海上の希望
すべての事には終わりがある
だからこそ始まりがある。
誰もそれに逆らえはしない…それは神でも…
永遠という言葉ほど、信用ならない言葉はないのだから…
永子は白い世界のカフェトトリアにいた…いや、これは清武が以前迷い込んだ世界だろう…
「何度も何度も繰り返した…私以外の記憶は残せたがだがしかし今回だけは残せなかった」
するとマスターらしき男が言う。
「案外、記憶はなかった方がよかったのかもしれないよ?困ったときは初心に返るというのも私は有りだと思うのだが…」
永子は言う。
「だが先が分からねば対策のしようがない!これはもともと最初から負け戦だったんだ…」
するとマスターらしき男は水の入ったコップと入っていないコップを取り出す。
「それではちょっと面白い話をするよ。今ここに水の入っているコップと入っていないコップがある。水の入っているコップはこのままでは飲まれる。増やしても殖やしてもあふれ出ることはあっても飲まれる未来は変わらない。だがこちらのコップはどうだろうか?」
永子は答える。
「何も入っていないから使われることがない…利用されない…」
マスターらしき男は言う。
「そう、利用さえされなければそれを生かすこともできる。もちろんコップの場合は利用されないと本末転倒だがガラス細工にでもなんでもなることができる。知っていることより知らぬが花ってこともあるってことだ。不満か?」
永子は答える。
「かなり不満だ。何も知らずしてこの運命を変えることなど不可能なのに…」
マスターらしき男はにやけ顔で言う。
「でもまぁ今回の彼は、今までより積極的じゃないのかな?」
永子はそれを見ていう。
「お前は楽しそうだな。そんなにもこの盤面がいい状況に見えるのか?」
マスターらしき男は答える。
「だってあのヒキニートが積極的になってるんだ。黒い君の兄弟の影響だけとは思えないほど。こんなのは今までになかった変化で予想にしなかったことだ。それにお前だって、動揺しているんだろ?今までどおりに動かない者たちに…」
すると突如現れた黒いコートを着た永子と同じ青い目をした真琴が言う。
『脱落者の分際でまだ希望を持っていたとはな?お前らはどうせこの先もこの世界の外へは出ることはできない。そう、傍観者だからな。だが俺は違う…俺はこの世界とあの世界を自由に動かせる神だ、』
するとマスターらしき男は言う。
「そうかい、なら今起きてるイレギュラーの嵐も楽しみの一つでしかないってことか?本当に?」
黒い真琴は言う。
『あぁその通りだ!所詮イレギュラーなどあってないようなもの!お前らは期待を抱いてるようだが全然違うぞ!?どうせこの船はまた沈む…』
すると永子は言う。
「この船が沈むことはもうありえない。お前だってわかっていることではないのか?船が沈む原因はお前が置いた手がかりによる整備不良とアステントの爆弾、今回はその二つが完全に無くなっている!」
黒い真琴は言い放つ。
『黙りやがれ我が姉!!例え整備不良や爆発がなくても計器をいじり進路を変えれば沈没させることは可能だ…それにここまで因果律が絡まった船が今回だけ沈まないなんてことがあると思うか?』
マスターらしき男は答える。
「なら聞くが、お前は自分が関わったことのない世界を見たことがあるのか?なんだかんだ言って最後はお前は強硬手段をとっている。なら、変えられる可能性は大いにある…」
すると黒い真琴は懐から銃を取り出す。
…バン!
