十九話
男は「ッチ…邪魔が入りやがるぜ」とつぶやくとアケミを思い切り殴り、アケミは気絶してしまった。
アケミを殴られたことで頭に血が上ったルゥナはアケミを殴った男の顔面を殴り、気絶させた。
事態に気づいた周りの男たちは各々の武器を取り出しルゥナに向かう。
しかし、心を読めるルゥナにとって攻撃をかわすのは造作もなく、弾丸すら当たらずに男たちを倒していった。が、馬車から出てきた男たちが気絶したアケミを抱えて馬車の荷台に投げ入れ、そのまま馬車で走り去ってしまった。
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ガムシャラに森の中を駆け回っていると近場で銃の音が聞こえる。
カイルは迷わず銃の鳴ったほうへ進むと死屍累々の中ルゥナが一人茫然と立っているのを見つけた。
どこを見ても立っているのはルゥナ一人。
「ルゥナ!!アケミはどこだ!?」
ルゥナはカイルを見るなり、まるで救世主を見るような目で見た後、強く人差し指で方向を指すと「早く、行って。」と繰り返していった。
カイルは指をさした方向へ馬を走らせる。
道を見ると馬車で走り去ったような跡が見える。
その跡をつけていくと、一つの廃墟に続いていた。
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馬車の揺れですぐに起きた私は荷台の中で男と戦っていた。
荷馬車にいる男は操縦を含めて三人、荷台には二人男がいるということになる。
私は二人の男に殴りかかるもやむなく組み敷かれ逆に殴られてしまう。
そうこうしているうちに目的地に着いたのであろう。馬車が止まった。
私は銃で脅されながら荷台を降りる。目の前には寂れた大きなお屋敷。
私は銃を突き付けられながら中に入る。
するとそこには、ジンオジ様にフォッカさん、それに大量の警察らしき武装部隊がいた。ジェルが銃を構えて立っていた。
「な、なぜこんなところに!?」
「なぜこんなところにじゃないよ?うちの可愛い家政婦を見売りに出そうなんて…いくら温和な私でも、怒るよ。」
ジンオジ様はニコニコと笑っているが声はドスが効いていた。
「おまけに、この辺一帯の森はすべてこのスペンサー家のもの、その森で最近不穏な事件が相次いでいますからね遅かれ早かれこうなっていたと思いますよ。」
フォッカさんはいつもの淡々とした口調でそう告げる。
「誘拐未遂・スペンサー家の領土での犯罪、これだけで町の優しい警備隊の方々は動いてくれたよ?観念しなよ、おっさんたち。」
ジェルは楽しそうな口調で攻める。
みんな私を探してくれたんだという嬉しさとみんなに会えた安心感から涙があふれた。
「さあ!!アケミを離せ!!」
「…ッハ!!それほどコイツが心配なんだな…なら!!取引を…」
「その必要はない。」
誘拐犯の男は背後からの声に後ろを向くと殴られ、気絶した。
その殴った男はカイルであった。
「!!カイル!!」アケミはカイルの胸に飛び込んで肩を震わせながら泣いた。
その後、警備隊が気絶した犯人たちを回収、ルゥナも保護され森に再び平和が訪れた。
--あれからひと月が経ちアケミはジンに短期バイトをしたいと告げて商店街の『シルヴァの惣菜』という店の前に来ていた。
「ここだよね?バイトで募集してたお店…」
アケミはバイトを募集している店をリストアップし名前で決めたので実際来るのは初めてであった。
「ごめんくださーい…」
今日は定休日のようで表のシャッターが閉まっている。ので、横のドアをノックする。
「ごめんくださーい。仕事を募集したものですけど。」
「ああ、入ってくれ。」
「失礼しまーす。」
アケミは恐る恐る店の裏から中へ入り、あたりを確認するが暗くてよく見えない。
「…あの、」
「ああ、ごめん。暗かったよね?」
あたりに明かりがともると主人の顔が見える。
人離れした美しい顔に白髪、本当に人間ではないみたいであった。
「どうかした?」
「ああ、いや、綺麗な顔だなぁって。」
「そう?ああ、俺シルヴァン。この店『シルヴァの惣菜』の二代目、シルヴァは俺の死んだ父親。で、君が短期の仕事を希望してきたアケミ・タナカさん?ふーん…いいよ。ここで働きな」
「えっ!!本当ですか!?」
「うん。じゃあ早速だけど一つ一緒に考えてほしいことがあるんだ。」
「???」
「この店さ…父親の時は繁盛してたんだけど俺の代になったとたん暇になったんだよね…」
「すみません、聞きますけど借金はないですよね?」
「借金はないけど赤字続きではあるんだよね。」
こうしてアケミの短期バイト~店を立て直せ~が始まった。




