部活と顧問
ひと夏の思い出。それははたして青春か…
顧問なき部活…それはほんとに部活か…
真実は…いつも信じた者を裏切るのだろうか…
アルカは研究所の自分の研究室にいた。
「社員番号24…入れ」
アルカがそう指示すると扉から霧子が入ってくる。
「お呼びでしょうか?アルカ・アステント様。」
霧子がそう尋ねる。アルカは言う。
「お前を呼んだのは理由がある。先の海での一件、逃げられたとは言え結果的に私はA-15に近づくことに成功し、黒い男の素顔も知ることができ、その能力についてもある程度は分かってきた。私はA-15と接点の深い霊学部に接触し、A-15の能力の正体と黒い華原真琴についても調べようと思う。そこで、しばらくの間この研究所及び黒い華原真琴の捕獲任務を社員番号24、他でもないお前に任せたいと思う。」
それを聞いた霧子は答える。
「ですがアルカ・アステント様…私はA-15は愚か黒い華原真琴にまで逃げられています…そんな私がそのような大役など…」
アルカは霧子を真っ直ぐ見て言う。
「これはお前にしかできない。何故ならお前は先の海の一件で失敗をしている…どうゆうことか分かるな?」
霧子はまさかと思い口に出す。
「次は…失敗は許されない…」
それを聞いたアルカは軽く頷き言う。
「その通りだ。そのプレッシャーがなくてはここは愚かあの黒い華原真琴等追えるわけがない。意味は分かるな。二度は言わないぞ。この大役は今のお前にこそ相応しい…責任は重い!心して任務を遂行しろ!」
霧子はそれを聞くと先程までのうろたえなど嘘かのように顔を引き締め言う。
「了解しました!黒い華原真琴の情報については随時報告いたします!」
アルカはそれを聞くと自分の白衣をたなびかせて黒いスーツケースを持って研究室を出て行った。
霊学部の部室では夏の蝉の声が聞こえていた。
「み…皆様お疲れ様でした」
未理恵がそう言うが真琴と江利奈は聞く耳を持っていない。あろうことか二人でTVゲームをしていた。
「ちょ…あ!くそ!また負けかよ…まぁ以外とゲーム機のゲームも楽しいもんだな。」
真琴がそう言うと江利奈は言う。
「そうでしょ?最近流行りのRPGテレビゲーム。これストーリーはあんまり面白くないけど対戦モードが色々選べて楽しいのよね。それに携帯みたいなスタミナ?だっけ?そんなものもないし課金もしなくていいから安心して遊べるから…まぁおすすめって訳。あ、あと未理恵、テレビ持ってきてくれてありがと。ホラーDVDや心霊動画が見やすいからとか言ってたけどこの最新型テレビ結構画質いいからゲームに使うとインパクトが違うのよねー。」
すると真琴が呟く。
「まぁ、携帯のソーシャルゲームはスタミナがあるってのが売りだと思うんだが…」
すると未理恵は呆れ声で言う。
「ここはいつからゲーム部になったのでしょうか…」
すると俊が苦笑しながら言う。
「っぷくくく…華原様に関しては昔からではないでしょうか?まぁ、江利奈様は最近ゲームにハマっておられるようですが…」
すると優美が言う。
「華原くんもヱリちゃんもつい二日前にあんなことがあったのになんでこんなに普通なの?」
それを聞いた江利奈は言う。
「だってあいつのこと考えても全然楽しくないじゃん?ていうかヱリっていうのはやめてよ!!」
すると真琴も続けて言う。
「まず手掛かりもないのにどうしろって言うんだ?分かってるのはあいつが俺と瓜二つの顔で永子や俺たちのことも知ってるってことだ…あの研究者たちのことも何もかもな…で、瞬時に移動が可能ってことだ」
すると未理恵は言う。
「手掛かりならありますよ、入ってきてください。」
未理恵がそう言うと部室のドアが開く。すると真琴は驚く。
「…お前!?」
「よう、マテリアル。」
久留涼だった。真琴は涼に質問をする。
「お前なんでこんなとこに…てか休日なのに学校来るのめんどくさくなかったのか?」
すると涼は答える。
