酒の噂
次の日俺が宿屋で食事をしているとイザベラが月の雫亭へと顔を出した。
「センおいちゃん女の人が来てるよ?」
エリナちゃんが不思議そうに俺にイザベラ来たことを教えてくれる。
俺はそれを聞いて俺は食事を終わらせて食堂の入り口に目を向ける。
そこには昨日より少し顔色が良くなったイザベラが立っていた。
俺は直ぐイザベラの下に行くと声を掛けた。
「おはようございます。約束通り来たのですね。
そのまま来ない可能性も有ったのですが、来てくれたこと感謝いたします」
俺が礼を言いながら頭を下げるとイザベラは両手を前に突き出し恐縮していた。
「そんな、貴方のお陰で久しぶりに食事を取ることができました。
本当に感謝しています。それに仕事まで頂けるなんて来ない訳無いですよ」
イザベラは礼を言ってくる。だけど俺はそれを手で制して話始める。
「いえ気にしないでください。俺にとってはちょうどいい出会いでしたので、これから裁縫もして貰わないといけませんので本当に気にしないでください」
俺がイザベラに改めて話した。
俺の言葉を聞いてイザベラが頷いたのを確認したから俺達は先ず仕事場になる倉庫を借りるため商業ギルドへ向かった。
今日は倉庫を借りるため荷車は置いて来ていた。
2人で商業ギルドの二階へと向かう、相変わらずギルドの一階は馬車が入れ替わり立ち代わり入っては出て行く。
その様子を見ながら駐車場の一階の奥に向かい階段を上るとカウンターの前には人が溢れ返っていた。
俺達はその列の最後尾に着くとこれからの事を話し始めた。
「倉庫が借りられたら先ずは糸車と機織り機を買いに行きましょう。
他には何か必要な物は有りますか?」
俺が必要な物について尋ねるとイザベラは頬にてを当てて考えてから話し始めた。
「そうですね。後あれば便利な物はかぎ針と刺繍枠、後はハサミと大きさの違う針でしょうか?」
イザベラの考えながら言った物を思い起こしながら考えた。
針やハサミは金属製品だから鍛冶屋かな?もしかしたら雑貨屋にも売ってるかも知れないけど、何時もの木工店に行って糸車や機織り機を買った後にゼルン商会にいって見ればあるかも知れないな。
俺は買い物で回る所を決めながら列で待っていると近くの商人が情報交換をしているのが聞こえてきた。
「なあ、あんたは飲んだか?あの酒」
質問してきた商人の言葉にもう一人の商人は少し考える素振りを見せてから話し始めた。
「うん?酒?ギルドで売り出してるウイスキーとか言う酒か?あの酒は美味いらしいが高くてなかなか手が出なくてな貴族には売れそうだが、精々瓶で買って貴族に持ちかけるぐらいだろうよ」
ウイスキーについて話した商人の話を聞いたもう一人の商人は首を振り話し始めた。
「違う違う!そっちも確かに美味いらしいが俺の言いたいのは冒険者ギルドで売り始めた酒の方だよ。
なんでもその酒、美味いのに手ごろな値段で冒険者ギルドじゃ一杯500リルで売ってるらしくてな。
その酒が昨日あたりから他の酒場でも飲めるようになったんだ。
俺もそれを聞いて樽で売ってくれって酒場の店主に頼んだんだが店主は頑なに売ってくれなかったんだよ。
んで仕入れ先を聞いてみたんだけど、初めて見る行商人が売り込んで来たんだと」
少し興奮して話しを振って来た商人にもう一人の商人は懐疑的視線を向けながら話しかける。
「なんだそりゃ?美味いのに500リル?そんな美味い話あんのか?
500リルっていや大体火酒と同じ値段じゃないか樽一つで105万リルか、そんなに出して買うほどの物なのか?」
懐疑的な視線を向ける商人の言葉にもう一人の商人は深く頷きながら呟く様に「美味い・・・」と答えた。
そんな二人の商人の話が聞こえてきて俺は自分の売っている酒の評判が広がってきている事を実感することになった。
それにしても鏡でも噂に上がるぐらいなのか、これはちょっと甘く見てたかも知れないな。
でも鏡の値段は上げるつもりは無い、あれは庶民でも手か出る様にって考えて売り出した物だからこの値段で良いと思ってる。
熟成期間も無い酒だしな。決して企業努力が無いわけではないんだけど熟成期間が無い分手軽に売れる。
まあそのために作られたような酒だしな。ここで鬼殺しとか売り出さないのは俺の良心だ。
さすがにあの酒を売り出そうと思わない、いやね俺も醸造アルコールの匂いがモロにするあの酒は流石に1回しか飲んだことが無い。
それに売れるか分からないからね。ドワーフなら強けりゃなんでも飲むイメージだから渡して見ても面白いかもしれないか?
でも他に美味い酒が有るのに渡す気起きないな。
俺は噂を聞いて酒について考えごとをしている間にカウンターの前まで来ていた。
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