第2話
次にエリックが目を開けた時、彼は荒野を行軍中だった。
戸惑う彼は周囲を見回す。
「ここは……?」
「歩きながら居眠りか? 器用なもんだな」
皮肉交じりに笑うのは、隣を歩く中年の男だった。
男はエリックと同時期に徴兵された商人である。
エリックは汗を拭いつつ早口で説明する。
「この先の戦場で殺される夢を見た。帝国軍の魔術師部隊が出てきて俺達は全滅するんだ……」
「ははは、縁起でもねえな。でも安心しろよ。ここは前線の中じゃ戦略的価値の低い僻地だ。エリートの魔術師どもが出張ってくることはねぇ」
「そうだといいが……」
「おいおい、ただの夢に怯えるなって。俺達の任務は偵察と拠点の設営だ。ちょっと隠れながら頑張るだけで安全に帰還できる仕事さ。気楽にいこうぜ」
男はエリックの肩を叩いて笑う。
一方でエリックは不安を捨て切れず、支給された剣を握り締める。
その際、何かが割れる音がした。
エリックが確認すると、剣の柄に亀裂が入っていた。
彼の行動に気付いた男が尋ねる。
「どうした?」
「いや、剣の柄が割れたみたいで……」
「不良品を渡されたのか。まあ大丈夫だろ。今回の任務じゃ使うこともあるまい。後で交換してもらえばいい」
「……そうだな」
エリックは首を傾げつつ剣を戻した。




