第二部 前半終劇
瞼をゆっくりと開いて体を起こすと、そこには墓があった。目に入った墓には名前が書いてあり、その隣には何故か数字が書いてあった。
「なんだ、これは」
周りを見渡すと墓はどこまでも広がっており、まるで墓苑のようだった。
「天国か?それとも地獄なのか?」
疑問符を浮かべながら、墓の間を歩き始める。
どこまで行っても墓があり、手なぐさみに指折り数えていたが、10万を超えた後辞めた。
「墓もおかしいが、これも一段とだな」
目の前には大きな十字架があり、それをぐるりと囲うように墓が配置されている。
「…!?」
試しに触ろうと手を伸ばしたが、その十字架に触れることはできず、腕は十字架を貫通した。
「はぁ、百道と戦ってからおかしいな。そもそも、俺は死んだはずだぞ」
「遅かったな、待ちくたびれたよ」
「…ッ!?誰だ!」
「誰だも何もクソもないよ。自分なんだから」
十字架の影から、一人の少年が姿を現す。その少年の髪は色素が抜け落ちたような白髪だった。
「誰だ…、お前」
「失礼だな、零だよ。あれ、今は歴木言葉だったか」
少年は近くの墓に腰を下ろす。
「ほら、そこに座りなよ。説明してあげるからさ」
「あ、あぁ」
促されるまま、零の隣の墓へと腰を下ろす。
「あ、ちなみにこの墓は僕と君のだから、気にしなくていいよ」
「なに!?」
足元の墓を改めて確認すると、そこには確かに書いてあった。"歴木言葉"と。
「さて、語ろうか。僕のことを、そしてこれからの君のことを」
零は言葉へと向き直り、ニヤリと笑う。
それはまるで、悪魔の微笑のようでもあった。
第二部前半完。




