八十五話 勢いって結構大事だし
カイナの急なアプローチに太陽は凄く驚いた。そんなにがっつく人だったのだろうか、それともこの空気が人を狂わせているのかと頭の中でぐるぐるしつつ、そんな中やっと口から絞り出された言葉が
「ひゃぁ……」
という、なんとも情けないものだったことはここに記しておく。しかしこれによって完全に理性を失ったものがいた。カイナである。胸をもんだことによって感じたものだと勘違いしたのだ。童貞とはかくも悲しき生き物である。一旦線引きがここまでと分かってしまえば、そのまま次のステップへ移行するのだ。
そしてカイナの考える次の一手は、バスローブの中へ手を伸ばすことであった。するりと少しはだけた胸元へ右手を潜り込ませると、そのまま乳房へ、そうして乳頭へと指を這わせていく。
「あの、ちょっ、待ってくださいっ」
太陽の抵抗もむなしく、カイナは執拗に胸を揉みしだき、その先端の突起をいじる。そうして血流がよくなっていき、やわらかかった乳首はピンと勃った。童貞に一つの成功体験を太陽は与えてしまったのだ。そうなると次に童貞がやりたいことと言えば、その胸を吸うことである。
「やっ、あっ、駄目ですって」
正味乳首など開発しなければ決定的な快楽など感じない、しかし太陽は雰囲気にのまれていた。これが重要である。人間雰囲気やその場の流れに流されやすいものであり、更に言えば太陽はそういった媒体に深く触れ過ぎていた。なのでこういった場ではこのような快楽が正解という決まりごとが彼の中で出来てしまっていたのである。
「なぁ、ワタシ、もう限界なんだけど、いいよね……?」
カイナのそれはもう限界以上に怒張していた。人より少しだけ小さく、太陽の元のものに比べれば相当小さいそれを見て、太陽は何となーく流されてしまってもいいかもしれないと思った。思ってしまった。中に出されなければまだセーフ、処女って痛いらしいしイクこともないだろうからセーフ。そういった邪な考えが太陽の中に芽生えた。
「ご、ゴムはしてくださいね?」
そうして太陽は、遂に一線を超えようと決意した。




