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「俺は優しい人じゃない。ただの……最低な小心者だ」




 苦笑ぎみで告げる。なんて、自分は弱い生き物なのだろう。




「この夏は、本当に楽しかった。俺にとって大切な思い出になったよ、ありがとう」




「だったら───」




 彼女の言葉を遮って、俺は告げる。




「 ダメだ、これでお別れしよう。俺と会ってるのを知られたら、きっと君は傷つく。そんな姿、俺は見たくない」




 とてつもなく、ちっぽけなやつだ。




「……」




 彼女は何も言わず、俺の腕から手を離した。




 涙でいっぱいの目を擦り、彼女は振り返る前に俺に告げた。





「わかった。……ばいばい」





 今にも消えてしまいそうな、小さな声だった。




 俺も去って行く。彼女とは違う方向へ。




 これは間違っていたかもしれない。しかし、後悔はしてなかった。




 お互いの為。仕方のないことなのだから。




 でも彼女に会えて、本当に良かった。




 上空の空に向け、ため息をこぼす。




 オレンジ色の光はそれをかき消すように、微笑んでくれている。




 公園の側の木々たちは、今から徐々に色を変えていくようだ。




 何もかも変化していく。普遍のものなど存在しない。




 あるとしたら、俺くらいか。





 夕暮れ時。夏の終わり。





 俺はまた一人になった。







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