…ドサ…
「マスター!?」
永子がそう言うがすぐに察した。
『…まったく、五月蝿いからそうなるんだ。邪魔だ、俺こそが神だ…お前らなぞの意見なんて聞いてても何も意味がないと理解させてもらった…さて、姉さん?すぐにまた繰り返させるからね?永遠にこの世界も俺も存続させてあげるよ…ククク…アーッハッハハハハ!!!』
すると白い世界と永子と倒れたマスターは消えダイヤモンド・タイタのカフェになっていた。
黒い真琴は未理恵達からは死角になっている位置にいた。
『成程な…いつもと変わらず懲りずに作戦会議のつもりか…あれはアルカか…フフ…まぁいい、どうせいつもどおりだ。さて、すぐにでも進路をバレないように変更し、ミサイル落下地点に移動しなければな…』
すると黒い真琴はいつものように影に消える。
「?」
真琴は黒い真琴が消えたあたりを振り向く。
「どうされましたか?華原さん?」
未理恵がそう尋ねると真琴は答える。
「今あそこに…あいつがいた気がする…」
するとアルカは言う。
「やはりこの船をウロウロしているのだな…あいつは…」
9人はそれぞれ窓側からアルカ、真琴、涼、清武の順に座りその向かい側に未理恵、未理恵の膝に座っている永子、優美、江利奈、俊という順で座っていた。
「というか、なんで永子がいるんだよ、赤田教諭はまぁ分かるとしても永子は保護者同伴じゃないと来れねえだろ!」
真琴がそう言うと江利奈が答える。
「あぁ、あんたの母さん今船の屋上プールでくつろいでるよ、いい年だし全力で楽しむんだって。まぁ全旅費を未理恵が保証してるんだから当たり前か」
真琴は言う。
「俺だけ親子旅行かよ、糞が」
すると涼が真琴の肩に手を置き言う。
「諦めろ、これは定めだ」
真琴はだるそうに言う。
「お前どこぞの冴える蛇みたいなこと言うなよ…マジで嫌なのにそういうの…」
すると未理恵が言う。
「では本題として本船ですが今のところ華原さんの今の黒華原さんの気配を感じ取った以外目立った事は起きておりません、注意には厳重な警戒態勢を行っておりますがおそらく問題はないかと」
そして全員の目を見ると未理恵が語り始める。
「もう華原さんも察していると思いますが、ゆるタウン屋上での黒い華原さんの血液と永子様がDNAで医学上ではありえない異性ということ以外全ての遺伝子が100%一致していたんです。」
アルカが言う。
「その件に関しては私も確認しました…それと自己紹介がまだでしたね、私こそが貴方方に無礼なことを散々行い罪を重ねてきた黒幕にして永子の創造者、アルカ・アステントだ…」
周りの空気が重くなる…何故ならこの男が全ての発端だからだ…だが俊は違った。
「はい、存じ上げておりますが罪に関しては我が杏芽條家にも非がございます。今回の件、全てを丸く収めることを契約し、皆様ともう一度教師として関わりたいそうです。」
真琴は言う。
「まぁ俺は異論はない」
涼は言う。
「俺もまぁ金さえ貰えれば」
優美も言う。
「もう永子ちゃんに何もしないならいいと思うよ」
江利奈も言う。
「確かに慰謝料くらいは欲しいわね、あとは今後も友好的ならいいと思う」
永子は…
「とりあえず…あいつを止めて…」
清武も言う。
「そうだな、あの黒いのはなんとしてでも後始末しないといけない」
すると未理恵が言う。
「そしてこの永子ちゃんですが…一応検査したのですが…華原さんとも遺伝子構造が全く同じだったことが…」
するとアルカは立ち上がり言う。
「そんな馬鹿な!?まず彼と彼女らでは性別が違う!!それに華原真琴は霊能力を行使はしていないし…」
未理恵は訪ねる。
「アルカさん…答えてくださいますね…永子…いえ、アルカモデルの基礎遺伝子が…一体誰のものなのか…」
アルカは静かに座り語り始める。
「もともとアルカモデルは母上の霊理論を証明するために使う予定だった…母が死に、私の論文が完全否定されてから霊について研究していたある日、杏芽條家からクローンの研究を持ちかけられた。科学のアステントと霊についてを否定されても信じ続ける杏芽條、二つの大きな家が研究を行った。だが、アステント的には失敗していた…クローンは全て目が違った…完全なクローンは生み出せないことを理解した」
すると俊が言う。
