第壱ノ罪
-登場人物-
桜ーーその名の通り綺麗な桜色のショートヘアで青色の着物姿の青年。中性的な顔立ちで腰に刀を据えている。悪霊が生み出されるのを防ぐのと悪霊を斬ることが仕事。
小雪ーー桜の腰に据えられている刀。脳内に直接話しかけることができる。桜が斬りたいと意識した物体のみ斬り、それ以外はすり抜ける特性を持つ。
閻魔大王ーー見た目は美人な女性。だが霊界、所謂あの世の主。桜と小雪に仕事を命じた張本人。
悪霊ーー人間が生きている間に溜まった罪の意識によって生み出されるのモノ。罪の意識や負の感情を食べることで成長する。人間に取り憑くこともある。
-用語-
負の感情ーー怖い、辛い、苦しいなどのネガティブな感情のこと。
罪の意識ーー罪悪感や後悔など、心に残り続ける負の感情のこと。
-プロローグ-
最近の若者は自殺が多い気がする。今から皆さんが垣間見るこの世界も自殺者が多い。
では、何故自殺するのか?ブラック企業に働いている、いじめにあった、勉強が辛いなどなど。私は勿論そんな簡単に命を亡くして欲しくないと心から願う。まぁもう1つ理由があるとするならば・・・・・・
◼︎◼︎◼︎
とある霊界。定期的に聞こえる声が響き渡っていた。
「もぉー忙しい過ぎー。過剰労働だよー・・・そーだっ!小説でもかーこぉっと!」
でかい宮殿の門を入ってすぐ、縦横1.5×2メートル、高さ3メートルほどのでかい机には書類の小山が3つとサッカーボールくらいの大きさの水晶1つ置かれている。もちろんのことその机に合う椅子があるのだが、そこに座っている見た目普通の女性が声の主だ。
「えっ…急にどうされました?閻魔様?」
通りかかった若い新人の赤鬼が尋ねたのは、先ほどの見た目は普通の美人なお姉さん・・・が格好は赤い着物に尺を持った閻魔様だ。
「お嬢の気まぐれだ。気にするな」
せっせと死んだ生物リストを運ぶ閻魔の秘書の赤鬼が言った。
「いいじゃん!じゃないと死んじゃうよー」
「死んで我々の仕事を増やさないでください。仕事が多いうえに神連への報告書も出さないといけないんですから」
神連とは、神連合総司令部、神様が集う機関だ。霊界や宇宙全体までも管理している。
呆れた様に秘書赤鬼は言ったがいつものことなので
「それで題材は決まっているんですか?」
と諦めながら聞いてみた。
「もっちろん、決まってるわよ!この前雇ったバイトちゃんだよ」
満面の笑みで筆と原稿用紙を何処からともなく取り出す。
「あぁ彼ですか」
と秘書赤鬼は納得した。
「そう!悪霊に殺されて、その悪霊を殺すために力をつけて現世に戻るのよ。最高の題材じゃない!」
「あっ・・・あの〜」
閻魔と秘書のやり取りに終始黙っていた新人が手を挙げながら尋ねた。
「バイトって私が配属されたときにいたあの青年ですよね?あと悪霊とは・・・?」
「お前はまだ新人でこの世界のシステムを知らないんだったな。いい機会だ。教えてやろう…」
新人は秘書による1時間半に及ぶ熱のこもった授業を振り返った。
現世にいる生物は死ぬと魂がここ『霊界』へ逝き、現世の記憶を完全消去してまた現世の生物に転生する。が、『人間』という種族は多様な感情を持ちすぎた結果、死ぬときに生涯で溜まりに溜まった『罪の意識』が現世に残り『負の感情』を糧に育ち、自我を持ったのが『悪霊』と呼ばれる者となる。
「な、なるほどぉ。バイトの彼はその悪霊を退治するんですね。大変だなぁ」
「まぁ彼は他にも仕事があるんだが、彼の仕事ぶりは宮殿のモニター室で見れるから仕事の合間に見るといい」
わかりました。と新人は会釈して仕事に戻った。
「それで、本当に書くんですか?」
新人を見送った秘書が分かりきった質問をした。
「もっちろん!どぉーせ期待してないんでしょー。でも、バイトちゃんの仕事には期待してよね」
そうですね。とだけ言って秘書は自分の仕事を始め、閻魔は構成を練り始めた。
今回もお読みいただきありがとうございます!
第壱、第弐で分けようかなと思っていたのですが、一つでいいかなと纏めることにしました。
あらすじも変わりました。
今後ともよろしくお願いします!
ではこの辺で。
皆さんの人生に幸あれ!