ジェフ
サムと別れた俺はまだすぐには帰らずサムに倉庫の場所を教え明日雇う予定の子供たちを連れてくるように伝えて別れた。
そして店から零れる光と喧騒を感じながらレットクラッカーの町を歩く。
従業員はサムが明日連れてきてくれる。後は護衛だけどこっちも一応当てがある。
負傷してクエストを受けれなくなった冒険者を雇うつもりだ。
最初はそこら辺のゴロツキでも雇うつもりだったけど、さすがにサムに犯罪をさせていた様な人間が来ても困る。
それに子供たちを雇ううえで護衛が子供たちの給料を脅し取るようなことになったら護衛の意味がない。
それに酒を売るうえで樽から勝手に抜いて横流しされても困るからな。
だから少しは信用ができそうな冒険者を雇うことにする。
できれば出身が孤児院やスラムの人が好ましい、それなら同じ浮浪児たちから金を脅し取るような真似をしないだろうと考えてだ。
ゴロツキは弱いものから脅し取ることに慣れてしまっていそうだから護衛には向かないからな。
酒癖は悪くてもかまわない、飲みたいなら至急してもいいと思ってる。
アルコール依存症だったらいきなりやめることなんてできないだろうからな。
少しづつ減らすか一日に飲む量を決めるかするしかない。
いきなり止めたって止まらないだろうからね。
ただ子供達に優しいかどうかが一番だろう、子供を雇うって決めたからには守らないとそのための護衛だからな。
後は俺の都合なんだけど、俺の作り出すポーションの実験台としても部位欠損してしまって働けない冒険者は最適だ。
恩も売れるしどの位のポーションを作ると部位欠損が治るのか知りたい。
俺の作れるポーションなんてゲームや小説の中でしか知らない。
だけどエリクサーは作れたからポーションも作れると思うんだけど、ゲームだとHPの回復量しか書いてないことが多いし部位欠損が治るかどうかわからない。
エリクサーを使えば部位欠損も治ると思うけどエリクサーって不老不死の霊薬としても知られてるから軽々しくつかえないんだよな~。
え?自分に使ってただろって?あの時は一番回復量が高い回復薬って考えて咄嗟に使ったんだよな~、どうだろうまさか不老不死にはなってないよな?
俺は永遠の命なんて望んでないぞ?人は死してこそ生を謳歌できると思ってるから不老不死なんていらないよ。
金持ちが不老不死とか好きそうだけど本当に不老不死になったらそれはそれで苦労すると思うんだけどな~。
だから絶対エリクサーは人前で作らないようにしよう。
部位欠損を治せるポーションと状態異常を治せるポーションを作り出してエリクサーの代わりに使うために実験が必要なんだよな。
俺は考え事をしながら目的の場所に入る。
そこは相変わらずの賑やかな喧騒に包まれた冒険者ギルドだった。
今は夜のためギルドに併設された食事処に人が集まり仕事の成功を祝って打ち上げをやっているようだった。
そんな中を俺は歩き回り特定の人物を探し出す。
その男は端の席でコップを傾け静かに飲んでいた。
彼の右腕は上腕の半ばから先がなくなっている。
そんな男に俺は近づき声を掛けた。
「すいませんこちら空いてますか?」
俺が男に尋ねると男は顔を上げ俺を睨みつけてくる。
ボサボサに伸ばし放題の緑色の髪から鋭い眼光が俺を見据える。
少しの間、男は俺を睨みつけた後小さな声で「座りな・・・」と声を掛けてきた。
俺はその声を聞き微笑み、男の正面に座った。
「それで、俺なんかに何の用だい。仕事を頼みたいなら周りにいくらでもいるだろう?
俺はこの通り片腕が無え、戦えない訳じゃねえけど昔の様にはもう無理だ。
そんな俺に何をさせようってんだ?」
男は俺は席に座ると直ぐに話し始めた。
驚いた、説明もしてないのに意気なり要件があるってばれてる。
まあ、確かに用もないのに働けなくなった冒険者に態々近づく奴はいないよな。
でも察しがよくて助かる。
俺は男の言葉に少し驚き直ぐに笑顔で要件を切り出した。
「私はセンと言います。実は貴方に護衛の依頼をしようと思いまして、それと新しいポーションの実験にご協力していただきたく思っています。
ポーションの性能次第では貴方の腕も治るかもしれませんよ?」
俺は営業スマイルをしながら男に依頼内容を話す。すると男は鼻で笑い。
「は!護衛依頼だけならまだ分かるが、ポーションの実験だと?
どんなヤバい薬作るつもりだ?負傷の治癒を餌にヤクの実験に使うつもりじゃないだろうな?」
男は俺を睨みながら言うので俺は首を横に振り否定した。
「部位欠損を治すポーションを実験したいのは本当ですよ、いくつかポーションを作るつもりなのですが、そのどれが部位を治癒できるか解らないので手っ取り早く部位欠損している人に使ってみようかと思いまして。
それに麻薬なんて作らなくても十分稼いでいますからね。貴方の飲んでいるお酒も私が卸している者ですよ?」
俺は説明をしながらこちらの事情も少し話す。
この席に着いた時からアセロラの甘酸っぱい香りがしていたから多分飲んでるのは鏡何だろうと鎌をかけた。
まあ今のギルドの中には二つの独特の香りが充満しているから確証はなかったんだけど、俺の言葉を聞いて男はコップの中に目を向けてから俺の顔を見たから多分あってるはずだ。
「なるほど、金はありそうだな。それにこの酒を売ってるのがあんたなら護衛が必要なのも頷ける。
ポーションについては・・・まあヤバイ薬だったら余分に金をもらおうか」
男は無精ひげを撫でながら言うと納得したようだった。
幾らポーションだって言っても初対面の人間に実験台になってくれって言えば疑うのも無理ないか。
こっちのポーションがどんなもんか分からないが俺が生成するポーションは回復することは間違いないんだ。
それはドクターエリクサーが証明してくれてるから、でも部位欠損や流した血液の補填はしてくれるのか分からないから実験してみるしかない。
さすがに自分の腕を切り落とすなんて怖くてできないからね。
俺が考え事をしていると男が話しかけてきた。
「それで給料はいくらなんだ?いくら怪我人だって言っても余り安いんじゃ受けるわけにはいかねーぞ?」
男が給料について質問してきたので俺は悩んでしまった。
いやね相場が分からないんだよね、1日1万リルぐらいか?
俺が悩んでいると男はため息を付き。
「行商護衛なら1日10万だ、街中の護衛なら1日1万も貰えりゃ大体のパーティーが飛びつくだろうよ。
大体1パーティー4人だとして1人当たりその4分の1貰えりゃじゅぶんだよ。
まあ俺1人じゃ護衛も限界があるから後何人か雇うんだろう?
ならさっき言った料金でいいと思うがな」
男の説明に俺は頷き了承すると男は頷き名乗る。
「じゃあ契約成立だ!俺はジェフこれからよろしくな旦那!」
「改めてセンですよろしくお願いします」
俺達はお互い名乗るとその場で飲み明かすのだった。
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