「はい、目の色さえ合えば99%完全なクローンが作ることができました。目の色が違う理由は杏芽條家の霊力実験のせいです…この時点で、当家が貴女方アステントグループを利用していたのは否定できません。」
アルカは頷き語る。
「そして父は信じなかったが霊を信じる杏芽條家に私は父の名で杏芽條家当主に事の真相を聞きいた。その時届いたのがアルカモデルの基礎遺伝子だった…まさか華原真琴の遺伝子だったとはな…」
未理恵は尋ねる。
「それは誰から届いたのですか?」
アルカは答える。
「それが…開いてファイルをダウンロードしたその時にまるで最初から無かったようにメールは完全に消えてファイルのみが残った…未だに送り主はわからないままだ…」
俊は言う。
「成程、そのファイルに記載されていたのが人の遺伝子構造だった…という事ですね。クローン実験は成功していたわけですしそれを利用して実験を行うのも可笑しくはない事でございます。」
江利奈は言う。
「そうね、つまり未理恵達がやってた実験を丸ごとパクって人で実験を始めたってことか…で永子に行き着くまで失敗を重ねたと…そういえば未理恵?以前調査した廃病院の地図ってある?」
未理恵は答える。
「あ、ありますよ。えっと、これですね」
アルカはみりえがとりだしたそれを見て言う。
「やっぱりバレてたか、そうだ…ここはA-14を創った場所だ、怨念の霊が多く全体的に悪意が満ちていたからそれも利用させてもらったが結果は失敗、今までとは違うが媒体機から消失してしまった。」
すると真琴は共通点に気がつく。
「あれ?そういえばあのときの映像での消え方と黒い俺の消え方ってよく似てはいないか?目の色こそ違うが…」
すると俊が尋ねる。
「アルカ様、もしかすると瞬間移動能力が覚醒していたのではないでしょうか?」
アルカは答える。
「杏芽條のデータにもあった通り赤い目は消えることが多かった、何故私がこれを失敗にしたのかというと人間だったからだ。後で気がついたよ、悪意のある悪霊の力は消えることだって…そしてどこからか現れる…」
すると永子が言う。
「私…妹?…生きてる…この船にいる…でも黒い…真琴?」
未理恵はそれを聞くと確信する。
「アルカさん、A-14の居場所が分かりました。それは…」
黒い真琴は船首の丁度死角になる影に居た…
『全く面倒だな、船の計器を異常にせずコントロールを奪うなんて…クク、俺が魔術を使えていてよかった…これでまた沈められる』
「残念ですが、あなたの目論見もここまでです」
そこにいたのは銃を構えた霧子だった。
『おお怖い怖い、こんなところで撃たれたら確実に俺の存在が明るみに出るなぁ?』
霧子は尋ねる。
「何故、生きてるんですか?」
黒い真琴は霧子と同じ銃を片手で構えると答える。
『猛毒の弾丸だったっか?かわし損ねたが治療法などは空いた時間に読んでたりしてたことがあったんでな、大事に至らずに済んだ。それよりお前、いいのか?俺を殺して?そんなことすればアルカに嫌われるぞ?』
霧子が一瞬戸惑う。そしてその隙を黒い真琴は狙った。
…バン!!
「おっと失礼…この霧崎俊、怖がる女性を見ると少々奮い立ってしまいましてね」
俊はなんと黒い真琴が撃った弾丸をチタンでできたフォークで止めていた。
『もう会議はいいのか?だったらすぐにでもこの船を沈めるぞ?』
黒い真琴は船首の先の手すりまで後ろ向きにジャンプして立つ。
「せっかくの旅行を台無しにされるわけには行かないんでな、待たせたな、霧子」
アルカも来ていた、アルカが構えているのは麻酔銃でも実銃でもなくネット銃だった。
「A-14、お前は私の犠牲者だ。今更許せとは言わない…が、この者たちは関係ないはずだ。殺すなら俺を殺せ」
『事の発端はお前だが事の大元はそこにいる杏芽條未理恵の家だ、そしてこの船は杏芽條グループのもの。これだけ揃っていてもまだ関係がないとほざくか?』
すると操縦室の中央の窓が空く、そこには永子の姿があった。
「妹…私の妹!聞いて、あなたは悪くない…あなたがこうするのも正当なこと…でも、それを我慢してみんな生きてる…もう終わりにしよう…こんな惨劇…」
そしてしばらく沈黙が続き黒い真琴が口を開ける。
『…お前が言うならそれも悪くない、全て全て丸く治めてアンタらと楽しく過ごすのもいいだろうな…』
そう言うといつの間にか黒い真琴の目の前に立っていた真琴が手を差し出す。
「お前は本当にそれでいいのか?もういいだろ?さ、やめよう…」
