01-始まりの詩章 第3章 変化
「今日のリヤ、すごく綺麗だよ」
「ありがとう、エミ!」
「それじゃあ…はい!これ、僕が自分で作ったプレゼント」
「わぁ…!エミが手作りしてくれたの?今開けて見てもいい?」
「いいよ。気に入ってくれると嬉しいな!」
「「「「ふふ…」」」」
僕が綺麗に包装したプレゼントを取り出し、緊張しながらリヤの手に渡すのを見て、大人たちは示し合わせたように笑い声を漏らした。
「貝殻のブレスレット…!真ん中にある大きな水色の貝殻、すごく綺麗…!」
「へへっ、リヤが気に入ってくれてよかった…一昨日、海に流さ…えっと、濡らされ…?」
まずい!
一昨日、海に流されかけたことをうっかり口に出すところだった!
車の中で、お父さんに言われていた。
昨日、僕が海に流されかけたことは、リヤには言わないようにって。
それなのに、気が緩んだ瞬間、危うく口を滑らせるところだった。
危ない危ない…
あそこで何とか気づけてよかった。そうじゃなかったら、リヤの家族まで心配させてしまっていたかもしれない…
「ふふふ…エミって変なの!海辺に行ったんだから、海水で濡れるくらい別におかしくないでしょ?それより、海辺って楽しかった?」
「すっごく楽しかったよ!あそこでピクニックした時、砂のお城も作れたし、僕、すごく楽しかった!」
「わぁ…羨ましいな。私も行ってみたい…」
そう言って、リヤはエマおばさんと、その隣に立っている父親――クレモンおじさんの方を振り向いた。
彼女は、二人にお願いを聞いてほしそうな目を向けていた。
「大きくなったら、セレイアはエミールと一緒に海辺へ行けばいいんじゃないか?きっと私たちが砂浜へ連れていくよりも、ずっと楽しいはずだぞ?」
「おいおい、クレモン。もう娘のために先手を打つのか?」
「ふん。熟練の編織者として、先手を打つのは基本中の基本だ」
「へぇ…よく言うな?万年二位の編織者さん?」
お父さんとお母さんは、クレモンおじさんと昔からの知り合いで、三人とも編織者だ。
けれど、お父さんとお母さんがいるせいで、クレモンおじさんはずっと探索ランキングの二位に留まり続けている。
三人がライバルであり友人でもある関係だったおかげで、僕はリヤと知り合うことができた。
「ほう…?お前もずいぶん偉そうだな、ニッキー?近いうちに、俺の小隊がお前とシェフィの二人を一位の座から引きずり下ろしてやる。よく覚えておけ!」
「ははははは!それじゃ、楽しみに待っててやるよ。せいぜい頑張れ?」
「あなたたち二人はもう…子供たちが見ているんだから、【仙境】で顔を合わせるたびに喧嘩するだけじゃなくて、この子たちの前でも喧嘩しないでよ…ほら、セレイア。これは私とニッキーおじさんからのプレゼントよ。受け取って」
お母さんは言い合っている二人に呆れた視線を向けると、ハンドバッグから赤いリボンのついた小さなプレゼントを取り出し、リヤに差し出した。
「おばさん、おじさん、ありがとう!」
「いい子ね。開けてみて」
「わぁ…!すごく綺麗なネックレス!今つけてもいい?」
「ふふ、どうぞ」
「エミ、手伝ってくれる?」
えっ、僕がつけてあげるの?
しょうがないなぁ。
なんだか、僕がセレイアにネックレスをつけてあげている間、そばにいる四人の大人たちが、また温かい目で僕たちを見守っている気がする。
みんな、いったいどうしたんだろう…?
「そろそろ時間ね…クレモン、少しこの子たちを見ていて。私はキッチンへ行ってくるわ」
「おう、任せろ」
何だろう?
しばらくすると、クレモンおじさんが急に立ち上がってリビングの明かりを消し、エマおばさんがろうそくの立ったケーキを手に、キッチンから出てきた。
おお!
誕生日ケーキの登場だったんだ!
「「「「セレイア、お誕生日おめでとう!」」」」
「お誕生日おめでとう、リヤ!」
「わぁ、大きなケーキ!しかもチョコレート味…!」
そのケーキを見た瞬間、リヤの目がぱっと輝いた。
「ふふん、これは俺とシェフィ、それからお前のお父さんとお母さんの四人で買った誕生日ケーキだぞ。ほら、早く願い事をするんだ」
「うん、ありがとう!みんなが毎日元気で、ずっと私のそばにいてくれますように。それから、これからもずっとエミと一緒にいられますように!」
リヤはケーキに向かって祈るような仕草をすると、自分の願い事を大きな声で読み上げた。
その可愛らしい願い事に、大人たちはみんな思わず笑い声を漏らした。
「…ぷっ、リヤ。本当は願い事って、心の中で唱えればいいだけで、口に出さなくてもいいんだよ?でも…ありがとう。僕もずっとリヤと一緒にいたい」
「…?」
新しい知識に驚いて固まっているリヤの姿も、とても可愛かった。
ブゥゥゥゥン――!
