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舞いし炎。飛ぶは空。Ⅱ~空と炎を紡ぐ者~  作者: ふわり
第一章《空を知る街ヤンガミ》
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EP1 【悪夢の再来】

創作の街 (ヤンガミ)…。

神が地上に国を創造した時、まず作ったのが、ここ(ヤンガミ)と言わている。

太古の昔、空にあった大国と親交を深め、歴代の空の継承者を育てる場所だったとか……。


それもこれも全て、カタリナが地下神殿で知ったことであり、亡きロシェの口から聞いたわけではない。

しかし、神殿に残されていた空の物語が真実であるのならば、ロシェの血を引く娘のルーナには深く関わってくる。


15年間。そのことについて目を塞いで生きてきた。夫ロシェという大きな対価を払う形となってしまったが、この国は大きく変わった。

15年という月日で、かつて争いの絶えなかったスカーデッド王国は、平和と花の国アルフレアへと変貌を遂げている。


カタリナは(アルフレアの英雄)なんて呼ばれているが、正直そんなことはどうでも良くて。

今日!まさしくこの日に15歳の誕生日を迎える娘のルーナを…。

空の導き通りヤンガミへと連れていくかの岐路に立っていた。


「お母さんどうしたの?」

せっかくの誕生日に、ボーッと考え事をしている母に、ルーナは少し怪訝そうに聞いた。

「あ!ごめんごめん。ルーナ。お誕生日おめでとう。」

あまり料理は得意ではないが、お菓子屋のエミリに手伝ってもらいながら、ルーナの好物を並べた。

「お母さん。何か隠してるでしょ?」

ルーナは随分と母親似のようで、勘が鋭い上にズバッと聞いてくる。

「とりあえず食べましょ。話はそれからね。」

「わかった。いただきます。」

妙な緊張感が2人の食事を包んでいた。

ルーナは、とにかく自分の誕生日に集中してくれない母親に少しの不満を持っている。

カタリナは、娘を危険に晒すかもしれないヤンガミへの訪問が気がかりで仕方ない。


黙々と進む誕生日に救世主が訪れた。

「やっほー。ルーナちゃん!誕生日おめでとう!」

登場と同時にクラッカーを3発も打ち上げたのは、カタリナの親友エミリだった。

「エミリさん!!わぁ!綺麗!ありがとうございます。」

「ふふふ。どういたしまして!それより。せっかくの誕生日に何辛気臭い顔してんのよ2人とも!!」

「あぁ…。すまない。私が空気を作るのが苦手で…。」

カタリナがそう言うと、エミリは笑って答えた。

「ぶち壊す方が得意だもんね!!」

「ちょっとエミリ…。」

カタリナは少し照れていた。

「それはそうとルーナちゃん!15歳といえば…!ドドン!晴れて成人の仲間入りでぇす!」

この国では15歳からが成人とされている。

ちなみに補足すると、15歳で成人を迎えた人間のほとんどが成人のまま生涯を終えるが、15歳~18歳の間に、国から栄誉国宝と認定されると、聖人と呼ばれるようになる。


「で??で??ルーナちゃんの今後の目標は??おばさんに教えてみなさい!」

エミリのおかげで随分と場の空気は明るくなった。

「私は…。踊り子としてやっていきたい。と思ってます。」

ルーナの答えにエミリは深く頷いた。

「さすが!英雄(炎の巫女)の娘だわぁ。うんうん。踊り子!素敵だねぇ。」

「ちょっとエミリ!!」

カタリナは立ち上がった。

「あ!ごめーん…。(炎の巫女)の話はNGだったね…。忘れてちょうだい…。」

エミリは誤魔化すように水を口に含んだ。

「お母さん。後で話がある。」

ルーナは鋭い視線でそう言った。

……。

少しの沈黙の後。カタリナも鋭い視線で娘を見つめる。

「私もよ。」

「まぁまぁまぁまぁ。仲良くね…。」

エミリがそう言うと、2つの鋭い視線を1点に集める結果となった。

「誰のせいだよ!」

カタリナとルーナの声がハモった。

「あ……。」

と言うカタリナと…。

「ごめんなさい…。」

と言うルーナ…。

それがおかしくてエミリは笑った。

「息ピッタリだね!!親子の絆!最高!!」

2人は同じように頭を搔いて誤魔化した。

「じゃあ。私はそろそろ行くからね!仲良く楽しく!素敵な誕生日を過ごすんだよ!っと。これプレゼント。」

エミリがルーナに渡したのは。

カタリナとロシェがエミリと出会うキッカケとなったスノーボール。

なんだか懐かしい気持ちになり、カタリナの目が潤んだ。

「エミリさん!ありがとうございます。」

ルーナが頭を下げると、エミリは満面の笑みで手を振った。去り際にチラッとカタリナに目を向ける。

カタリナは静かに頷いた。


………。

しばらくの沈黙の後。ルーナが口を開いた。

「お母さん。これまで何度も聞いてきた。(炎の巫女)って言葉。街でもそう呼ばれ事も多いよね。(炎の巫女)っていったいなんなの?」

………。

カタリナは言葉に詰まる。

もともと話が得意な方ではない。

それに、今まで何も教えなかったのは、争いを知らない世界に生まれた我が子に凄惨な過去を語る必要がないと感じていたからだ。

しかしそうも言ってられない。

あの日、神殿で見たもの。知ったこと。

それが空の導きであるのならば、ロシェの血を引くルーナは無関係ではいられない。

(ロシェ。私たちの娘は強く大きく育ったよ。あなたのようにどこまでも羽ばたいてくれそう。)

カタリナは決意を決めて、言葉を紡いだ。

「ルーナ。とりあえず地下室に来て。そこで全てを話す。」

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