↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子ボートレーサーと市役所職員  作者: 池井 けい
第14章 五郎と志乃のシュークリーム  ~「ねぇ、私あと何日で死ぬの?」〜
PR
121/140

121 ★五郎と志乃のシュークリーム(その1) ~台風5号が強い勢力でこっちへ~

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【あらすじ】(ここから読み始めることも出来ます。センチメンタルなエピソード)

~~~ 妻「ねぇ、私あと何日で死ぬの?」、その問いに夫は…… ~~~


 市役所の年金課長・井手五郎。職場ではひょうきんでおちゃめな上司として振る舞い、休暇理由も「痔の治療」と冗談めかして話していたが、実は妻・志乃が末期の膵臓ガンで入院していた。

 日に日に病状が悪化し、腎臓へ転移して透析が必要となる中、互いに相手を思いやるがゆえに明るく振る舞い続ける夫婦。志乃は夫の生活を心配し、独身の親友・京子に五郎の食事の世話を頼む。しかし、悲しみと看病の疲弊に苛まれる五郎と、彼を支えようとする京子との距離は徐々に縮まっていき……。

 30年前の甘酸っぱい出会いの記憶と、残された命のカウントダウン。それぞれの優しさと嘘が交錯する中で迎える、夫婦の切なくも温かい愛の物語。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【登場人物】

●主要登場人物

井手五郎(いで・ごろう・52歳): 美浦市役所・国民年金課長

井手志乃(いで・しの・49歳): 五郎の妻(旧姓:今泉)

氏家京子(うじいえ・きょうこ・49歳):独身で志乃の親友


●職場・家族関係の登場人物

金塚年昭(かねつか・としあき・42歳): 国民年金課主任。

烏丸千歳(からすま・ちとせ・44歳): 国民年金課係長。

今泉清司(いまいずみ・きよし・77歳): 志乃の父親。

今泉幸子(いまいずみ・さちこ・73歳): 志乃の母親。

塩山雄二(しおやま・ゆうじ・60歳): 志乃の主治医(美浦第一病院)。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【前書き】

●この小説には多くの数字が出てきます。そこで読者の皆様が読み易いように横書きとなっております

●多人数での会話も多いことから、誰が話しているのか、すぐにわかるよう会話の頭に台本形式で、氏または名を付けて表現しました

●この物語はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません。市役所職員をモデルに、フィクションとして制作されたものです

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【01】 井手五郎、昨日の休暇の理由は嘘


 朝8時。美浦市役所・国民年金課の始業前。

 課長は井手五郎(いで・ごろう・52歳)である。昨日休んでいた井手が出勤して来た。

 金塚年昭(かねつか・としあき・42歳)主任が、

金塚「おはようございます!」

課長「おはようさん!」

金塚「体調はいかがですか?」

課長「うーん、齢のせいか、イマイチだね」

金塚「どんな状態なんですか?」

課長「年齢と共に腹は出る、髪の毛の地肌は出る、新聞読みゃ(字が小さくて)涙が出る、トイレに行けば痔が出る、痔を診てもらいに病院に行ったら金が出たよ」

金塚「そうですか、お気の毒に」

課長(あまりウケなかったなぁ~、金塚さんクソ真面目だからなぁ~)

課長「いつもながら早くから仕事してるんだね」

金塚「私、仕事が遅いもんですから」

課長「そんなことはないだろ」

 そう言うと、井手五郎は席を外した。


 それから20分後。係長の烏丸千歳(からすま・ちとせ・44歳)が出勤してきた。

 金塚がパソコンで天気予報を見ながら呟いた。

金塚「(台風)5号が強い勢力でこっちへ向かってるらしい」

 それを聞いていた係長の烏丸千歳が

千歳「えっ!!! 五郎が強い性欲でこっちへ向かってるらしい?」

 そう言うと、千歳は周りをキョロキョロして井手五郎課長を探した。

金塚「違いますよ、台風5号が強い勢力でこっちへ向かってるらしいんです」

千歳「はっはっははは」

 豪快なごまかし笑いを飛ばした。

千歳「そうよねぇ、五郎さん、もういい齢ですもんね」

金塚「そういう問題じゃないでしょ。大丈夫ですか係長?」

千歳「はははは」

 千歳は再度笑い、ごまかした。そんな時、課長の井手五郎が戻って来た。


 千歳は、まともに課長の顔を見ることが出来ず、課長の足元をチラッと見て、課長だと確認すると、また机上に視線を戻した。

 課長は、そんな千歳の様子を見てか、

課長「貫禄充分、足の長さは不十分だろ。ははははは」

千歳「いえ、そんなつもりじゃ」

課長「なんか楽しそうだったね」

千歳「あっ、すみません」

課長「気にすることはないさ。たまには職場に笑い声も無いとな」

 そう言うと、課長は座っている千歳の後ろを回って自席に着いた。


 井手五郎が『痔を診てもらいに病院に行った』と言うのは嘘だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。