表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白昼の花火  作者: 椿原菜湖
11/11

10

「お湯、できました」

「ありがとう」

小夜は龍之介に湯呑みを渡した。

「まだお熱いので————」

「あっつ!」

龍之介は湯呑みを床に落とした。幸いにも割れなかったが、折角入れたお湯は全てなくなった。

「もう~!」

「ごめんごめん。折角入れてくれたお湯が」

「そんなことよりも、お怪我はないですか?あ、火傷!してないですか?」

「......うん。大丈夫だよ」

「あー洋服が。急いで布巾持ってきますね」

小夜は立ち上がり、再び台所に行った。

「ふきんふきん.......あれ~?どこだろ?」

小夜はあたふたとその場を行ったり来たりした。弥生さんから教わった付近の場所、小夜は困った。

「小夜ちゃん、ここにあるのは?」

「えっ!?」

机の下に、布巾が一枚、落ちていた。

龍之介は布巾を手に小夜の元に行った。

「これ?」

「これです!すみません。いま、拭きますので......」

小夜は少ししゃがんで龍之介のこぼれた服を拭いた。上から、龍之介の息が吹きかかった。

「よし!これで目立たなくなりましたよ!ほら、見て見て!」

小夜が上を見上げると、目の前に龍之介の顔があった。ちか、近すぎた......

「ん?」

小夜はそっと離れた。

「す、すみません」

「.......」

2人とも微妙な距離で立ち尽くした。

なにか、なにか考えないと————



「小夜ちゃーん!そろそろお店始まるわよー!」



「あ、はーい!今行きまーす!あの、全然、うちでよければゆっくりして行ってください。何かあったら、私たちそこにいるので。では!」

小夜は小走りで弥生さんの元に向かった。

「フッ......」

「いらっしゃいませー!」

小夜はいつものように、仕事を始めた。





「弥生さん、1つ、相談事がありまして」

小夜は仕事の合間を練って、弥生さんに話しかけた。

「どうしたの?」

「実は、午後の仕事なんですけど......」

「もしかして、龍之介くん?」

「へっ!?な、なんで?」

「だって、龍之介くん、普段より男前になってらっしゃるし、今日も仕事始まる前に2人で楽しそうに話してたから」

「お恥ずかしいばかりです.......」



「行ってらっしゃい」



「え?」

「貴重な時間よ。お店はいつでも出られるから、たまには息抜きに行ってきなさい」

「ありがとうございますっ!!」

小夜は居間で新聞を読んでいる龍之介の元に走った。

これまでにない速さで、彼の元にグッと近づいた。

「龍之介さん!どこ行きますか!」

「いきなりどうしたんだ」

小夜は龍之介を見て豪快に笑った。

肩を少しすくめて。

「それじゃあ、海でも行くか」

「海.....」

「小夜ちゃんは海が苦手か?」

「ぜんっぜん!龍之介さんとならどこへでも行きます!」

「ハッ......ハハ..」

「どうしたんですか?」

「いや、君は本当に元気がいいな」

龍之介は首を少し傾げて、さらに小夜を見つめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