「あぁ、今日来てくれたら課金アイテムくれるってそこのお嬢さんが言うから来た。」
すると未理恵は言う。
「本日はお忙しい中つまらぬところですが足を運んでくださってありがとうございます。では早速ですが本題に、久留さん、あなたが昨日、華原さんを見かけたのは本当ですか?」
すると涼は答える。
「あぁ、本当だ。確か近くのゲーム売り場に行った時なんだけどそこの近くで黒いロングコート着てなんか中二病全開のマテリア…じゃなくて真琴を見たんだよ」
すると真琴は言う。
「俺は昨日、そこには寄ってないしそんな服着た覚えもない。まぁ、ここに居るメンバーなら分かるんだが、そいつは俺でない偽物だ。」
それを聞いた涼は首をかしげて言う。
「え…?でもお前確かにいたぞ、話しかけたら普通にこっち向いてくれたし何してんだ?マテリアル?って聞くとなんか中二病大爆発で俺は惨劇がどうたらこうたらでって話し出してコイツもう頭終わったなって思ったんだけど最後に
『霊学部メンバーにこれ以上近づくな。お前は一応は友だ、お前には邪魔をされたくはない』
って言うと消えたんだよな…あ、そうそう、なんかこん時コイツ青いカラーコンタクトしてて吹きかけた。てかあいつはなんだったんだ?真琴じゃないのか?」
すると未理恵は言う。
「これ以上を知るとあなたには我が部へ入部して頂きたいのですがよろしいですか?」
すると涼は言う。
「まぁ、名前だけなら。言っとくけど俺はここへは来ないぞ。」
未理恵は答える。
「結構ですよ、気が向いたら来てくださっていいので」
それを聞いた真琴は未理恵に言い放つ。
「じゃあ俺も名前だけでいいだろ!」
すると俊が言う。
「っぷくく…往生際が悪いですね華原様…」
未理恵が続けて言う。
「元々、こんなことになったのは華原さんが原因ですよ?というよりあの男が華原さんと同じ顔な以上、部活に毎日参加してもらうことであなたの安全と私たちの安全を保障することになります。分かりますよね?」
すると俊が言う。
「万が一、華原様が欠席したことにより、お嬢様に危害が加わるのでしたら…華原様を縛り付けにしても良い…という事ですね。」
未理恵は微笑して答える。
「それが嫌なのでしたら今までどおり参加してくださいね。」
涼は少し笑って言う。
「ふふ…お前災難やな。まぁこれが運命だし受け入れたら?あ、そうだお嬢さん、課金アイテムの5000円分カードの報酬ってほんとにいいのか?」
すると未理恵はポケットから5000円分のネットペリカカードを取り出し、俊に渡す。
「俊、これを彼に…はい。よろしいですよ。元々こちらがお誘いしたのですから当然です。」
涼は旬からネットペリカカードを受け取ると俊に何かを渡す。
「そういやこれ、その黒い真琴だっけ?そいつがドロッ…じゃなくて去り際に落として言ったやつなんだけど渡しとくわ。」
未理恵は俊からそれを受け取る。それはカードだった。
「これは…アステント機関機密部…研究所!?」
すると俊が言う。
「これは…成程、そういう事ですか。となると…繋がりました、お嬢様。私たちを海で襲ったのはやはり…アステント家の関係者の可能性が高いと思われます。」
未理恵は涼に言う。
「久留さん、ありがとうございます。これで残念ながらあの男ではないですが当初の目的の永子ちゃんの真実に近づけました。これは感謝の印です。」
未理恵はそう言いながら立ち上がって涼の前に行きポケットから10000円分のネットペリカカードを取り出し涼に手渡す。
「10000!?ほ…ほんとにいいのか?」
すると未理恵は言う。
「この手掛かりはそれほどまでに重要な手掛かりなんです。」
涼はそれを受け取ると言う。
「分かった。これはありがたく受け取る。気が変わったから俺はここに毎日来てやる。いいか?」
未理恵は自分の席に戻ると答える。
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」
