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プロローグ

 大正元年4月

「ごきげんよう。」

「ごきげんよう」

丘の上に高等女学校がある。門を潜るのはドレスの令嬢達。彼女達は新入生達だ。白いドレスにボレロを羽織ってる。胸元のボレロに付いたリボンはピンク、青、黄色、赤とそれぞれ違う。

「ごきげんよう、貴女も新入生?」

「ごきげんよう、そうですわ。」

ピンクのリボンを付けた令嬢が青いリボンの令嬢に声をかける。

「珍しいわよね、洋装が制服の女学校なんて。」

「わたくしは好きだわ、特にローブの中のパニエが。だって少女雑誌や洋書のぷりんせすみたいですもの、ほらあの方みたいに。」

その時2人の向かいからピンク色に裾に白いフリルのドレスの女性が歩いて来た。首には白百合のネックレス髪には赤い薔薇が並んだカチューシャをしている。

「あの方は先輩かしら?」 


「貴女達新入生ね?」


2人の背後から同じく白いドレスの制服の女の子が話しかけてくる。彼女は上級生のようだ。

「あの人はね」

説明しようとすると


「急がなきゃ!!」


その時麻の着物の少女が古い鞄を持って門の方から走ってくる。

「あの娘も新入生かしら?」

「違うのでは?だってわたくし達と同じ制服着てませんもの。」


「きゃあ!!」


少女は転倒してしまい鞄の中身をぶち撒けてしまう。そこにピンクのドレスの女性が3人の前を通り過ぎる。

「大丈夫ですか?」

女性は少女の前で立ち止まる。その場で座ると少女の鞄から溢れたノートブックや財布、手帳やらを拾う。

「ありがとうございます。」

少女が去ろうとした時

「お待ちなさい。」

女性が手を掴んで止める。

「貴女、公費生の新入生よね?」

「はっ、はい。」

「わたくしと一緒に理事長にいらっしゃい。」

少女は女性に手を引かれながら3人の制服の令嬢達に会釈をして通り過ぎていく。


「あの方はこの学校の理事長であり校長よ。」

上級生が下級生の2人に説明する。

「まあ、あんなにも美しい方が校長の女学校に入学できたなんて。」

「わたくし達運がいいわ、きっと華族、それも侯爵家のお出なのだわ、それか高円宮家の。」

「いいえ、」

上級生が首を横に振る。

「校長先生は華族ではないわ。地方の農家の娘よ。」


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