「う〜っ!」と背伸びをする。


 うんうん、よかったですね。

 誰かさんのおかげで、こっちは映画どころじゃなかったんですけどね。

 まあいいんですけどね。


 暗いシアターから明るい場所に出てきた瑠偉は、さっきのほっぺにチュー事件など何もなかったかのようにけろりとしている。


 映画館の中と外の世界が違いすぎて、さっきのは夢だったのではないかと錯覚するほどに。


「ねえ、脩。お腹すいたし、とりあえず買い物の前にご飯食べよ」

「……そうだな」


 そう言って、するりと俺の手を取ってさりげなく繋ぎ出した瑠偉に、俺は何も言わず黙ってそれを受け入れた。


 指と指を絡めるように繋がれた手は、小さくて柔らかくて気持ちがよかった。



 ◇ ◆ ◇



「ところで脩。買い物って、何を買いに来たの?」


 ショッピングモール内にあるファストフード店で食事を済ませた後。

 さてじゃあ今度こそ買い物に行くか、と店を出たところで瑠偉がそう尋ねてきた。


 ………………。

 …………言うか。

 …………うん。

 …………ちょっと恥ずかしいけど、言うなら今だろ。


「……ぉまえの……」

「え?」


 ……………………噛んだ。

 なんならちょっと格好つけて言おうとか思って欲出したところで噛んだから余計恥ずかしい。


 しかし幸いにも、瑠偉は俺が口籠ったのが噛んだせいだなどとは気が付かなかったのか、キョトンとした顔でこちらを見つめている。


 …………よし。

 仕切り直しだ。

 …………ごほん。


「……いつものお礼に……、お前の欲しいやつを買ってあげます」

「え」

「掃除とか洗濯とか、いろいろやってもらってるから」

「…………………………」


 俺の言葉にポカンとした様子を見せる瑠偉に「……ただし俺の小遣いで買える範疇のものでだけどな」と情けない一言も付け加えながら。

 致し方がない。

 俺だって羽振りよくなんでも買ってやりたいという気持ちはあれど、そうはいかないのだ。

 なぜなら、高校生の財産は有限だからだ。


「……脩が買ってくれるの?」

「おう」

「……なんでもいいの?」

「俺が出せる範囲ならな」

「…………ぅえええええええ…………」


 瑠偉の問いに答え続けると、何故だか瑠偉が奇妙な声を上げながら、俺と繋いでいる方の手をブンブンと降り出した。


「……なんだよ、そのリアクション」

「嬉しい……! めっちゃ嬉しいんだけど……!」

「んな大袈裟な……」


 そう言って、瑠偉が俺の手を握ったまま嬉しそうに両手を頬に添える。

 顔から『はわわ……!』と擬音が出てきそうなほどの喜びように、本当に瑠偉が喜んでくれているのだとホッとする。


 それを見て――『ああ、やっぱり今日、こいつにお礼をするって思いついてよかったな』と思った。


「えっ、どうしよ……、何がいいかな……」


 そわそわと、瑠偉が嬉しそうにあたりを見回す。

 ――見回したところで、この辺りは飲食店エリアだから瑠偉が欲しがりそうなものなんてないのに。


 すると瑠偉はやがて「あ」と何かを思いついたように短く声を上げ、


「脩、あれ、あれがいい」


 と言って、俺の手を引き誘っていった。






「……ハンドクリーム?」

「そう。水仕事すると手荒れとかしちゃうかもって心配だったし」


 ここは、ショッピングモール内にある生活雑貨を扱う小洒落た店。

 その中にあるハンドクリームのコーナーに連れてこられた俺は、瑠偉からそう説明された。


「ずっとハンドクリームを買おうと思ってたんだけど。なんとなくずるずると後回しにしちゃってたんだよね」


 確かになあ。

 寮から徒歩15分ほど歩いたところにドラッグストアやらスーパーやらはあるが、特に用がないと結構行くのが億劫だったりするのだ。

 それに、ハンドクリームがないからと言ってどうしても生活に困ると言うわけでもない。

 なんとなく瑠偉が後回しにする気もわからないでもないよな。


 と、俺がそう思っていると、瑠偉が突然何かに気付いたようにハッとした様子を見せて、


「……男の子なのに、ハンドクリームとかおかしいって思ってる……?」


 とおずおずと尋ねてきた。


 …………馬鹿だなあ、こいつ。


 そう思ってしまうのは、俺が瑠偉の正体が女だと知っているからだ。

 自分の分まで健気に掃除洗濯を引き受けてくれている子が『手が荒れちゃうから』と心配してハンドクリームを買おうとしているのに、どうして否定することなんてできるだろう?


「……いいんじゃないか別に? 男だってハンドクリームつけるやついるだろ」


 そう言って俺が肯定してやると、あからさまに瑠偉がほっとした様子を見せた。


「だよね。男の子だって、ハンドクリームつけたりするよね」

「おお。だから別に気にすんな」


 うんうん。

 こうして俺が背中を押してやることで瑠偉を安心させてやれる。

 なんて美しい友情関係なんだ。

 涙が出そうだ。くぅ……。


 そんなことを思っている俺に向かって、次に瑠偉が告げてきた言葉は、俺の予想を越える言葉だった。


「じゃあさ、せっかくだから脩とお揃いのハンドクリームにしたい。一緒のハンドクリーム使って、同じ匂いさせよ?」


 ………………え?

 どゆこと?


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