第壱ノ罪
どーも、瑛祐です。この話でぐっと進みます。では本編をどーぞ!
-新たな登場人物-
舞の父親ーー仕事熱心で厳しい。しかし褒める時褒めるらしい。仕事はできる人。
安西ーー舞の父親の秘書。美人。舞の様子が心配。桜に調べ物の協力をする。
-前回のあらすじ-
舞の父親を調べるため、神田法律事務所に潜り込んだ桜と小雪。終始盗人のような言動と桜のミスによりトラブルはあったが、秘書の安西の協力を得ることが出来た。
-調査 弐-
「てめぇどんだけ問題起こせば気が済む!!」
「あれは無理だって〜、許してよぉ」
珍しく小雪の気が立っている。
建物や電柱の上を飛び伝って裁判所へ向かっていた。
「あれだけ問題を起こすな、面倒事を作り出すなと言っているのに!!」
「だからごめんってばぁ〜ほっんとにごめんだって〜」
「んっんん・・・では先生、事務所にお戻りになりましょうか」
わざとらしい大きな咳払いで二人は我に返った。
いつの間にか裁判所の前の電柱まで来ていたのだ。
安西は冷たい視線を彼ら向けると共に周りの人間が二人の存在を認識していない事、そして何より裁判中彼らの存在を忘れていた事により、資料室で一度は受け入れたものの信じがたかった桜の説明が全て真実であることを悟った。
「裁判は理想的な結果に終わりましたし、先生に変わったご様子はありませんでしたよ?」
資料室の中で安西から報告を受けていた。
「そーですかぁ、うーん・・・家庭の事とかなんか言ったこと無い?」
「いえ、仕事にプライベートは持ち込みなさらない方なので・・・あっ、前に一度資料整理持っていった時に手帳をすごく悲しそうな顔で眺めていた事があったような・・・」
「手帳?」
「はい。先生は手帳の中に家族の写真を貼っていらっしゃるので恐らく。すぐ私に気づいていつもの先生にお戻りなさったので尋ねはしなかったんです」
「オーケー。ありがとね。あとはこっちで任せて!」
「では、私は調べ物があるでこれで」
「頑張って!」
そう言いながら資料室を出て、二人は別れた。
そろそろ志保達の下校時刻になるのでもう一度オフィスに行った。
黒の扉を開け普通に中に入る。神田先生はPCをカタカタ鳴らし仕事を続けるがもちろん桜の侵入は気づかない。
桜は彼の後ろからPCを覗き込んだ。何やら裁判で使う資料をまとめているみたいだ。そして机に置かれた手帳を発見した。
「早速拝見させてもらうか」
「絶対気付かないって知っててもやっぱドキドキするなぁ〜」
その言葉と裏腹に楽しげに手帳をパラパラ読み始めた。予定をびっしり書き込んでいるのを見るとやはりドが付くほどの真面目さが伺える。そして最後のページで桜は手を止めた。1枚の写真とその裏に書かれた1つの言葉。
ピシッと手帳を閉じ、オフィスを出て事務所を後にし志保の家へ向かった。
◼︎◼︎◼︎
下校中も楽しそうに話をしていた舞の様子と交換日記の事が上手くいき、志保は上機嫌で部屋の扉を開けた。
「おかえり〜」
「なんであんたがここにいるのよ。てかどうやって入っていたのよ」
「玄関ピッキングすりゃ一発よぉ。誰にもバレねぇし」
「なんでもありじゃん・・・」
志保はそう言わずにはいられなかった。
「で、どうだったよ?」
「舞のこと?上々よ〜。昔やった交換日記も成功したし、大丈夫じゃないかな?」
「それなら良い。舞ちゃんの事は任せるよ」
ドヤ顔をかました志保だが真面目な顔で尋ねる。
「そっちは進展あったの?」
「あぁ、あまりあったとは言えないが無くは無い。何故親父さんが厳しくなったとか大体想像ついたし。明日は母親の方を調査するつもりだ。引き続き舞ちゃんの事よろしく頼むよ」
「わかった。任せて!」
桜は今夜の志保は昨夜と違って頼もしく見えた。
その夜は舞の様子も見に行ったが志保の言う通り上手くいっているみたいだ。嫌な空気も無く、悪霊の気配もしなかった。
そして翌朝。昨日と同じく桜と小雪は2人を見送り神田母の職場へ観察したが・・・
「ざけんな、手掛かり無しかよ」
現在すでに昼過ぎ。神田母の仕事は基本デスクワーク。職場での噂話も無く手掛かりは皆無だった。
「これは近所付き合いの方を当たる方が良さそうだ」
「行くかっ」
焦りもあり足早に神田家周辺に舞い戻った。
「ありえねぇ。絶望すぎる」
最近は共働きの家庭が多い。つまり、もうすぐティータイムなんて時間に家にいる主婦は神田家周辺になかった。
「あと1時間とちょっとで下校時刻だ。やれる事はやって志保ちゃんに聞いた方が早そうだ」
◼︎◼︎◼︎
今日も成功!交換日記も貰えた!と気分上々で志保は自分の部屋のドアを開ける
「おかえり〜」
昨日とは打って変わってどんよりする桜の声は部屋の空気と共に沈めた。
「今日はダメだったみたいね」
「あぁ、御察しの通りだ。職場も近所も手掛かりゼロ。家の中でも収穫は少なかったってとこだ」
「それは災難だっ・・・今家って言った?」
「あぁ、聞いての通り舞ちゃん家に侵入した」
そう、やれる事をやるって言うのは神田家へ侵入するという事だ。
「なあぁぁぁにやってのよっ・・・お母さんはまだ帰ってないから大丈夫か」
志保は反射的に怒鳴ったがすぐ冷静に戻れた。
「お母様に会っても気づかれないけどな。まぁ今日の収穫はあの家、舞ちゃんが小学生入るくらいから一度も旅行へ行ってないことくらいだな。それ以前の写真、しかも舞ちゃんが生まれる前のもあったのに小学生からは学校行事の写真しか無かった」
さらっと聞き捨てならない事がいくつかあったが取り敢えず無視し、舞からの交換日記を読みながら志保は語り出した。
「そりゃね、舞と初めて会った時から家の宿題を学校でやってたのをよく覚えてるよ。その時から厳しかったよあのお母さんは。一緒にクラブしたくて誘ったんだけど、その時今までにないくらいお願いしたら許してくれたって泣きながら話してくれたから」
「何部だったの?」
「陸上部」
桜の中で大体の検討が付いてきた。何故舞ちゃんの両親がこうも厳しくしていたのか。
桜が勝手に志保のベットに寝転がり目を瞑りながら考えていた。
そして、楽しそうに日記を眺めていた志保の体温が徐々に下がっていった。
「さっ・・・さくらぁ・・・・・・・」
張り詰める『心配』の空気に桜は飛び起き泣き顔の志保と目が合った。そして、志保は持っている日記を桜に見せつけた。見開きにはびっしりと舞の文字が。そして最後の1文で桜と小雪に焦燥が走る。
「今まで本当に本当にありがとう。身体には気をつけてね まい 」
「行くぞっ、志保ちゃんっっ」
今回もお読みいただきありがとうございます!
ここ最近は「罪斬り桜-第弐ノ罪-」を執筆中です。
第壱ノ罪では全体で2万5千字なのですが、第弐では目標10万字で頑張っております。
それではこのあたりで。
Twitter ID @Eisuke_Rokujou
皆さんの人生に幸あれ!




