表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。  作者: よっちゃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

第19話 盗まれた一張羅

ノクターンでR18版の執筆を始めました。

元々少しエッチなエピソードが多いので、R18版の方がよりハーレムメンバーとのやり取り(意味深)を描写できていると思います。特にイラストは気合いが入っています。 ぜひノクターンでR18版もお楽しみください。

 

 水の都、そして聖都でもあるベネザエラ。

 その中心にそびえる大神殿は、今日も(おごそ)かな空気に包まれていた。

 白亜の回廊。磨き上げられた床。高く差し込む光。

 その最奥――祈りの間に、一人の女性が静かに(ひざまず)いている。


 聖女――リシェラ。


 長い蒼髪を背に流し、清廉なる衣を纏うその姿は、まさしく神に仕える者にふさわしい気品を備えていた。


「……本日もまた、御加護に感謝を」


 澄んだ声で紡がれる祈り。

 両手を胸の前で組み目を閉じる。

 信徒たちから見ればそれは完璧な“聖女”の姿だった。

 慈愛。献身。清浄。


 ――ただし。


(ああ……女神さま……)


 その内面が、完全に同じであるとは限らないが。


(本日もお美しいのでしょうか……いえ、きっと……間違いなく……)


 ほんのわずかに、頬が緩む。


(直接お会いしたい……その御姿を……この目で……)


 祈りの言葉は続いている。

 だが、その内容は次第に――


(触れてみたい……クンクンしたい、ああ、でも恐れ多い……しかし……)


 少しずつ、少しずつ、方向がずれていく。


 やがて。


「……聖女様、本日の務め、以上にございます」


 すっと立ち上がる。

 表情は、再び完璧な聖女へと戻っていた。

 振り返れば、控えていた侍女が一礼する。


「この後のご予定はいかがなさいますか?」


「そうですね……」


 柔らかく微笑む。


「少し、出掛けてきます。気分転換に」


「……かしこまりました」


 侍女は何も言わない。

 だが、その行き先を察していることは明らかだった。


 聖女は一人で出かけることがある。

 しかも、決まって“同じ場所”へ。


「では、しばらく席を外します」


「お気をつけて」


 軽く頷き、リシェラは人払いされた一室へと向かう。


 扉が閉まる。

 空気が、わずかに揺らいだ。


「……ふふ」


 誰もいないはずの部屋で、彼女は小さく笑う。


「今日も、あの場所へ……」


 指先が、空間をなぞる。

 すると――

 何もない空間に、ゆらりと歪みが生まれた。

 聖女のみが扱える、秘匿の転移スキル。


「私だけの秘密の温泉」


 期待に胸を膨らませながら。

 彼女は、ためらいなくその歪みへと足を踏み入れる。

 光が弾け――姿は消えた。


 ──────────


「そろそろ上がりましょうか。

 TS女神さま、もうよろしいでしょうか」


 エリーゼの一言で、全員が頷いた。


「ここの湯は最高だったな。霊体の体でも、たっぷりと温泉を堪能できたぞ。……機会があれば、また来よう」


 名残惜しさを感じつつ、湯から上がる。

 四人はそれぞれ体を拭き、着替えに手を伸ばした――その時。


「……あれ?」


 おれは、ぴたりと動きを止めた。


「どうしました?」


 ミーナが不思議そうに振り返る。


「ない」

「え?」

「おれの服がないぞ」


 一瞬の沈黙。


「……え?」


 ミーナが固まる。


「いや、ちょっと待て。確かにここに置いたはずなんだが……」


 岩の上。荷物の置き場。湯気の向こう側。

 視線を走らせる。

 だが――


「……ないな」

「え、ええええ!?」


 ミーナが慌てて声を上げた。


「ちょっと待ってください!? 時間が経って消えちゃったとかじゃないですよね!?」


「まさか」


「でも結界は張っていたはずだよね?」


 ニキも周囲を見回しながら眉をひそめる。


「うん。外部からの侵入、特に“魔物”と“男”は弾くはずだ」


 エリーゼが冷静に状況を整理する。


「……つまり」


 三人の視線が、同時におれへと向けられる。


「女性なら通れる、ということですよね?」


 おれは静かに(うなず)いた。


 湯気の向こうに、わずかな違和感。

 言われてみれば、誰かに見られていた気もする。


「……まあ仕方ない」


 おれは近くのタオルを手に取り、体に巻き付けた。


挿絵(By みてみん)


「裸でうろつくわけにはいかないからな。

 といって、おれのような美少女がタオル一枚でふらふらするのも問題だ」


「TS女神さま、魔法で犯人がわかりませんか?」


「ふむ、あの一張羅には俺のムフフな匂いが染み付いているはずだ。それを探ってみよう」


 目を閉じ、意識を集中させる。

 失われた“唯一の一張羅”の香りを――


「……む、見つけた!」


 ゆっくりと目を開く。


「場所は――んんん? 水の都ベネザエラとなってるぞ」


「え?」


 ミーナが目を瞬かせる。


「み、水の都って……私たちが今から向かう場所ですよね?」


「ああ、そのはずだ」


 ニキが腕を組む。


「いやいやいや、ちょっと待って。偶然にしては出来すぎじゃない?」


 エリーゼも静かに頷く。


「確かに。盗まれた衣服が、目的地にある……偶然とは考えにくいですね」


「ふむ……」


 おれはタオルの端を押さえながら考える。


「つまりだ」


 三人がごくりと息を呑む。


「サービス回は……終わったと油断していたが、エタりのやつはまだ続けるつもりだ」


「「えええええ!?」」


「まあ、それはいい。こうやっておれが体を張ってお色気担当をすれば、それだけ他の者が被害に遭わずに済む」


 おれは胸を張ってそう言い切った。

 実際それは正しいだろう。お色気担当にも自信はある。


 しかしそれはともかく、敵は少なくとも神聖魔法の結界をすり抜け、なおかつ気配を残さず衣服を持ち去る存在……相当な手練れかもしれん。


「温泉は堪能したし、せっかくいい気分なんだ。服のことは水の都に行くついでだと思えばいい」


「それなら、あちらで何か新しい服を買いましょうよ。TS女神さまなら何を着ても似合います!」


 ミーナが目を輝かせる。


「そうと決まれば、早く参りましょう」


 エリーゼも続く。


「盗んだのが誰か知らないが、必ず後悔させてやる」


  ニキが低く呟く。


「……私だって、ちょっと欲しかったのに」


「まあまあ、そう怖い顔をするな。

 服がなくたってな、おれは透明になって不可視にもなれるんだぞ」


 おれはそう言うと、意識を集中し体を透明にする。


「あ、本当だ。TS女神さまが見えなくなった!」


 フフフ、びっくりさせてやろう。

 おれはタオルを脱ぎ捨て三人の正面に回る。


挿絵(By みてみん)


「どうだ見えないだろう? それに驚くなよ?

 今、おれは何も纏っていないのだ!」


「ちょっとTS女神さま!変なことをしていないで、タオルを巻いてください!」


「わははは、何かいけないことをしている解放感を感じるな。このまま水の都に行ってやってもいいんだぞ!」


「貴女様は()()女神さまなんですから、変なことを言わないでください!」


 こうして。

 温泉での一幕は、思わぬ形で終わりを迎え――

 物語は、いよいよ水の都ベネザエラへと、大きく動き出すのだった。



 次回、水の都編突入。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 もし少しでも面白いと感じていただけたら、 ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