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罪斬り桜  作者: 仂静瑛祐
6/16

第壱ノ罪

今回は神田両親の過去編です!

では、どーぞ!


-前回のあらすじ-

秘書の安西の協力のおかげで舞の父親に関する情報が少し手に入った桜と小雪。しかし母親の方を調べたが手掛かりが皆無だったことに絶望する。とはいえ舞の置かれている状況をある程度把握したその時、志保の元に舞からの最後のメッセージが届いた。

 -過去-

 今から約20年前ーーーーーーー-----

 今年も合格番号を貰えなかった男がいた。

 司法試験ーー言わずと知れた難関試験。

 今年で3回目の不合格であるこの男の名は神田(神田)

 あまり良い大学を出た訳ではない。また、彼自身も司法試験の勉強を始めたのは大学3年生の頃という事もあり、浪人。バイトと勉強に勤しむ生活も早3年目に突入した。

 神田は合格発表から帰宅した。2階建ての賃貸アパートで彼は201号室に住んでいる。6畳1間の小さな部屋に無造作に散乱している参考書を引っ張り出して夜のバイトまでの時間、また勉強を始めた。

「3回目となると涙も出ないなぁ」

 部屋には参考書をめくる音だけが鳴っていた。


「神田君、今日もシフト入れてたんだねぇ。確か司法試験の発表日のはずだけどあの様子じゃぁねぇ」

「古川さんがさっき聞いてたの聞こえたんだけどやっぱ落ちたっぽいよ」

 古川という気のいいおばちゃんにより、コンビニバイト内では神田が司法試験に落ちたことはすぐ知られていた。コンビニ店員数名のほとんどが神田を哀れんだり慰めたが、ただ1人だけ別の思考をしている者がいた。

(落ちたことは残念だけど、また一緒にバイトできる!)

 岩野怜(いわのれい)。今年で1年の大学生であり、神田を想う1人の女の子だ。

 彼女の献身的な性格と可愛らしい笑顔は密かにそして確実に神田の精神を支えていた。


 特に進展も無く1年が過ぎ、神田の不合格の噂は恒例になりつつあった。

 だがしかし、岩野はいつもと違う。何故ならば彼女はもうすぐ就活生、つまりバイトを辞める時期になってきたのだ。やる事はただ1つだ。

 最後のバイト日は運良く神田と同じシフトに入れた。店長が気を遣ったのかも知れないが。

「お疲れ様。就活頑張ってね」

 バイト終わりのコンビニの裏。2人は同じ時間に終業し、家は反対方向なので裏口を出て別れる。

「ありがとうございます」

 冬の寒い夜。岩野は神田から就活応援とバイトお疲れの意味で貰った温かいレモンティーを手で包み込む様に持ち、首のマフラーで少し顔を隠しながら言った。

「じゃ、またね」

「待ってくださいっ!あっ、あのっ」

 服の袖を少し引っ張り、帰ろうとした神田を呼び止めた。そして、彼女の想いは爆発した。

 ずっと浪人しても頑張っていた神田の姿がかっこよくて、尊敬して、ずっと好きだった事を。

「だから・・・その、付き合ってくださいっ!」

「ありがとっ、そのっ・・・岩野さんの気持ちは凄く嬉しいよ・・・」

 素直に真っ直ぐに伝えてくれた岩野の言葉は神田の顔を赤くさせていた。

「ただ、知っての通り僕は浪人生だし、今年は特に勝負の年だ。恋人っぽいことはしてあげられないけど・・・それでもいいならっ・・・」

「えっっ」

 岩野は断られる気でいた。だから驚きの表情で反射的に尋ねる。

「大丈夫なんですか?勉強とか・・・」

「付き合うからって試験に落ちる訳じゃない。でも、今の僕は試験が第1優先事項だから遊びに行くとかはできない。でも・・・その・・・」

 赤い顔をさらに赤らめる。

「電話とか、メールとかでいいなら・・・」

「勿論大丈夫です!かく言う私も就活生なので遊びには行けないですからね。でも、よろしくお願いします!」

 暖色の街灯が岩野の素晴らしい笑顔を照らした。


 こうして1つのカップルができた。


 とはいえ、お互い忙しい日々を送り実際会う事はほとんど無かったが、毎日メールに電話に岩野が客としてコンビニに出向いてくほどのラブラブっぷりを見せた。そして・・・

「内定取れました!」

 岩野の電話報告。さらに数ヶ月後には・・・


「合格番号探すの久しぶりですね」

「俺は毎年探してるんだが見つからないだよなぁ」

「あっ、あの 左から3番目で上から・・・6番目の数字、神田君のじゃっ!?」

「本当だっ!よっしっ・・・」

 5度目にしてとうとう神田は合格を勝ち取った。

 2人は一緒になって泣き喜んだ。


 それからまた1年が過ぎ、2人とも新生活が定着してきた。

「お金も溜まってきたし、一緒に暮らさないか?」

 神田の提案に岩野は二つ返事で了承した。

 神田は1人暮らし歴が長く、岩野も家事は出来る方なので互いに支え合い、仲睦まじく同居生活を充実させた。


 そしてさらに1年が過ぎ

「これからも俺と人生を歩んでくれませんか?」

 神田のプロポーズにより2人は結婚。そして赤子を1人出産した。

 そう、彼女の名前は神田舞(かんだまい)


今回もお読み頂きありがとうございます!

自分、大学生なんですが最近は課題のせいであまり執筆できてないです。

第弐ノ罪を早く投稿できるよう頑張りますね。

来週は舞の過去編です!

あと、Twitterの方もよろしくお願いします

ID→@Eisuke_Rokujou

それでは皆さんの人生に幸あれ!

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