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俺を好きな幼馴染(美少女)が男のふりして男子校に押しかけてくる。そしてルームメイトとして居座る  作者: 遠都衣(とおとい)
第3章 俺のことが好きすぎるルームメイトが可愛いです

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第14話 なんで教えてくれなかったんだよ母さん!



「おい母さん!」

『どうしたの脩、突然電話してきて』


 ゴールデンウィークに入る直前。

 俺はふと思い立つことがあり、実家に電話をかけた。

 誰もいない場所を探して――、誰にも聞かれないよう注意を払いながら。


「どうしたこうしたじゃないわ! 瑠偉が同じ高校に入ってきてルームメイトになったんだけど!」

『……瑠偉?』

「真瀬だよ! 真瀬瑠偉! ほら! 幼稚園の時にいたろ!」

『ああ』


 俺の言葉に、母親はおっとりと相槌を返してくる。


『いたわねえ、真瀬瑠偉ちゃん』

「いたわね、じゃねーよ! あいつ女子だよ! 女子だったじゃねーか! なんで教えてくれなかったんだよ!」

『ええ?』


 俺、今更ながらに気付いたんだけど。

 俺が通っていた幼稚園ってことは、母親も当然知ってるはずなんだよな。

 そこに通ってた同じクラスの生徒のことも――当然、瑠偉のことも。

 だから、本当に今更ながらになんだけど、ゴールデンウィークに入る直前、『今年は俺、連休帰らんわー』と連絡しようとした時に思った。

 なんで親に聞かなかったんだ俺――? と。


『あんた、あの子のこと男の子だと思ってたの?』


 そうして、母親から帰ってきたのはさらにショッキングな言葉だった。


「えっ……」

『だって、思わないでしょこっちだって。あんだけ仲良く一緒に遊んでて、女の子だって知らないって』

「いや……、でも。幼稚園の時あいつ、男の格好してたし……」

『してたけど、顔見てわかるもんじゃない? あんなに可愛いんだし』


 ええ…………?

 いや、確かに、あの時から可愛くはあったけどさあ……。


「でも、周りのみんなも男だって思って接してたし」

『まあ、幼稚園の時の子供たちはわかってなかったかもね。でも先生も父兄も大体知ってたわよ? あの子が女の子だって』

「いや、だから……、なんでそれを言ってくれないんだよ……」

『だから、あんたが男だと思ってるなんて、こっちは思ってないわけじゃない』


 …………………………。

 ええええ………………。

 いや、確かにそうかもしれないけどさあ……。

 それに言われてみれば俺も、両親にあえて改めて『瑠偉って男だよな!』なんて言ったことはなかったけど。

 というか、当たり前に男友達だと思ってたし。うん……。


『で、何? 瑠偉ちゃんが有高に入ってきたの?』

「……そうだよ。でもって今、俺のルームメイトだよ……」


 ――ええ! それって大変じゃない!? 女の子なのに!?


 ……なんて返事を期待して俺は母親に言ったわけなんだけど。

 そんな言葉を期待した俺が馬鹿だった。


『嘘! すごいじゃない! どうやって入ったのかしら』


 さも面白い話を聞いたとでもいうように楽しげに答えてくる親に、俺はがっくりと肩を落とした。


 ああ〜〜、はいはい、そうですよね。

 そうだよ。うちの親って、こういうやつだよ……。


「いや、そういう問題じゃないだろ。もっとあるだろ? 女の子なのに危なくない? とかさあ……」

『でも、脩と同じ部屋なんでしょ? なら大丈夫じゃない?』

「……何をもって大丈夫って言い切れるんだよ……」


 親から信頼されていると思えば喜ばしいことなのかもしれない。しかし、『どうせ脩にはそんな度胸もないでしょ』とか思われているのであれば、それはそれでなんだかちょっと腹立たしい。


『ああ、でもそうか。あんたが入学する時に真瀬さんちに連絡したから、それもあるのかもね』

「……どういうことだ?」

『ほら。有明高校って確か、真瀬さんちの親戚が経営してる学校法人じゃない。だから、あんたの入学前に連絡したのよ。うちの子、今年から入学するけどよろしくお願いしますね〜って』

「はあ!?」


 初耳すぎるんですけどそんな話!?

 瑠偉の親族がこの学校の経営者!?


 でもって、入学前に『よろしくね!』とか圧かけるって。

 大丈夫か?

 なんとか取引法とかに抵触しない?

 ……しないか。高校入学程度で。


『もしかしたら案外、瑠偉ちゃんもあんたのこと追っかけて来たのかもねえ。やだ、たぎるわぁ……!』

「おい……、頼むからこのネタ、小説とかで使うなよ……」


 主婦業と兼業してラノベ作家なんてやってるうちの母親は、こういうちょっと面白そうな話にぶつかるとうっかりネタに使われかねないのだ。

 マジでやめて欲しい。

 なんなら現在進行形で俺の身に起こっていることだぞ。

 もうちょっと心配したりとかしてくれないものだろうか。

 それとも普通の親の感覚をこの母《ひと》に求めること自体間違っているのだろうか。


 それにしてもなあ。


 ……瑠偉が、俺のことを追いかけてこの学校に?

 …………………。

 いや、ないだろ。

 うん、ない。


 だって俺、追いかけられるようなことなんてした記憶ないしなあ……。

 それに、あんな美少女に追いかけてもらえるほどのイケメンでもないし。

 脳内妄想ドリーマーの母親の言を真に受けては、俺が痛い目を見る。


 俺は堅実に生きるのだ。

 実直に。真面目に。


「まあいいけどさ。とりあえず俺、今度のゴールデンウィークは帰らないから」

『ああそう、わかったわ。まあ寂しいけどしょうがないわね』


 何がしょうがないのかはわからないが、とりあえず母親から無駄にゴネられずにすんでほっとした。


 ほっとしたところで――、俺が『じゃあな母さん。母さんも元気でな』と言って電話を切ろうとした時。


『そうだ脩。同棲もいいけど、避妊はちゃんとしなさいね』


 と言ってきた母親に、今度こそ俺は


「うっせえ馬鹿親! 寝言は寝て言え!」


 と怒鳴りつけて電話を切った。


 マジで。

 誰かうちの母親をなんとかしてください……。


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