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エピローグ 〜そしてお姉様は、永遠の伝説(システム)になる〜

世界が完全に「裏の皇帝ルクス」の掌の上でハッキングされ、歴史上初めての絶対的平和がもたらされてから、数ヶ月の月日が流れた。


地上の人々は、人間の大陸も、亜人の大陸も、魔族の大陸も、すべてが奇跡的な調停によって手を取り合う新時代を「神の恩寵」だと信じて疑わなかった。

表舞台では、あの脳筋勇者アレンが『世界平和の象徴』として、毎日各地の式典でピエロのように笑顔を振りまき、サイン責めに遭って血吐くような過密スケジュールをこなしている。


一方、世界のすべての権力と富が集約された【神話級空中要塞・アルカディア】の主制御室。


「――はぁ、やっと終わったわ。ルシア、これで世界中のすべての魔導通信網(インターネット)を、この要塞のメインサーバーへ有線接続(ハッキング)する作業が完了したわよ!」


俺の膝の上で、ティノが油まみれのレンチを掲げて満足げにフンスと鼻を鳴らした。

彼女の努力と俺の底なしの全属性魔力によって、地上で誰かが「ルシアお姉様」または「救世の女神」と呟くだけで、その発言者の位置情報、思想傾向、ひいては銀行口座の残高までが瞬時にこの玉座の間へスクリーニングされる『絶対監視システム』が完成したのだ。


「うふふ、お疲れ様ですわ、ティノちゃん。これでまた、世界が少しだけ『安全(独裁)』になりましたわね」


俺――女装美少女「ルシア」は、プラチナブロンドの髪を揺らし、完璧な淑女の仕草でティノの額の汗をハンカチで拭ってやった。それだけでティノは「う、うにゃぁ……♥」と蕩けた声を上げて俺の胸元に沈んでいく。


「ルシア様、人間の大陸の『元・聖教皇国』から、今期の貢ぎ物(ローゼンバーグ公爵家経由の裏金)が予定通り振り込まれましたわ。……ですが、大司教のジジイがまたルシア様に『一度だけでも拝謁したい』などと不埒な上奏書を添えておりましたので、我が家の私兵団を使って、その口を永久に利けないよう『処理』しておきました」


フランチェスカが扇子で口元を隠しながら、冷徹極まりない極道令嬢の笑みを浮かべて報告する。


「まあ、フランチェスカ様。相変わらずお仕事が早くて助かりますわ」


「いいえ、ルシア様のためなら、このアクアリアの全権を以て、世界中の海を氷漬けにすることすら容易いですわ」

エレノアが青い髪を払い、冷たい令嬢の笑みを浮かべる。


「ルシア様、今日も戦士科の訓練を終えてきました! 次にルシア様の前に立ち塞がる不届き者がいれば、魔王だろうが神だろうが、この大剣で細切れにして差し上げます!」

アリアが犬のように尻尾を振る勢いで俺にすり寄ってくる。


魔眼の【狂信】と度重なる調教を経て、彼女たちの愛と忠誠は、完全に世界の倫理の向こう側へとイってしまっていた。今や俺が「あの星を落として」と言えば、全員で命を削ってでも宇宙をハッキングしに行きかねない狂犬ハーレムである。


「……ルクス様」


影の中から、黒い衣装を纏ったレルエが静かに跪いた。


「どうしたの、レルエ?」

俺が一瞬だけ、14歳の本来の男の声(ルクス)を混ぜて囁く。


「アヴァロン学園の学園長より、ルシア様の『名誉卒業』、および学園の地下に『ルシアお姉様を永遠に祀るための純金製の等身大神像』を建立する許可を求める書状が届いております」


「ぶっ……!」


俺は危うく、最高級の紅茶を吹き出しそうになった。

名誉卒業はともかく、女子校の地下に俺の女装姿の純金神像が建てられるとはどういうことだ。これでは、俺が潜入していたアヴァロン学園は、完全にルシアお姉様を崇める宗教施設(総本山)ではないか。


「素晴らしいアイデアですね、学園長は。ウフフ……あはははは! ルクス様、その神像の内部に、私の特製の『即死呪詛(防衛バフ)』を仕込んでおきましょう。ルクス様の美しいお姿に、汚い女子生徒たちが気安く触れた瞬間、魂ごとドロドロに溶けて幸福な奴隷になれるように……♥」


背後から、黒いオーラを滾らせた聖女セレティナが、極上の柔らかさで俺の首に腕を絡ませ、トランス状態の笑顔で囁いてくる。


(いや、流石に母校を大量破壊兵器のトラップだらけにするのはやめて差し上げろ……)


とはいえ、断る理由もない。

表向きには、世界を救って天空へ旅立った「伝説の美少女・ルシアお姉様」。

そして裏向きには、天空の城から世界のすべてを監視し、富と技術とお嫁さんたちを独り占めする「絶対皇帝ルクス」。


男であることを隠したまま女子校に潜入し、気づけば世界の理そのものを完璧にハッキングして統一してしまった。

俺が望んだ「平穏な独裁ライフ」は、地上の誰も、神ですら侵すことのできない絶対のシステムとして、ここに完成を迎えたのだ。


「さあ、お嫁さんたち。今日も世界はとっても平和(俺の奴隷)ですわ。――私たちは特等席で、優雅にお茶会(世界調律)を続けましょう?」


俺がルシアの姿のまま、世界で最も甘く、そして最も邪悪な微笑みを振りまくと、公爵令嬢も、聖女も、名門の令嬢も、剣聖の卵も、天才職人も、全員が「はひぅっ……!」と顔を真っ赤にしてその場にメロメロになりながら崩れ落ちた。


雲海の向こう、青空の天辺に浮かぶアルカディア。

美少女の皮を被った怪物の覇道と、愛が重すぎるヒロインたちとの修羅場(ハーレム)は、世界の終わりまで、誰にも知られることなく永遠に続いていくのだった――。


(世界ハッキング令嬢 ――大団円にて完全完結! ご愛読ありがとうございました!)

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