武術大会 2
人系統の属性について説明しよう。この中で最もわかりやすいのは力属性であろうか。魔法の内容は強化が多い。自身や物質などの硬度を上げたり、筋力を強くしより速く、より力づよくしたりだ。魔法の扱いが苦手なものでも石やそれを通した魔法による恩恵がわかりやすく、冒険者や騎士のような戦闘を生業とするもののほか、適性を持たないものでも使用している場合が多い。
―マクスウェル魔法基礎論 1章より抜粋―
「そこまで!優勝はレイウェル・スタッカート!!」
審判が私の優勝を告げる。
気を引き締めた結果。すぐに流れるように優勝してしまった。すべてを終えてみると最初に戦ったシルストという男がずば抜けて強いだけでほかの相手は大したことなかった。なるほど、これなら確かに私でも問題なく優勝できると師匠が言うわけだ・・・。
しかし、あのシルストと準決勝の相手以外はみんな力属性の技を使ってきた。教わった通り、基本的な戦士は力属性の使い手が多いみたいだ・・・。
理由は・・・練度が低くても効果が実感しやすいからだったか・・・それと属性の適性に偏りがあるのではなく、力属性の人が戦士を生業としやすい。だから力属性を使う人が多い。・・・たしかそうだったはずだ・・・。
優勝の報酬として小金貨3枚に大会での優勝を示す名前入りのプレートが運営より与えられる。このプレートを持っていることで士官の際などに優遇が受けられる他、ほかの武術大会に参加する際にシード権が得られるなどの利点があるようだ。
さて・・・師匠は・・・・
「レイウェル。こちらですよ」
「師匠!無事に優勝できました!ですが暗器のほうはともかくとして、けがをさせないの制限はさすがに厳しいです。一回戦の相手が私の実力を読み間違えなければ負けていた可能性もありましたよ。」
「そうですね。かなり心が読まれていましたからね。あと落ち着いているようには見せかけていましたが、見る人が見れば動揺していたのがまるわかりでしたよ。心適性の相手に対してはもっと落ち着いて情報を整理しなさい。特に、自身の心がどこまで読まれているのか。どれくらいの正確さで読まれているのか、まずはこれを把握しなさい。」
「わかりました。」
「先ほどの場合だとあなたの狙いと攻撃手段がよまれていましたからね、そしてけがをさせないという条件を付けていたので広範囲攻撃も使えない。なので、あなたが攻め切る手段がなかった。あなたが火球を防ぐすべを持たないと誤った判断をした隙をついてあなたが攻めきれた。相手がもう少し慎重だったら危なかったですね。」
「はい、相手を攻め切ろうと思考を巡らせていたのですが読まれてしまっていました。」
「なので切り替えて無心での攻撃を狙った戦い方は正解の一つでしょうね。初めての対外試合としては十分合格点です。」
「ありがとうございます。」
「ですが、そうそう心を読ませてはいけませんよ。これからの旅で心の力を身につけなさい。」
「はい。わかりました。」
心の修行・・・
ひとまずは精神統一の修行は怠らないようにしよう。
「さて、もともと十分な量はありましたが、大会の賞金で当分の旅の資金も潤いましたし、宿に戻ってこれからのお話をするとしますか。」
師匠がお金がずっしり入った小袋を見せてくる。
この師匠、大会優勝者を予想する賭博で大金設けましたね・・・
さすが、抜け目がない・・・
---------宿屋------------
「さて、少々予想外なことはありましたが、改めて優勝おめでとうレイウェル。」
「ありがとうございます、師匠。」
「今回の大会で理解できたとは思いますが、現在のあなたの実力はそれなりにあります。ですが、あなたより強い人も十分にいます。ですので、申し訳ないのですが現在のあなたの実力では私に同行はさせられません。」
「はい・・・、確かにあのシルストという人との闘いからもそれをかんじました。しかし、師匠。それほどまでに危険な旅を行う必要があるのですか?」
「えぇ、これは私と私と同等の力を持つ人がやらなければいけないことなのです。いまは理由は言えませんが、あなたが成長して私との旅に出れる実力を身に着けたならお話しましょう。」
・・・いつになく真剣な様子の師匠だ。師匠がこれほど言うのだ。かなりの大事に違いない・・・。
「旅の目的を話せないのはわかりました。ですが師匠、せめて行き先だけは教えていただきたいのですが・・・。そうでなければ、私が師匠に認められるほどに成長したとしてもそれを伝えられません。」
「残念ですがそれも今は話せません。ですが、北へ行くとだけ伝えておきます。ですからあなたはこれから南へ、そうですね・・・大陸の南側、カロナルの街あたりを目指すといいでしょう。あそこは冥界との交流もありますからね、さまざまな見識が得られるでしょう。」
「カロナルですか・・・、人界に三か所しかない冥界との門がある場所でしたね。冥界は人界とはまた別の文化が発展しているとのことですし、確かに興味はあります。わかりました。私の当面の目的はそちらにします。」
「さて、あなたの次の目的地も決まりましたし、旅に出るにあたって渡しておくものがあります。」
「渡しておくものですか・・・晶石以外に・・・ですか?」
「えぇ、これは優勝した後に渡そうと思っていたものですから。一つはこちらのお守りです。これに関しては常に身に着けるようにしてください。」
「お守り、ですか。何らかの魔術が感じられますが、どのような効果で?」
「なに、あなたの身を守ってくれるだけですよ。旅に危険はつきものですからね。ですからそのお守りは常に持っておきなさい。そして、もう一つ、こちらの指輪を・・・」
師匠が白い指輪を袋からだし手渡してくる。何かの紋章が彫られている。とても成功な作りでかなりの値打ちがするということが素人目にもわかる。
「この指輪は?お金に困ったときに売れということですか?」
「いえいえ、そうではありませんよ、あなたがお金に困るという心配はしてませんからね。それは私の弟子であるという証です。私の友人が見ればあなたにいろいろ融通を聞かせてくれるでしょう。」
「師匠の友人の方にあえるかどうかはわかりませんが、ありがたくいただきます。」
「えぇ、受け取ってください。」
師匠から受け取った指輪とお守りを身に着ける。指輪のサイズも特に問題がないようだ・・・。
「さて、私は明日の朝出発します。あなたはどうしますか?」
「私はもう少し町の様子をみてこの町やほかの人のことを学んでから出発しますよ、なので明後日くらいに出発でしょうか・・・」
「そうですね、それが良いでしょう。ではレイウェル、お別れの前の最後の稽古と行きましょうか。遠慮なくかかってきなさい。」
「はい、師匠!」
それから師匠と深夜まで稽古に励んだ・・・




