追加注文
「次の方どうぞ」
カウンターに居る女性係員が次に待っている俺達を呼ぶ。
その声に従い俺はカウンターの前に立つと女性係員が来店理由を聞いて来た。
「今日はどういったご用件でしょうか?」
女性係員に聞かれた俺はポシェットからギルドカードを出して提出しながら今日来た理由を伝える。
「今日は倉庫を借りに来たのですが」
俺が来店理由を言うと直ぐに女性係員は説明をし始めてくれる。
「ご自分で倉庫を借りられると言う事でしたら倉庫の貸し出し料金は一月で10万リルになります。
更新にはギルドに来て貰い延滞期間とその月分の料金を支払っていただきます。
料金が延滞された場合一か月の猶予が有りその間に延滞料金が支払われなければ倉庫内の荷物はギルドの所有物になります。
この点に関してはギルド倉庫と一緒でございます。
後はギルドで警備は雇っていますが借主が護衛を雇っている所もございます。
貸出倉庫の荷が盗難にあってもギルドでは補填致しませんので警備に不安が有る場合は冒険者ギルドで警備を雇う事をおすすめいたします。
以上で説明を終わりますがご不明な点は御座いますか?」
女性係員が倉庫の説明をしてくれるのを黙って聞いていた俺は理解した。
話しを聞くと倉庫の荷は自分で警備を雇った方がよさそうだな。
まあ泥棒に入られても空の樽が並んでるだけだろうけど。
問題はこれからイザベラに作ってもらう糸や布なんだよな。
色々な糸や布を作ってもらうつもりだからそっちは盗まれると困る。
元では俺のスキルだからそんなに損はしないんだけど・・・いやこれからはイザベラの給料が掛かるんだからそんな悠長なことも言ってられないか。
俺はこれからの事を考えてから女性係員に「大丈夫です」と答える。
すると女性係員は12と書かれた木札が付いた鍵をカウンターに置きさらに説明を始める。
「こちらが倉庫のカギになります。扉に大きく同じ数字が書いてある倉庫が貸し出しになりますのでご了承ください」
女性係員の説明が終わり頭を下げてきたので俺はポシェットから大きな四角い銀貨をカウンターに置き鍵を受け取り礼を言うとギルドを離れようとした。
だがそこに声が掛けられた。
女性職員の後から掛けられた声に反応してそちらに目を向けるとウォルトがニコニコと笑顔を振りまきながら俺のいるカウンターに近づいて来た。
「こんにちはセンさん実はご相談がございまして・・・少しよろしいですかな?」
ウォルトはそう言うと俺達を上の階へと案内する。
う~ん、この人が態々俺に声を掛けて来たってことは十中八九ウィスキーの件だろうな。
これは追加注文かな?でも余り大量に出すと値崩れすると思うんだけど大丈夫かな?
「何でしょうか?」
俺は警戒しながらウォルトに返事をする。
「実はですね折り入ってお話が在りまして会議室を準備しておりますのでそちらへ移動致しましょう」
ウォルトは話しながらカウンターから出て俺達を3階への階段に案内する。
ウォルトについて俺達は3階に向かうとウォルトに進められるがままに扉を潜りソファーと机の有る部屋に通された。
「座ってください、今お茶をご用意いたしますので」
ウォルトは俺達にソファーを進め部屋に待機していた従業員にお茶の用意を頼む。
俺はウォルトに促されるままにソファーに座りウォルトが座るのを待っていると従業員に指示を出し終わったウォルトが正面のソファーに座り話し始めた。
「お待たせしました。いやーセンさんから買ったウィスキー飛ぶように売れましてもう一樽無くなってしまいました。
それで追加で注文出来ないかと思いまして、後ですね小耳に挟んだのですが、冒険者ギルドで売り出し始めた果実酒もセンさんが卸していると聞いたのですがそちらも商業ギルドへ卸していただきたいのですが。
もちろん定期的に卸していただけるのでしたら今回借りると聞いている倉庫の賃貸料金ギルドで負担させていただきます。いかがでしょうか?」
ウォルト申し出に俺は少し考えこむ。
倉庫の賃貸料金が無料になるのは嬉しいけどそんなに沢山買われたら値崩れしないだろうか?
その辺考えていないわけが無いから大丈夫だろう、それに値崩れしても元が黒ニッカだから問題ないかな。
逆に庶民に手が届く値段になってくれればそれはそれで嬉しい、そうなると俺が忙しくなりそうだが。
「分かりましたウイスキーと冒険者ギルドに卸している果実酒を商業ギルドにも卸します。
ですが今卸している所には私が直接卸しますので商業ギルドにはそれ以外の所へ卸していただきたいのですが」
俺は今卸している店には自分で卸して後は商業ギルドにお任せしよう。
「おお!ありがとうございます。いえね昨日からウィスキーの瓶売りを始めたのですが飛ぶように売れましてね。
それに冒険者ギルドで売っている果実酒の評判も良く当ギルドにも仕入れられないかと商人達から再三要請が来ていてどうした物かと悩んでいた所なのです」
商業ギルドに来る要請に商業ギルドも売れると思ったらしく冒険者ギルドに卸している人間を探したらしい。
そして辿り着いたのが俺で、しかも今日倉庫の契約に来ていると聞き倉庫を融通しても定期的に卸して貰えるように打診するようギルドマスターからも言われたらしい。
「いや昨日試飲用にと置いて行っていただいたウィスキーを幹部が集まる会議中に出してみたのですが、好評をいただき是が非でも定期的に卸してもらう様に打診するよう幹部全員が満場一致で可決されまして。
まあ一樽の3分の1は幹部がキープしているぐらい好評なんですよ」
ウォルトが苦笑いを見せながらウィスキーの評判を教えてくれた。
なるほどあの試飲用のボトルが効いたのか、酒なんて飲んでみないと分からない物だからね。
その分効果覿面だったな。鏡の方も好評見たいだしこれはいい傾向だな。
「それでは倉庫契約金の10万リルは御返し致します。
それでウイスキーと果実酒なのですが、ウィスキーは1樽、果実酒は二種類あるそうなのでそちらを各10樽頂きたいと思います」
ウォルトの注文を聞いて俺は戸惑ってしまった。
10樽はマジックバックに入っているが注文数には足りなかったからだ。
えーとそうなると先ず倉庫に行ってマジックバックに入っている樽を出して追加で樽を10・・・いや20買って来よう。
他にも必要な物が有るし倉庫の広さにも寄るから急いで用意しても明日いや余裕を見て明後日に取りに来て貰おうか。
「でしたら倉庫を見て準備も有りますので明後日の昼に取りに来ていただけますか?」
俺が納品日を言うとウォルトは笑顔で頷き「分かりました」と答えてくれた。
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