すると涼は荷物をまとめて帰る準備をする。
「もう帰るのか?」
真琴がそう言うと涼は答える。
「今日は生憎このあと用事があるんだ。そうだお嬢さん、次の部活っていつ?」
すると未理恵は答える。
「明後日の終業式後です。」
それを聞いた涼は部室のドアを開け部室を後にした。
「てかさ、さっきのあんたの知り合い?」
江利奈が真琴にそう言うと真琴は答える。
「あぁ…まぁ、唯一話せる奴…」
すると優美が真琴を睨んで言う。
「そういやあの子も華原くんと一緒でゲームばっかしてるよね。授業中」
真琴は優美のその目を無視して未理恵に問いかける。
「そういやお前なんであいつを呼び出したんだ?てか何故手掛かり持ってると分かった?」
すると未理恵が答える。
「いえ、ただ単に華原さんの近辺を俊達に調べさせていただけですよ。そしたら彼が気になる一言を言ったそうで」
すると俊が言う。
「そういえば、あいつ様子がおかしかった時あったな…ですね、彼のその証言から黒い華原様だとすぐにピンときました。そこでお嬢様に相談して現状に至ったわけでございます。」
真琴は言う。
「まぁ俺はそんな馬鹿みたいな格好はしないからな…おかしい訳だ…ん?何だお前らその目は!」
一同が真琴を無言で見つめる。すると江利奈が言う。
「あんただったらやりかねないわ…性格ぶっ飛んでるもん。」
冷たい一言だったにもかかわらず真琴は言う。
「ヲタクニートにはそんな体力ないわ…全く…」
すると優美がふと自分の携帯を見る。
「あ!もうこんな時間だ!」
優美の携帯には17:35と表示されていた。
「あら?香崎さん用事がおありで?」
未理恵がそう言うと優美は答える。
「今日このあと18時に出かけるんです…お先に失礼します。部長さん」
優美はそう言うと荷物をまとめ始める。すると真琴も言う。
「俺はこれからネットユーザーとオンラインで約束があるな…悪いが俺も先に帰らせてもらう。」
すると江利奈が言う。
「へーみんな忙しいのねーまぁいいわ。んじゃまた明後日の終業式…ね。」
優美が部室を駆け出そうとすると真琴が言う。
「あんま急ぐ必要ねえよ。母さんも待ってくれるだろ…それじゃ杏芽條のお嬢さん、帰るわな」
すると未理恵は言う。
「お二人ともお気を付けて帰宅してくださいね」
優美と真琴は部室を後にした。
「あの未理恵がねー成長したわね…」
江利奈は二人が立ち去ったのを確認するとそう言う。俊が呟く。
「そういえばお嬢様、気になっていたのですが…」
未理恵は首をかしげて言う。
「何ですか俊?」
俊が質問する。
「この部活の顧問は一体誰なのでしょうか?」
10秒ほど沈黙が訪れた…未理恵が口を開く。
「そういえば…いませんね…」
優美と真琴は駐輪場で自転車に乗っていた。
「さて帰るか。」
真琴がそう言うと優美が質問する。
「そういえば華原くんってあの黒い華原くんと二人の時何話してたの?」
真琴は言う。
「大したことじゃない…永子の事とかあいつの素性についてだけだ。気にするな…おい?ボーッとしてると18時超えるぞ。」
優美は焦って自転車に乗る。すると真琴が呟く。
「あいつって…何考えてんだろうな…」
優美が尋ねる。
「あいつ?黒い華原くんのこと?」
真琴は答える。
「いや、杏芽條のお嬢さんだよ…なんかいかにもなにか隠してるような…気のせいだといいが…」
二人は駐輪場を後にして自転車で帰っていった。
(さて…A-15は…今日はいないか…)
学校巡回と言う職務と偽ってアルカは永子を探していた。
「まぁ夏休みもあるし焦ることはしなくていいか…一番危険なのはあの男だが…うわぁ!」
アルカがそう呟いていると上から俊が降ってきた。
「赤田先生、少しご相談が…お時間がよろしければ霊学部の部室までご同行をお願いします…」
アルカは少し冷や汗をかくと答える。
「お…お時間ならありますが…」
(こいつ…空から降ってきたかと思いきやご同行…まさか俺の正体がばれたか!?)