黒い真琴は少し安著したような表情を見せる
…ザク
真琴の腹部を黒い真琴のドライバーが貫く。
『なーんて言うと思ったかマヌケどもがァ?もう手遅れだ!ここは丁度秘密裏に撃たれたミサイルの楽着地点、そして今俺はこいつをドライバーで刺した、これが何を意味するか分かるか輪廻永子ぉ?ハハハ!!ゲームオーバーだ!!また繰り返せるぜぇ?みんな死ぬ!』
すると未理恵が言う。
「はい、既に気づいていました。華原さんがあなたの気配を感じとった時にこの船はいつ沈められても可笑しくはないという事に、貴方がもし沈めようとするなら計器を術式で封じるはず、ならそれを解除すればいいということ。私達は囮です。あなたの気を引きつけその間に…」
…ドドドド
海から不気味な音が鳴る…
『…驚いた…どうやら俺が手を出す事もなかったみたいだな…』
黒い真琴はそう言うと船首から後ろへ倒れ込み消える。すぐに優美が真琴に駆け寄る。
「華原くん大丈夫?」
すると真琴が制服の下に着ていた防弾チョッキを脱いで言う。
「危なかった、これ着てなかったら俺死んでたぞ…」
すると涼は言う。
「いや多分死にはしないだろうけど…」
すると未理恵が大急ぎで言う。
「皆さん大変です!ここからかなり離れてはいますが地震がありました!今の音は地震です!津波が来ています!」
津波が来るまでのタイムリミットは15分を切っていた…
白い世界で…その船首で黒真琴は居た…そこに永子が歩いてくる。
「もう、沈むことは確定したというのか?」
黒い真琴は答える。
『そうではない、対策されれば津波なんて恐るるに足りない…』
永子は白い十字架を掲げて言う。
「もうこの世界も終わらせて、私たちは全員捕らえられることを望んでいない。」
黒い真琴はドライバーを構えて言う。
『当たり前だろ?お前らが望もうと望まなくとも俺は永遠に神であり続ける。永遠の世界で、時間など進ませずに!』
すると永子は唱える。
「聖者と愚者、一つを生贄とし二つの存在を完全に消失せよ…ロンギヌス!」
永子の十字架は槍の形となり黒い真琴へ飛んでいく。
『自暴自棄の禁術か、知識はやはり多い方が倒しがいがあるなぁ!ハッハハハ!!消えよ!』
黒い真琴がそう言うとロンギヌスの槍は消える。
『ここでは俺が神だ、お前は俺には逆らえない。安心しろ、お前も永遠に仲間たちや俺とここで生きられるんだよ?この鳥籠の欠片の中で!』
黒い真琴がかざした欠片は紫色に光っていた。
「クズが…絶対に変わる…こんな運命絶対に変わる!」
黒い真琴は言う。
『いいや、変わらない!しつこいな…そうだ!賭けをしよう。俺が勝ったらあんたはもう二度と俺に逆らわない、さぁ、自信があるんだろ?じゃあ言えよ』
永子は言う。
「私が勝ったら、私たちをあるべき場所へ返しなさい!」
『交渉成立、禁術、ジャッジメント・ヘブン』
すると二人の腕には交渉を意味する腕輪が…
『さぁ、駆け引きの始まりだ、楽しもうよ、お互いに…ククク、アーッハハハハハッハ!!』
黒い真琴はそう言うと白い世界から消え船尾へ移動していた。
その顔には恐ろしい笑みを浮かべているにもかかわらず、片目から涙が一筋流れた。
真琴:あー疲れた、風呂入ろ
永子:私、先はいる…
真琴:…
涼:ん?どうした?風呂行くんじゃなかったのか?
真琴:なんで修学旅行の男子部屋に女子が!ましてや高校生でもない女子が風呂入ってんだ!
涼:いや知らねーし、てかお前先週とあるものを引き当ててしまったよな?
真琴:今それは関
係…
涼:問答無用(╬゜◥益◤゜)
真琴:▂▅▇█▓▒ (’ω’) ▒▓█▇▅▂
真琴:ちょっとやめろ!マジ死ぬ!!死ぬ!!うわああああああ!!!アッー!!!
未理恵:へ、部屋の中で一体何が…?
優美:それでは次回
未理恵:なんとか今までにない世界へたどり着くことができた私たち。
優美:けれどもまたしても予想外のイレギュラーが起こってしまう
江利奈:で白い世界での二人の賭けはどう転ぶのかー
永子:あ、…予告…
未理恵:部屋の中はどうなってました?永子ちゃん?
永子:なんか涼が真琴を…
江利奈:じ、次回へ続くー!
優美:あぁちょっと気になるのに!
涼:ねぇ美味しい?美味しいよなぁ風呂の湯?
真琴:やめててててててええええ▂▅▇█▓▒ (’ω’) ▒▓█▇▅▂




