18、もしかして、これって恋ですか?
ジルとユズが遠ざかっていくシルエットから、ロージアはいつまでも目を離すことが出来なくて、その姿を捕えることができなくなくなっても、しばらくそこから離れることが出来なかった。
「くそっ、ぜんぜん仕事が手に付かない。」
仕事進めないといけないから付いてこれないだろう? 確かにそうだった。そうだと思ったから付いて行かなかったのだ。
なのに、こんなに2人が気になって仕事が手に付かないんだったら……、付いて行ったら良かった。
今更思っても、今更追いかけるわけにはいかないのに。
「くそっ!!」
ロージアはそう、ひとりごちると頭を掻き毟った。
気になってしょうがない。
「あー、もう、……どうして手を握ったままなんだよ。どうしてユズは手を離さなかったんだよ。 ……はあ。
そもそもさあ、なんでジルんとこ、ユズが行くの許しちゃったんだ? オレ。」
そもそもそんな事が気になるなんて……。
気づいたらロージアの中で、柚の存在がこんなにも大切になっていたなんて。
初めは、なんでこんなにも、ジルにいらいらするのかが分からなかった。
こんなに短期間で、人を好きになったりなんてするのかな?
ロージア自信、自身のそんな気持ちが、良く分からない。
けれど、気になり始めると、何もかもがロージアをマイナス思考へ働かす。
脳裏には2人が手を繋いで去っていく後ろ姿が思い出されていた。
背が高くてスタイルの良いジル。その紙の美しさは、王都の女性も羨むほどだ。
もちろん男のロージアから見ても、ジルは良い男なのだ。
それに比べて、ロージアは癖っ毛だし、身長に関しては、ジルより10cmは低い。
なによりジルは結構気気配りができる。察して行動ができるから、王都でも女性に人気なのだ。
そんなジルとユズを2人にしてしまったのはロージアの最大の失態だった。
「もおダメだ。 ぜんぜん仕事、手に付かない。 ……ユズ。戻って来るよな?」