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それは命の泉沸く  作者: 渡海
食料集積都市レットクラッカー
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契約

「それで、どうしますか?もし働いていただけるなら明日にでも必要な物を買いに行ったりしなければいけないですが、どうしますか?」


俺が質問するとイザベラは困ったように手を当てて話し始めた。


「お話は有り難いのですけど、話を聞く限りでは機織り機や糸車が必要になるのではないですか?

 でもそのような大きなものは私の今借りている家にはとてもじゃないですが入らないのです」


イザベラは少し恥ずかしそうに言うと目線を下げ申し訳なさそうに俯いた。

 あ~作業場所か、雇うなら作業場所は必要だよな。

 そうなるとやっぱり倉庫も必要か?倉庫の賃貸料金聞いておくべきだった。


俺が悩んでいるとイザベラが焦ったように声を掛けてきた。

 

「センさん、糸とかぎ針さえあれば編み物ぐらいはできますので」


イザベラは必死に俺に声を掛けてくる。

 そんなイザベラに笑顔で落ち着かせるように話しかける。


「大丈夫ですよ。明日か明後日迄には倉庫を借りようと思います。

 イザベラさんには付いて来て貰えればうれしいです。機織り機や糸車もイザベラさんが使うものですから一緒に見に行きましょう」


俺がイザベラに話しながら明日の予定を決める。

 それを聞いたイザベラは何度も頷いていた。

 頷きながら涙を流し、俯いたまま嗚咽を漏らす。


俺はそんなイザベラの様子を窺いながら落ち着くまで静かに待つ。

 その間に先ずどの糸から作ろうか考え始めた。

 先ずは無難な所から絹から作ろうか、でも蚕の体液から生成されるけど処理がめんどくさいよな。

 蚕の糸って確かそのままじゃ絹の独特な光沢が出ないんだよな。

 石鹸や灰汁、ソーダで洗わないといけないから面倒くさい、洗う作業で1人人数が必要になりそうだ。

 

そうなるとやっぱり先ずはアレを糸にしよう。

 太さに気を付けて引き延ばして髪の毛ぐらいに細くしないと糸としては使えないだろうけど。

 やってみるしかない、上手くいったら高級製品になるから売れるはずだ。


俺がイザベラにやってもらう作業について考えているとイザベラが落ち着いたのか顔を上げた。

 その顔は目が赤くなり眼の縁も赤くなっていた。

 

「じゃあ明日倉庫を借りて作業に必要な物を買いに行くから朝月の雫亭に来てくれ。

 後支度金として10000リルは渡して置くから必要なら使ってくれ」


俺はそう言いながらポシェットから小銀貨を1枚取り出しイザベラの手に握らせる。

 イザベラはそれに驚き金を返そうと声を上げた。


「そんなまだ何もしていないのに頂けませんよ。それにこのお金を持って明日私がセンさんのいる宿にいかなかったらどうするんですか?」


イザベラが手の平に乗った小銀貨を俺に渡そうと付きつけながら話す。

 それに対して俺は笑いながら答えた。


「いや別にそれならそれで問題無いですよ。支度金程度で満足して仕事に就く機会を棒に振る人に仕事は任せられないですからね。

 それにもし来なかった場合は他の人を探せばいいだけですから、問題ありなせんよ」


俺が笑顔で答えるとイザベラは呆気に取られた様に口を開け俺の顔を見つめる。

 少ししてからイザベラは笑い出し目元に涙が浮かぶほど笑った後話しだした。


「分かりました。明日月の雫亭へ参ります」


イザベラはそう約束して、俺達は食事をが済むまで話をしてその場は解散となった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


センさんと別れた後、私は家路に向かいながらセンさんについて考えていた。

 最初彼に声を掛けたのは、道を歩く彼を見た時細身で余り筋肉質に見えなかったから。

 この人なら暴力を振るわれないんじゃないかと考えたからだ。

 

来月には家賃を払わないと家を追い出される。

 だけどもう食事を買うお金もない、もう私には誰かに買って貰うしかない。

 そう決意して夜の町に歩いて居たけど、どうしても決心が揺らいで声を掛けることができなかった。

 だけどセンさんを見つけた時この人なら大丈夫なんじゃ無いかと思った。


彼の手を掴んだ時センさんはビクリと身体を震わせ驚いていた。

 その姿に私は少し安心していた。

 その後センさんに連れられてなぜか食事をすることになった。


私の感は的中してセンさんは私のステータスを見た後私に提案をしてきた。

 どうも彼は裁縫ができる人を探していたみたい。

 でも私は王都でのことで裁縫をするのに疲れてしまっていたから迷ってしまった。

 

でもセンさんは揉め事が起きたら逃げると言っていた。

 その言葉に私は(ああ、逃げて良いんだ)と初めて感じられた。

 すごく心が軽くなった。だからセンさんのやろうとしていることを見て見たくなっていた。

読んでくださりありがとうございます。


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