7.気持ち悪い
白は花嫁の色
彼女はそう言いながら頬を赤く染めて何処かを眺めていた
純白のきらびやかなドレスを着ていれば貴方の運命の人が現れるわ
白のようで白では無い色の髪をしたあなたなら、絶対花嫁衣装は似合うわね、なんで男の子なのー?
女の子だったらいいのにね
彼女は悲しそうにこちらを見詰めていた
今、僕は純白のきらびやかなレースをふんだんに使ったドレスを身に付け、大きな椅子に座っている
床に散らばった僕の長くなった髪は光の反射によりドレスとは違ったきらびやかさがあった
今日も来ない…僕は1ページを捲る
今日も来ない…僕は1ページを捲る
彼は来ない…僕はページが無くなった本を閉じた
「…飽きた」
僕は本を投げ捨てた
大きな椅子の上で僕は両脚の膝を立て両腕は両膝を抱え込みそのなかに顔を伏せた
彼を守りながら僕は彼を待っている
◇◇◇◇◇◇◇
ガタガタ…ガタガタと揺れる
揺れながら女の子は僕に言う
「男は女と結婚することが一番の幸せなの!男が男を好きになるなんて気持ち悪いし、絶対幸せにならないわ!というか、同性結婚は認められてないし」
「え?」
目の前の女の子は変な目で僕を見ていた
女の子と僕を今二人っきりだ
何故かというと、たまたまお馬さんと一緒に旅をしている女の子とそのお父さんお母さんの三人とばったり会った僕たちはさいきんこわいこわいのが出るってナナセ君が言っていたので、僕たちは三人が目的地まで着くまで一緒に行くことになった
僕らは子どもは子ども同士仲良くお外でも見てなさいと外が見える荷物置き場でガタガタ揺れながらそこにいた、ナナセ君たちは前の椅子とテーブルがある部屋っぽいところにいる
僕はナナセ君に恋をしていると女の子に話した
同じ年っぽいので、お話にのってくれるかと思っていた、レオさんやギウロさん、リリットさんたちにお話してもむずかしいことしか言わないからわかんないもん
小さいもの同士なら、話合えると思っていた
「気持ち悪いし」
「ふぇ…」
女の子は怖かった
ナナセ君たちとは違った目で僕を見ている
「あんた男なら、そんな声出さない!髪を長くしない!背を伸ばしなさい!一体あんた何歳よ!?」
耳元で大きな声で僕にギャンギャンと叫ぶ女の子
気が付くと体がガタガタと震えていた
「じゅ…じゅう…ごしゃい…」
「はぁ?嘘をつくならもっとちゃんとしたのにしなさいよ、あんたみたいなチビが15な訳ないし」
女の子はため息をはく
「ほ、ほんとうだ…よぅ…」
ぼろぼろと涙をながしながら僕は言うけど女の子は怒る「嘘つくな」って言いながら僕に近くにあった本をなげつける
「いたぃ」
「どんくさっ本当に男なの?あーも気味が悪い…」
女の子はぶつぶつとなにかを言っていたけど、僕はそれよりも投げられた本に目がいっていた
「あ…」
本の題名は「魔王の杯」
自然と僕の目と手がページを捲り、内容を口に出さずに読み上げていくとある文章に目がいく
ー魔王の杯を飲んだものは望みを一つ叶えることができる
「これだ…」
僕はニッと笑う
このさかずきというのをのめば、おねがいをかなえてくれる!女の子にしてもらえる!!
そしたら、ナナセ君とけっこんできる!
ニコニコ笑いながら次のページをめくり、内容をよんでみる
ーただし、この杯を口にしたものは…
「なによ、さっきからにやけて気持ち悪いし…
そもそもなんなのよその気味が悪い髪は?白なのかピンクなのか青なのかよくわからない髪なんて気持ち悪いだけし、さっさと切れば?
絶対、皆その髪気味が悪いって思うよ」
女は僕をゲラゲラと下品な笑い声で笑った
ゴポッ
本は途中だった…でも
何かが泡を吐いた音と同時に僕は本をパタリッと閉じた