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居酒屋サンキチ

 ギルド、私が立ててもいいんだよな。

 視聴者も入れるようにしてギルドを立てて……とも考えるが、もし、私の視聴者でPKとかを普通にする奴がいたらと思うと少し考えが鈍る。

 

 まぁ……必要になった時に作ればいいか。

 私はそう思いながらもログアウトしたのだった。


「さて、晩飯件晩酌料理を……作るの面倒だし飲みにいこっかなぁ!」


 酒は大好きだ。

 私は駅まで向かい、電車に乗る。私の行きつけは電車で一駅離れた場所にあり、そこの料理がうまいから電車で向かっている。

 遠出なんてほとんどしないし、こういうときにこそするんだよね。


 電車に揺られ、私は今度居酒屋に入る。


「おーう、らっしゃーい。久しぶりかぁ?」

「久しぶりってわけでもないと思うけど。数日前にも来なかったっけ」

「そうだっけ? 忘れた! アハハハ」


 と、若い女の大将が笑う。

 

「じゅんぺー、とりあえず席座んなよ」

「うん」


 じゅんぺーと大将は言う。

 この大将は私の同級生で友人の一人だ。名前は三吉みよし はなという名前。居酒屋を経営しており、結構明るくて気前のいいひとだ。


「んで? もう晩酌かい。まだ6時だよ?」

「暇だから晩酌にしようかとね。とりあえずお通しちょーだい」

「はいはい」


 お通しはきゅうりの浅漬けだった。

 塩分がちょうどいい。美味い。


「あ、じゅんぺーにちょっと頼みがあるんだけど」

「頼み?」


 サンキチは私の前にビールを置きながら頼みを口にしてきたのだった。


「私もさ、ゲームやりたくてファンタジーフロンティア買ったんだけど……。うまく戦えなくて。戦い方とかもろもろ教えてほしい!」

「そんなこと? いいよん。明後日ぐらいなら私も予定は空いてるけど」

「いいの? ありがとー! ゲームではサンキチって名前でやってるから! とりあえず明後日の午前10時くらいに噴水の前で待ってるね!」

「わかった」


 私はビールを飲み、おつまみとして出された枝豆のごま油炒めをつまむ。

 枝豆は塩ゆでされており、塩味がちょうどよく、またごま油の香りも香って超うまいんだよな。手が油でべたべたするのだけが嫌だがそれ以外は文句はない


「で、明日は配信でもするの?」

「そりゃする。ボス倒す」

「おー! ボス!」

「ボスの初見攻略! これはいい売りになるからね! 死んでもそれはそれで気持ちよくなるんで本望だし!」

「昔からマゾヒストなの変わんないねぇー-」


 高校時代もマゾヒストでしたからね。

 思い返すはいじめられていたこと。いじめられていたというか、いじめさせていたというか。私をいじめるように頼んでみた。

 毎日、誰かが嫌な顔をして私に嫌がらせをしてきたことを思い出すと今でも興奮する。


「サンキチもいじめていいんだぞ? 今でも」

「こういう風に???」


 と、私の頭にビールをぶっかけてきた。


「それ! いいいじめっぷり!」

「いじめっ子だった過去を思い出して超嫌になるからもうやんないぞ?」

「うはは、私ビールくせー! このまま電車に乗るって思うとすげえ迷惑だな! こりゃ歩いて帰るしかなくなったみたいだ! なんという下劣さっ! だがそれも自分をいじめていると思うと興奮する……」

「ここまで性癖をオープンにさらけ出せるなんてある意味すごいね……」


 ドンびいているようだ。


「ふぅ……」

「とりあえずはい、タオル」

「ありがと!」


 私はタオルでビールをふく。


「そういや、お前昔いじめっ子だったの?」

「んー、まぁ、中学生のときね……。転校してきた理由もいじめしてて一人転校させて居心地が悪くなって転校してきたんだし」

「あー、そうなんだ」

「今じゃものすごく反省してる……。いじめてた子も有名人になっちゃってさ。いじめられてたってことも公表してて、いよいよ私の名前を出されるんだなって毎日思ってる。仕方ないけどね……」

「ま、反省してるんならいいんじゃない? いじめてたやつって基本いじめてた過去なんて忘れてるし、覚えてるってことはちゃんと反省してる証拠じゃん」

「そういうもんかなぁ」

「私はそうだと思ってる」


 私はビールを飲み干した。










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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