サム
俺達は衛兵詰め所から離れ適当な食堂に入った。
食堂は多くの酔っ払いであふれかえっていた。
そんな中、俺は空いている席に座り注文を済ませると目の前に座ってる子に話を切り出した。
「それでは話をしましょう、先ずは何で声を掛けたかですけどこれは簡単です。
ただ単純労働の人手が欲しかっただけです。私の作り出す糸を糸車を回して芯に纏めてもらいたいんです。
もちろん給料は出します。衣食住の保証と1日千リルでいかがでしょうか?」
俺は声を掛けた理由を連れてきた子に話して聞かせる。
最初疑い深く俺を見ていたが給料の話になると目を輝かせて聞いていた。
そうして俺が話し終わるとすかさず話しかけてきた。
「おっちゃん俺なんかにそんなに出して良いのか?それだけ出せば普通に人雇えると思うんだけど大丈夫か?」
目の前の子は俺の提案を信じられないという顔で聞いてくる。
だが俺はため息を一つして話し始めた。
「いや確かに雇えはするだろうけど肝心なのは俺を裏切らない人間を雇いたいんだ。
確かに君とあったのは今日が初めてで信用できるかなんてわからない。
でもどうせ雇うなら生活に困窮している人間の方が働いてくれるんじゃないかと考えたっからです。
考えてみてください、普通に仕事ができる人は私の所をやめても仕事はできる。
でも仕事にありつけない人間ならクビにならないために必死で仕事をしてくれるでしょ?」
俺はお道化る様に話し笑いかける。
それを聞いていた子供は笑い出し、一頻り笑った所でニカリ笑い。
「ああ良いぜ雇われてやるよ。こんな好条件で浮浪児を雇ってくれるお人よしなんていないからな」
目の前の子はそういうので俺は頷き握手するために手を出した。
だが子供はその手を不思議そうに見つめるだけだった。
「それじゃあ改めて、俺はセン、清水泉だ呼ぶときはセンでいいよ」
俺は握られなかった手を引っ込め名乗る。
すると子供は頷き名前を告げた。
「俺はサム、あいつらにスリをするように言われてたんだ。
年は分からねー気付いた時にはあの路地にいた・・・。
あ、でもスキルなら有るぜ!器用ってんだけどこのスキルのおかげでスリが上手くできたんだ」
サムはそういいながら自分のステータスを見せてくれた。
確かにステータスには器用の文字が書かれていて彼のスキルであることが分かった。
なるほど器用か、それなら製作系のスキルと相性がよさそうだな。
他にも弓とかうまくなりそうだ。サムは男の子みたいだから裁縫を覚えてもらうのはダメなのかな?
この世界で裁縫って女性の職業なのかな?元の世界なら有名デザイナーには男性もいたから別に男でも裁縫覚えてもいいと思うけど。
問題はサム自身か、もし他にやってみたいことがあるならそれが修行できる所に預けてもいいな。
鍛冶師ならこれから作る金属糸を売るために知り合うだろうけど、薬師はどうだろう?ポーションの販売先で探してみるか?
俺が考え事をしている間に注文が届き一旦食事に取り掛かった。
サムはよほど腹が減っていたのかすごい勢いで注文した食事を食べ、俺はサムの様子が落ち着くまで食事をしていた。
食事を済ませた俺達は水を飲み一息つくと話を続けた。
「それじゃあ仕事の説明するぞ。サムにやってもらいたいのは単純作業、糸車を回す作業が主だ。
その他は雑用だな、主には取引先の店に連絡をしてもらうことだな」
俺は崩した話し方で仕事の説明をするとサムは真剣な顔で聞き、俺の話が途切れた時にすかさず質問してきた。
「給料もくれるって言ってたけど衣食住?ってのは丁稚と同じってことでいいのか?
センさんの商会の丁稚として雇ってくれるってことでいいのか?」
サムの質問に俺は少し悩んでから頷き。
「そうだなそれに近いかな。だけど店舗を持っていないから寝泊りは倉庫でお願いすると思う。
服はこれから作ってもらうし食事は三食一緒に食べることになると思う」
俺はこれからのことを説明してからサムの顔を見つめる。
サムは深いため息を付いて俺を見つめながら話し始める。
「センさんあんた馬鹿なのか?いくらお人よしでも浮浪児にそこまで良待遇を与えるなんてしかもその上、給料まで渡すなんて大丈夫なのか?」
なんかサムに心配されたんだけど、そんなに俺世間知らずだったか?
確か丁稚は衣食住保証される代わりに給料は無いって聞いたことがあるけど、こっちの世界でもそうなのかな?
そう考えれば確かに良待遇なんだろうな。だができれば俺の能力について黙っていてもらいたいからな。
少しぐらい良待遇でも罰は当たらないだろ。
サムの言葉を聞いて俺が考え込んでいるとサムが話を続け始めたので俺はサムの話に意識を向ける。
「そんなセンさんに頼みがあるんだけど・・・良いか?」
サムは俺の顔を窺いながら話すことを少し躊躇するような顔をしていた。
そんなサムを見つめ俺は頷くとサムは顔を綻ばせて話を続け始めた。
「お人よしのセンさんに俺の知り合いの浮浪児も雇ってくれないか?
孤児院にも入れなかった奴らで、このままだと俺みたいにチンピラの使いっ走りに使われて。
下手すりゃ衛兵に捕まって奴隷かヤバイ仕事の片棒担がされて殺されるかだ頼むよ!」
サムは祈るように真剣な眼差しで俺を見つめながら説明した。
だが俺は直ぐに頷くことができなかった。
さすがに孤児院に入れなかった浮浪児を全員はさすがに無理だ。
少人数なら借りている倉庫で暮らすこともできるだろうけど、全部で何人いるかわからない孤児全員はさすがに雇いきれない。
養える人間なんて精々10人ぐらいだろう、それ以上だとさすがに養いきれない。
それに護衛も4人ぐらいは雇いたいから精々6人ぐらいだ。
俺はサムの話を聞いて雇える人数を計算して話し始める。
「サムのお願いもわかるけどさすがに浮浪児を全員雇うのは無理だ。
精々6人、サムを入れて後5人ぐらいしか雇えそうにない。
寝泊りは倉庫で二段ベッドでも買ってきて置いて暮らすしかないな」
俺が雇える範囲を話すとサムは直ぐに身を乗り出して話し始める。
「いい!それでもチビ達は何とかなる。
でも一番下は5歳ぐらいのまだ仕事とかしたことないガキだけどいいか?」
サムは雇ってもらいたい子供の年齢を言ってくる。
だがそれを聞いて俺は少し躊躇してしまった。
5歳か~そんな小さな子に仕事させるなんてさすがに気が引けるな~。
でも事前事業じゃないんだから働いてもらわないと雇う意味ないし、でもここでダメなんて言ったらその子がどうなるかわからないんだよな~。
あ~仕方ないここはお手伝いと割り切って雇おうそうしよう。
俺が百面相をしながら悩み肩を落としながら頷き一言「雇うよ・・・」と答えるとサムは椅子を蹴り倒す勢いで立ち上がり。
「ありがとうセンさんがあ人よしで助かった!」と言いながらいい笑顔で笑った。




