液体感知
俺は自分が操作できる液体が見ている物だけだと知ることができた。
だけどそれだけだとこれから絶対ピンチになる局面が必ず来ると思う、例えば水が全部氷らされるとか逆に蒸発するとか。
そんな状態じゃ見える所に有る水だけ使うとなると厳しいから、体内の血を何とか使うことを俺なら考えるだろうけど。
自分の体内の血なんて見えないから、どうにか見えていない液体も使える様になりたい。
俺はザブラアの身体に触れて、中の液体を感じられないかやってみる。
目を閉じ集中して何とか血の流れを感じる様に神経を集中させる。
するとザブラアの中の液体、血だけじゃなく中の体液も感じることができた。
例えるなら暗闇の中で液体だけが光って見えるような感覚だ。それを感じると同時に自分の中の体液や木の中に流れる樹液、大体100メートル位にある液体なら感じることができるようになったみたいだ。
俺は目を開けザブラアの中にある液体が傷口から外に出る様に操作する。
直ぐにザブラアの傷口から勢いよく血が流れ出しザブラアの身体が少し萎んだ様に見えた。
その後、俺はザブラアの腹を開き内臓を取り出した。
いやーマジグロイな、でも屠畜場の人がいつもこの作業をしてくれるから、俺は肉を食えていたんだから感謝しないとな。
グロかろうとバラしてしまえば肉だ美味しく頂かせてもらおう、俺は青い顔をしながら内臓を全部出し丁寧に中を洗う。
洗い終わったザブラアを逆さに吊るして皮を剥ぐ、初めて皮を剥ぐので皮を傷付けない様に脂身が少し残っても気にしないで置く。
「ふう、やっと皮を剥ぎ終わったぜ、大分脂身がついてるけど削ぎ落とせば大丈夫だよな」
俺は剥ぎ終わった皮を広げ穴が無いかチェックしながら、吊るして有った肉を水で包んで浮かせながら持っていく。
俺が作業をしている間に昼に近づいていた。青空の天辺まで来た太陽が森の中でも分かるほど俺を照らしていた。
そろそろ飯か、一度戻ってみんなを連れて一度村に戻るか、一応昼飯としてパンも貰って来てるから、木を切りに来ているみんなと話し合ってどうするか決めるか、俺は昼飯のことを考えながら森の外周部へ戻る。
俺が皆の所に戻るとみんなが集まって切り倒した木の枝を掃っていた。
俺はみんなに近付きながら片手を上げて声を掛けると、みんな顔を上げて汗を拭いながら返事をしてくれた。
「ただいま、ザブラアを一頭仕留めてきたぜ、これで肉が食えるな」
俺が笑いながらテス達に声を掛けるとテス達も笑い、喜んでくれた。
「おお、ザブラアを狩られたんですね、大きさも馬より二回り大きい!この分なら今日は肉が食えそうですね」
テスの言葉にみんなも嬉しそうにしている。
できればもお一頭ぐらい狩りたいな、肉は多いに越したことは無いからな。それにこのザブラアの頭、剥製にすればカッコいいんじゃないかな。
角も立派だし、あの猟師の家に有る鹿の頭の燻製とかカッコいいよな。
でも作り方が分からん、それとも骨だけ残して置いて飾りにするか、それでもいいな。
俺がザブラアの頭をどうしようか考えているとテスが話掛けて来た。
「旦那どうします一旦村に帰りますか?材木も今日の分は狩りましたので枝も払いましたし、今村から馬を連れてきて引いて持って行って貰おうと考えていた所です。
皆で担ぐと1本持ってくのがやっとですから材木を村まで持ってくだけでも夜になってしまいますからね」
テスはそう提案してきたので俺も頷いてテスの提案に賛成した。
それにどうせなら取れたての肉が食いたいからな、食欲が先走っているのは分かるのだがこりゃもう禁断症状に近いな。
余り肉にこだわらない様にしないといけないな。
「分かった一旦村に戻ろうか、俺も肉を村で調理して貰いたいからな、1人じゃ調理しきれないと思うから」
俺は水球の中に入ったザブラアを見ながらテスに答えた。
それから残して置いたレッドバレットの肉も水球の中に入れ、肉の中の血を水で洗い流しながら冷やした。
少し待っていると村の方から馬を2頭連れた村人が来たので残っていたみんなで木に縄を掛け牽引の準備をする。
俺は準備を手伝いながら木に触ってみる、木は切り倒されて間もない為か水分を多く含んでいる様で液体に意識を向けると木自体が薄く光って見えた。
う~ん樹液も液体だよな操作出来ないかな?木から水分が抜ければ大分軽くなるよな。
俺は今気付いたことを直ぐ実戦してみる、木に集中しながら水分だけを切断面から出る様に操作すると木から琥珀色の液体がドロリと溢れ出してきた。
俺はそれを一つに纏まる様に集めると一本だけで人と同じぐらいの大きさの水球になった。
大量だな、これ何かに使えないかな?水分が抜けるまで放置して琥珀にするか?
匂いは木の匂いがするな、味はするのかな?甘ければメープルシロップみたいに出来るかもそれに村の特産になるかも、見た感じ森には同じ木が大量に有る。
俺は樹液を見つめながら考える、そして指を樹液に付けて舐めてみた。
「あが、苦い、渋い!こりゃ食えたもんじゃねーな、でもなんか油っぽい?もしかいして火着くんじゃね?」
俺は樹液を舐めた感想を一人呟きながら試行錯誤を始める。
先ず始めに樹液をその辺の青い草に付けて火をつけてみる。
「お~い誰か火打石持って無いか?これ付けた所に火をつけて見てくれないか」
俺が声を掛けると一人の村人が俺の所に来て不思議そうに聞いて来た。
「何をしだしたんですか?火打石なんてここで焚火でもするんですか?」
村人がそんなことを聞いて来るので俺は笑いながら。
「いやちょっとした実験だよ、もしかしたら村の特産になるかもしれないから、これ掛けた所に火をつけて見て」
俺がそう言うと村人は顔を輝かせて笑い頷き、火打石を打ち付け始めた。
村人が火打ち石を打ち付け火花が飛ぶと同時に勢いよく青い草が燃え上がる。
それを見た村人の青年は目を丸くして驚いていた。
いや凄いな、何も処理してない状態でこの火の付き方は凄いな、これなら蝋燭替わりになるんじゃないか?
俺はそんなことを考えながら樹液を見つめていた。
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