すると俊が言う。
「良かった。この件は赤田先生以外には相談がしにくかったもので…」
アルカはきょとんとする。
「相…談?」
アルカは俊に連れられて霊学部の部室に来ていた。
「あの…それで相談とは?」
未理恵は言う。
「この部活を権力で作ったとはいえ私は一つ、欠けてはならない大事なものを忘れていました…」
アルカは尋ねる。
「権力?大事なもの?な、なんのことでしょうか…?」
未理恵は答える。
「早速なんですが…この部活の顧問になって欲しいんです!」
アルカは首をかしげて確認する。
「こ…顧問?でしょうか?」
未理恵は言う。
「如何にもです…部活を作ったのはいいんですが今更顧問が必要だということに気づきまして…それに赤田先生なら以前の一件もありましたし話しやすいと思いまして…」
するとアルカは言う。
「成る程…顧問ですか…別に構いませんが具体的にどのような活動をされているのですか?」
(一応は安心した…正体はバレてはいないようだ…顧問ということはこいつらに近づけるということか…それはつまりA-15やあの男にも近づけるということ…好都合以外の何物でもない…)
俊が言う。
「霊場の調査をしたり霊についてを調べたりなど、霊の正体を追うというような形でやっております。以前もこの場所の廃墟に調査に行ったことがありました。」
俊はそう言うと以前行った廃墟の地図を渡す。すると…
「!…こ…ここは!?」
驚くのは無理もないアルカはその場所に見覚えがあった。
(ここは確か…以前俺が霊の研究をしていた場所じゃないか…しかもA-14の媒体にし、そして現地で作った場所じゃないか…よりによってここを探すとは…)
未理恵は質問する。
「赤田先生?どうかされましたか?」
アルカは答える。
「あ…いやここってとても危険な場所って聞いてたから大丈夫だったのかと思いまして…」
すると未理恵は言う。
「ええ、かなり恐ろしいところでした…ですが色々な手掛かりも得られました。」
俊はあるものを差し出す。
「これは…」
それはアトラ・アステント公爵のカードキーだった。もちろんアルカはなんなのかを知っていたがこれ以上驚くとまずいとわかっていたので平凡を装った。すると俊が説明する。
「これはアトラ公爵…名前はあまり知られていませんがお嬢様と同じ大富豪の家の当主のカードキーです。そしてこの鍵で地下のエリアへの潜入が成功したのですが…」
未理恵が続ける。
「魔界、というものが発生していたためこれ以上は近づけませんでした…」
その言葉さえもアルカは知っていた。そしてあの場所がどうゆう状況なのかを知った。
(成る程…あの設備は全て撤去したはずだがA-14の残滓に集まって魔界と化したのか…)
未理恵は言う。
「そしてこれを」
それはアルカの所員のカードだった。
(26…これは…)
「これは黒い華原様が落としたものだそうです。以上の証拠から永子様と黒い華原様は高い確率でアステント家とかかわり合いがあると思われます…」
すると未理恵が言う。
「ですがこれはあの黒い華原さんが落としていったものだそうです…ですのでまだアステント家の仕業かは分かりません…」
するとアルカは言う。
「随分と霊とは関係のないことを調べてるみたいですが…これは何か理由が?」
未理恵は言う。
「霊は関与してますよ。推測ですがアステント家のアルカ・アステントは霊に関心があったとありますし…」
アルカは言う。
「活動内容は理解した。顧問は受け入れよう。ただ、その訳の分からないところに首を突っ込むのは感心しない…」
すると俊は苦笑する。
「っぷくくく…そう言われましてもこの近くに霊場はあまりないので活動ができないんですよ…このくらいしかすることがないのです。」
アルカは言う。
「まぁ、俺も忙しいからたまにしか顔は出せないが名前だけなら顧問にしといていい。じゃあ仕事に戻るので失礼する」
アルカはそう言う部活の書類の顧問の枠に自分の名前を書き入れ部室を後にした。
『ほーう…そうするのか…いやはやびっくりだぁ…お前が敵の顧問だとはなぁ?くく…どうゆう誤算だか…』
黒い真琴はそう言いながら真琴たちの通っている学校の屋上で立っていた。
『…少々、俺も気を付けないとな…』
黒い真琴はそう言うと姿を消した。
黒真琴「で?なんで俺がこのあとがきに呼ばれる?」
アルカ「そうだな…そろそろ出番が多くなってきたからじゃないか?」
黒真琴「そりゃ仕方…てかお前とっととくたばれよ…」
宵夢「…今回も俺の出番なしか…」
アルカ「誰だお前は!?」
宵夢「序盤の方に出てきたゲスモブキャラだよー…って言っても序盤」
黒真琴「そりゃお疲れ様なこった。」
アルカ「さて、時間のようだな…」
黒真琴「ついに顧問になった死に損ない。そしてゲスモブの出番はあるのか?」
宵夢「…お前は楽しそうだな…」
永子「次回へ…続く…」




