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第二部 中盤 異能開発機構回顧録 1 章末

それからどれだけの時間がだっただろうか。

ただ過ぎ去る日々の最中、目の前に現れ続ける人を、俺は殺した。

殺して、殺して、殺して、殺して。

殺して殺して殺して殺して

コロシテコロシテコロシテ

殺して殺して…、殺した。

殺すしかなかった。

いや、殺せるほどの実力があった。

殺せるほどの正気があった。

嘆くべきはそこなのだろうが、俺にとってそんなことは瑣末なことでしかない。

悲劇を繰り返さないために、悲劇を産まなければならない。

狂気に身を奴し、己すら騙して、役割に準じて、道化になりきるしかない。

俺は一体何をやっているんだろうか。

ふとそんな疑問が頭をよぎるが、そんな思考を許さんとばかりに、殺戮は続けられる。

思いを捻り、心を砕き、命を踏み躙る。

なんとも怪物らしい、愚かな末路であろうか。

だが、役割に徹すると決めた以上、俺はこの道を辿るほかない。

碌でもない最期にしかならんだろうが、それでも望み歩む道。

どれだけの屍を築こうと、どれだけ血に塗れようと、俺を救う人間なんていない。

いや、最初から救われる気のない人間など、救うことの方が難しい。

俺は寂しいのだろうか。

この道程に隣人など存在しなければ、理解を示す友人もいない。

ただ一人で、孤独に、愚かに、愚直に邁進するだけ。

俺は悲鳴をあげているのだろうか。

いや、すでに悲鳴は上がっているのかもしれない。

けど、それが己が心の警告なのか、それとも目の前の人間の断末魔なのか区別がつかない。

でも、それでいい。

俺は人間をやめたのだ。

怪物になったのだ。

おおよそ人間が持ちうる感情など邪魔でしかないのだ。

だから、俺は今日も殺戮をする。

残酷な二者択一を提示して。

「選べ。戦って死ぬか、無抵抗に殺されるか。dead or dieだ」

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