「えっ!?私の手…」
「「「「…!?」」」」
「お父さん、お母さん!リヤの右手が…!」
リヤの右手の甲が、突然、青緑色の光を放ち始めた。
次の瞬間、一つの紋章がゆっくりと浮かび上がる。
その紋章の中央には、目を閉じた長髪の少女が刻まれていた。
「すごいじゃないか!七歳になったばかりで編織者として覚醒するなんて!?セレイア、どんな編織者能力に覚醒したのか、パパに教えてくれるか?」
「わぁ!私、編織者になったの?見てみるね…『解析』。私が紡いだ物語は【長髪姫(Rapunzel)】!」
リヤは何のためらいもなく半透明のパネルをこちらへ向け、僕たち五人に自分の編織者能力を見せてくれた。
「『囚われの檻』、『荊棘魔法』、それに『体力剥奪』…物語から得たこのスキル構成、どれもすごく強そうだな…」
「そうだな?しかも『囚われの檻』は、対象を結界の中に引きずり込んで一対一に持ち込めるらしい…強すぎないか!?俺なら絶対に相手にしたくないスキルだぞ…」
「そもそもお前の編織者能力は、【長髪姫(Rapunzel)】に完全にメタられているからな…」
「そうだな。それに、彼女が一対一で相手より強ければ、もうほとんど勝ち確みたいなものだからな…」
クレモンおじさんとお父さんは、リヤのスキルの使い方を想像しながら、そのままスキル談義に夢中になってしまった。
二人がどうしてあんなに興味津々なのか、僕にはまだよくわからないけど…
リヤはもう、編織者になったんだな…
僕の番は、いつ来るんだろう?
「え…?ああ…あああああ!何これええええ!」
突然、リヤは頭を抱えて悲鳴を上げると、そのまま扉の外へ飛び出していった。
「セレイア!?」
「どうしたの!?」
エマおばさんとお母さんは、彼女のあまりにもおかしな行動に驚いてしまった。
今、二人はわけがわからないというように、顔を見合わせている。
「お父さん、お母さん、僕、リヤを追いかける!たぶん、リヤがどこへ行くのかわかるから!」
「わかった、早く行け!セレイアを頼んだぞ、エミール」
「うん!任せて、クレモンおじさん!」
リヤ…
いったいどうしたんだ?
——————
「ううう…」
僕たちの秘密基地は、公園の人けのない片隅にある。
そこから、小さな女の子の泣き声が聞こえてきた。
太陽はもう沈みかけている…
早くリヤを家に連れて帰らないと!
「リヤ、大丈夫か――」
「ひっ…!」
彼女が僕を見る目には恐怖が満ちていて、小さな身体は小刻みに震え続けていた。
「その…何があったの?急にそんなに泣いて、外に飛び出していくなんて」
「エミ…わからないの。私にも、何が起きたのかわからないよ…!馬がたくさん見えて、それに血も…ううっ!本当に頭の中がぐちゃぐちゃなの…」
…?
「怖がらないで。僕がいるから。僕はずっとリヤのそばにいるよ。もう大丈夫だからね」
「うん…」
僕が彼女の隣に座り、そっとその手を強く握ると、温もりを感じたリヤはようやく少しずつ落ち着いていき、そのまま僕の肩にもたれかかって眠ってしまった。
えっと…
困ったな。
このままみんなを心配させ続けるのもよくないし、先にお父さんとお母さんたちに知らせておこう。
僕はできるだけ小さな動きで半透明のウィンドウを開き、お父さんに短いメッセージを送った。
リヤはもう大丈夫だということを伝えて、それから僕たちが今いる場所も添えて、最後に送信を押す。
よし、あとはみんなが迎えに来るのを待つだけだ。
それまで、ゆっくり休んでいてね、リヤ。
◇
しばらくして、エマおばさん、クレモンおじさん、それからお父さんとお母さんが、僕たちの秘密基地まで駆けつけてきた。
クレモンおじさんは、すっかり眠ってしまったリヤを見ると、ようやくほっと息をつき、それから彼女をそっと抱き上げて、車に乗せて家へ連れて帰った。
リヤが目を覚ましたあと、クレモンおじさんとエマおばさんはすぐに、いったい何があったのかを心配そうに尋ねた。
けれど、リヤは最後までただ笑っているだけで、まるで何か秘密を守るみたいに、何も起きていないと言い続けた。
クレモンおじさんはまだ少し心配そうだったけれど、最後には自分の娘を信じることにして、それ以上は追及しなかった。
あの日からリヤにどんな変化があったのかと言えば…
それは、彼女が突然、剣術に強い興味を持つようになったことだ。
同時に、リヤは驚くほどの剣術の才能も見せ始め、ほとんど毎日のように剣術の訓練へ時間を費やすようになった。
そして、もう一つ…
天真爛漫だった笑顔が、彼女の顔から消えてしまった。
【セレイア – プロフィール更新】
セレイア
紡がれた物語 - 長髪姫(Rapunzel)*New!
編織者スキル
——————
『囚われの檻』*New!
『荊棘魔法』*New!
『体力剥奪』*New!
追加スキル - ??? *New!
【武装化】発動条件 - Error code 0xd000d322: file 'Seria.Cond.Data' not found




