買い出し
俺達はウォルトと別れた後直ぐに倉庫を見に向かった。
倉庫街はレットクラッカーの北東の区域に有るらしい、農耕地帯が町の北東に広がっている。
そのため収穫した食料が東門から搬入される。だから倉庫街は北東に有るんだとか。
俺はイザベラから倉庫街のある場所を聞きながら東の大通りを二人で歩く。
東の大通りは所狭しと露店が並び売り子が声を張り上げて商品を宣伝していた。
うん、この辺りの露店はほとんどが食料品だな。
やっぱり倉庫が近いから利便性が良いのかな?食料品を売ってる露店が多いな。
「この辺りは町の人が買い物によく来る通りなんですよ。町の皆は東通りは町の台所なんて呼んでます。
逆に西の大通りは行商人が珍しい物を売ったりしていて、掘り出し物を探しに行く時に行ったりします」
イザベラの説明を聞きながら俺達は倉庫街に足を踏み入れた。
そこには体育館ほどの大きさの建物が何十軒と並んで建っていた。
「俺達の倉庫は・・・」鍵に付いたタグを見てそこに書いてある数字を確かめると倉庫を確認しながら倉庫街を進む。
しばらく歩くと俺達の倉庫が見えて来た。
「あそこがそうだな」俺は呟くと倉庫の扉に近付き鍵を差し込み鍵を開けた。
扉を開くとガリガリと擦れる音を立てながら大きな引き戸を開く。
倉庫の中はなにも無くガランとしていて広いだけの空間だった。
樽なら四段に積んでも天井には届かなそうなその倉庫を見て、俺は頷くと中に入りマジックバックから早速樽を取り出し置いて行った。
俺は奥から樽を置いて行き、マジックバックの中身を空にした俺は待たせていたイザベラを探して倉庫内を見回す。
イザベラが倉庫内を見回して歩き回っている所を見つけた。
「イザベラ、きみはここで働いて貰うことになると思うんだけど大丈夫かい?」
俺はイザベラに声を掛けながら近づくとイザベラは俺に頷き問題ないと返事をしてきた。
イザベラの答えを聞いて俺達は一度倉庫を出て買い出しに向かった。
「イザベラ、とりあえず糸車と機織り機意外だと何が必要かな?」
俺が必要な物を聞くとイザベラは考えるように手を頬に当て少し悩み話し始めた。
「そうですね・・・裁縫道具は一式自分の物がありますので大丈夫です。
欲しいとしたら水差しやコップなどの雑貨でしょうか後長机と椅子を数脚あれば問題ないと思います」
イザベラの答えを聞き俺は頷きこれから行く木工店で何を買うかを決めた。
結構買うものが多そうだな。仕事中はここに居なきゃいけないから必要な物は集めて置いといてあげないといけないな。
まあこの広さなら倉庫の三分の一を作業場にしても樽が200個は置けそうな広さが有るから全然余裕がありそうだ。
俺は簡単に計算してからイザベラと共にいつもの木工店へ向かった。
いつも樽を買っている木工店、この短期間で何度も樽を買ってるのでもう顔なじみになり始めている店員さんに俺は有るだけの樽を注文した。
「いつもすいません樽をあるだけ売って貰えますか?」
俺が樽の注文をすると少し驚いた顔をした店員さんはニッコリ笑って頷いてくれた。
「分かりました。あるだけとなりますと百個ほどになりますがよろしいでしょうか?」
店員さんの答えを聞き俺は頷きお金を払おうとすると店員さんが唐突に話始めたので俺はお金を出すのを止めて店員さんの話を聞いた。
「あ、支払いなのですがもしよろしければお客様の扱っている果実酒で支払っていただけると助かるのですがいかがでしょうか?」
店員さんの提案を聞いて俺は首を傾げてしまった。
だって俺は一度もこの木工店で酒の話をしていないのだ。
それなのに突然俺が売ってる鏡の事を知ってるのは驚くし、それを代金の代わりにしてくれなんて警戒しないわけがない。
俺が店員さんを訝し気に見つめると彼は頭を掻きながら事情を説明し始めてくれた。
「実はですね家の店に尋ねてきた客が家の真新しい樽に入った新しい酒について聞いて来たので知ってたんです。
あ、もちろんお客様の事は言ってませんよ。お客様の情報を聞かれたからって話すのは商売人としてありえないですからね。
ですが家のオヤジが職人たちと飲みに行ったときに自分の作った樽に入った新しい酒を飲んだらしくて、次その客が来た時は代金の代わりに酒で払わせろって言って来たんです。
木工職人としては腕は良いんですが商売はからっきしで私が商店を切り盛りしてるのにオヤジときたらまったく・・・。
ですが飲みに行くより安上がりにはなりますから渋々こうしてお願いしている次第でして、お願いできますか?」
店員さんは一頻説明してくれたので俺は頷き。
「でしたら倉庫まで運んでいただけますか?運び賃は別に瓶に入った果実酒をお渡しいたしますので」
俺が提案すると店員さんは嬉しそうに頷き「分かりました」と了承してくれた。
その後樽以外の機織り機や糸車、それ以外の細かな日用品を買うと運んでくれるようにお願いした。
木工店から帰って来た俺達は先に樽以外の必要な機織り機や糸車などの荷物をマジックバックから出して行き、取り敢えずイザベラの作業場所を確保していた。
その間に木工店から樽を摘んだ馬車が何台も倉庫に来ては樽を運び込む作業をしていた。
俺は運び込む作業を見ている間に最初に置いてあった樽を支払い用に一つ取り置いて置き、ポシェットから瓶を取り出しそれにも鏡を摘めて言った。
樽の納品は一日中掛かり暇をしていた俺とイザベラは運び込んでもらっている間に食事を済ませて木工店で揃はなかった物を買ってから倉庫へ戻った。
倉庫に戻ると作業も大体終わり最後の馬車から樽を下ろしている所だった。
作業も終わりかけていた倉庫に店員さんもいたので俺は声を掛けた。
「今日はありがとうございます。報酬なのですがそちらの樽に酒が入っていますのでそれを持っていったください。
荷運びをしてくれた人には1人1瓶になるように瓶に酒を入れてありますので一緒に持って行ってくださいね」
俺が報酬の説明をすると店員さんは笑顔になり頷き。
「分かりまして態々用意していただきありがとうございます。これでオヤジも喜ぶと思います」
店員さんはそう言うと近くにいた荷運びをしていた人に声を掛け報酬を空になった馬車に乗せると帰っていった。




