十三話
何とも言えない悲しい顔をするアケミ。
すぐ背後に来ていたカイルに抱き着く。
「…っつ!?ど、どうしたアケミ。」
抱き着く手を強めて泣きながら答えるアケミ。
「わたしさぁ、なんかわるいことしたかなぁ…このせかいきてさあ…なんかまちがえたかなぁ…じぶんのおもったとおりにうごいたんだけどさぁ…ふぉっかさんにきらわれちゃったのかなぁ…めいわくだったよね?わたしなんてもうさったほうがいいよね?」
明らかに弱っているアケミの頭をポンポンと撫でて、
「すまない。」と一言言った。
「どうして謝るの?」アケミはまだカイルに抱き着いたまま聞いてみる。
「えっと…まあ、家に帰ろう。」そのカイルの煮え切らない答えにアケミはムスッとした。
カイルはそこらへんに止まっていた馬車を呼んで家までの案内を頼んだ。
その馬車の中アケミは拗ねてずっと外を見ていた。
カイルは言おうか言うまいかずっと迷った挙句言ってはくれなかった。
二人は屋敷に着いた。
アケミはカイルを待たずにスタスタと玄関へ向かい、扉を開けた。
「…ただいま。」すると、上から嫌がらせかと思う量の千切った色紙が降ってきた。
「!?!?!?」ビックリしてその場から動けないアケミ。
「お前ルゥナふざけんなよ!!!量多すぎだろ!!」
「ジェル…多くって、言った。ジェルのせいだ。」訳が分からずアケミは未だに固まっていた。
ただ、周りを見ると異様に色とりどりの装飾が施されていた。
二人の喧嘩を無視して拍手でアケミの方へやってくるのはジンとフォッカ。
「アケミさん。先ほどは無視をするような形になってしまいすみません。アケミさんの歓迎会を秘密裏に用意していたのです。が、最初の紙ふぶきは失敗したようですね…」
「アケミちゃん。ようこそ。私の屋敷へ。」ぽかんとするアケミの肩に手を置くカイル。
「こういうことだ。私たちはアケミを驚かそうとしていたんだ。」
そのカイルの言葉でみんなはニーッと笑い、
「ようこそ。スペンス家へ。」と声を合わせて言った。その言葉を聞いたアケミは無言でルゥナの前へ行き、頬を叩いた。
「痛いッ!!なんで?」アケミの瞳から涙が零れた。
「…みんな、バカなの?こんな得体のしれない女を…こんなに歓迎してくれるなんて…私、嬉しいよ!!」
そういうとアケミは洗面台にかけて行った。アケミは顔を洗ってもう一度玄関前へ行く。
すると、オジ様が大きな袋を持っていた。
その袋はフォッカさんが急いで荷台に詰めていた袋だと気付いた。
「私たちからの贈り物だ。受け取ってくれるね?」
オジ様にっこりと笑いながら大きな袋を差し出してくれた。私は「はい!!」と元気にいい、開けてみた。
その中には、真っ黒なドレスが入っていた。
アケミは嬉しくてドレスとオジ様交互に見た。
「気に入ってくれたか?」アケミはコクコクとうなずく。
「流石はルゥナとジェル。事前に好きな色を聞いておいてよかった。」
照れる二人を見てオジ様は笑う。
「アケミ。今日はそれを着て晩餐をしてはどうだ?今日の主役は君なのだから。」
アケミはコクコクとうなずいたのち
「本当にありがとうございます!!」と大声で叫んで部屋へ戻って行った。




