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【書籍発売中・コミカライズ連載中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第四章

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33 ミカナの言い訳①

 ミカナは私が彼女の罠に引っかかったと言ったけれど、実際は逆だった。

 メイドのシーニャが持っていた、毒入りと思われるシュガーポットは、私とミカナが話をしている間にライラック様が厨房に行き、シーニャに指示をして、柄が同じシュガーポットを持たせた。


 だから、飲んでも何かが起こるわけではない。

 でも、シュガーポットが別の物だなんてことを知らないミカナは、毒にやられたふりをした私を見て、ボロを出してくれた。


 ミカナの発言を聞いた時は、あまりにも事がうまく運びすぎて、心配にもなったし笑ってしまいそうにもなった。


「リゼ、あなた、一体、何を考えてるのよ!? 苦しんでたんじゃなかったの!? あのお茶を飲んで、どうして生きていられるのよ!?」

「何を考えているのかというセリフはこっちのセリフだわ。それにあなた、私をやっぱり殺そうとしていたのね」

「そ、そんなわけないでしょう! どうして、そんな恐ろしいことを言うのよ!?」

「何を言ってるの。苦しんでいるふりをしている私を見て、あなたが何を言っていたか、もう覚えていないの?」


 立ち上がって尋ねると、ミカナは視線を泳がせて答える。


「あなたの具合が悪そうだったから、動揺して何を言ったかは覚えていないわ」

「じゃあ、教えてあげましょうか? あなたは、私に早く死になさいって言ったのよ」

「そ、それは、あんたが苦しそうにしているから、早く死ねば楽になるかと思ったのよ! だから、それはわたしなりのあんたへの優しさよ!」


 これでどうだ、と言わんばかりに勝ち誇ったような表情をするミカナに呆れてしまう。


 そんなことを言われて、納得する人はいるのかしら?


 もちろん、事情があって、安らかに眠って欲しいと願う人もいるかもしれないけど、ミカナの場合は、絶対にそれにあてはまらない。


「私にはそうは思えなかったわ。殺意があって、リゼさんに死んでほしいと願っているように聞こえたわ」

「そんな! 想像だけで勝手なことを言わないでください!」


 ミカナはライラック様に言い返すと、私を指差して言葉を続ける。


「リゼ! あなた、どうして苦しむふりをするだなんて、そんなお芝居をしたの!? もしかして私を冤罪にかけるつもりなの!?」

「あなたこそ、どうして私が死ぬと思ったの?」

「そ、それは毒だと思ったのよ……」


 この感じだと、ミカナは毒の入手ルートに関しては、自分だとバレない、絶対的な何かがあるようだった。

 伯父様やデフェルに入手させたのかしら?


 そうだったとしても、フローゼル家は終わりだと思うけど、ミカナは何も思っていなさそうね。


「砂糖の買い付けは、私の主人が最近行ったんです。実際は用意されたものを取りに行くだけだったようですが……」


 シーニャのお母様は乱れた長い赤茶色の髪をそのままに、疲れ切った声で言った。


「教えてくれてありがとうございます。ミカナ、あなたはシーニャのお父様が毒を仕入れたように見せかけようとしたみたいだけど、えらくお粗末ね」

「な、なんですって!?」


 私の言葉に対して、プライドの高いミカナは、馬鹿にされたことに黙っていられないようだった。


「お粗末だなんて、あんたにそんなことを言われたくないわよ!」

「ミカナさん、結局、あなたが犯人なの?」

「いいえ! 毒を仕入れたのはわたしじゃありません! きっと、メイドの父親がわたしを逆恨みして毒殺しようとしたんですよ! それで、毒を仕入れたに決まっています!」


 ミカナはライラック様に自信満々の笑みを浮かべて訴えた。


 メイドの父親が逆恨みで毒を仕入れて殺そうとするなんて、よっぽどミカナが酷いことをしたことになるんじゃ?


 それに、そんなことは普通はできやしない。


「あなた、シーニャのお父様に何をしたの?」

「何もしてないわ!」

「じゃあ逆恨みされる原因は何なの?」

「えっ!? あの、その、そうよ! そこのメイドをクビにしたからよ!」


 ミカナはシーニャを指差して叫んだ。


 ミカナがここまで馬鹿だったなんて……。

 相手にするだけ無駄な気がしてきたわ。

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