第24話 謝罪と条件
「サクラちゃん、ごめんね? みんなもありがとう。」
ウルがみんなに謝っているのは、あの後ぐっすり寝てしまっていたことだ。1時間近く寝てしまい、目を開けた時はゲームの世界ではなく、ゲーム機のホームであった。ゲーム内で就寝目的以外での睡眠は危険だと判定され、ゲームからログアウトされるのだ。
ウルはすぐさまログインし、目を開けるとオブロンのホームであった。アルデに括り付け、護衛をしながら運んでくれたらしい。なぜか盗賊と三度戦い、PKと呼ばれる人にも絡まれていたらしい。
「本当に大変だったよね。ごめんね?」
「お詫びはいい。疲れるのは当然。みんなも気にしていない。」
「みんな、ありがとう。」
「わん!」「ちゅーん…」「ちら!」「モー!」「くあ!」
一名クタクタになっているが、みんな大丈夫だと言われ、ウルも椅子に座って今日のことを思い出していた。
あの魔族は、ウルに恨みを持っている。もちろんドッペルゲンガーを倒した恨みだろう。
最後にピタの木の板により、消え去ってしまった。
しかし、サクラの本気でも倒せず、ウルも怒らせるだけで倒すことは不可能だっただろう。
そしてウルはあの木の板の弁償をしに行かないといけない。金銭を死に物狂いで集める気はある、しかし、もしかして二度と手に入らないものだったらと思うと、すぐに謝りに行きたい。
ウルはサクラに断りをいれ、いそいそと1人で会いにいくことにした。
玄関前には何も看板は掛かってない。ウルは意を決して扉をノックする。
「ウルです。ピタさん、いますか?」
その言葉を発した瞬間、ウルはピタの部屋に座っていた。
「なんのよう?」
少しイラついているピタが、ウルに声をかけるのだった。
「あ、あの。謝りたいことがありまして。」
「謝る?友人の件は嘘だったって?」
「違います。ここから出た後に、ザックさんが木の板を持ち出していて、私に渡されたんです。」
「預かり物を渡したいってそれ? あいつが盗んでいたのか。」
「えっと……つ、使ってしまいました。」
「ふーん。それで?」
「え? そ、それでって?」
「使ったからなによ。ごめんなさいって言いにきたの?」
「いえ。謝罪と弁償をしたくて…。」
「うーん。あれって絶界結界と時空間転移の木札なんだけど。何に使ったの。」
「えっと…話せば長くなるんですが…」
「話しなさい…弁償といっても事故と故意では違うからね。」
「は、はい。それでは、リンネルの南で………。」
ウルは八玉にあったことを伝えた。全く相手にならなかったこと、策を弄しても全く通用せず、死にかけたところで木の板が1人でに動いたことも。
それをずっと目を閉じながら聞いていたピタはらウルの話を全部聞くと。
「まーいいや。それで一応金額で払う予定なんだー。」
「そうですね。それ以外に渡せるものは無いので。」
「良いけど…15億Gかな。スターツリーの真核に、ワールドクラーケンの墨とか、まあ色々必要だからね。」
「そうですか…か、必ずお返しします。時間がかかりますが。」
「それはいいんだけど。ほら。こんなものまだまだあるからさ?」
ピタはどこからか、数十枚の木の板を出すと、ウルに見せる。あの時と同じものから、まったく違うもの。禍々しい黒い木の板などがあった。
「それで、金はいらないから私のお願い聞いてほしい。」
「な、なんでしょうか。無理なものも…。」
「大丈夫。これしろあれしろとか危ない依頼とかではないからさ。」
「そ、そうですか。それでは聞きますけど。」
「ウル。私の弟子にならない? そしたらタダにしてあげる。」
【特殊クエスト ----の弟子入りを開始しますか?】
【はい】【いいえ】
ウルは謝りにいったら、師弟関係のクエストが現れるのだった。
途方もない請求額を知り、ウルには選択肢がなかった。
「よ、よろしくお願いします。」
「うん。師匠と呼んで。」
「は、はい。師匠。」
こうしてウルは、奇妙な力を持つ木工師ピタの弟子になるのであった。




