十二話
「今日は、私を町案内して、必要なものを調達するんだよね?」
昨日言っていたことを口にすると、四人はなぜか沈黙していた。とりあえず腹が立ったので隣の席のルゥナの頬をつねる。
「痛いっ!!」
「なんで無視するの?」
「べ、別にそんなつもりは…」口を濁すルゥナ。
「そうかな?…ま、いっか…で?誰が私を案内してくれるの?」
「私が行こう。」カイルが名乗りをあげ、「ほぅ?」と答える。町へ向かう馬車の中で聞いたことは、今日はルゥナとジェルは剣術の稽古の為行けず、オジ様は仕事だという。御車さんも買い出しやその他もろもろがあるため行きしか送れないとのことだ。
その説明に若干の違和感を感じながらも私はうなずいた。
結局ただなんとなく町をぶらつくこととなった私たちは必要な服、知識をえるための本などを買った。
やることもなくなったので私は「帰ろう。」と提案した。
しかしカイルはその言葉をガン無視して「何か欲しいものはあるか?」と聞いてくる。
折角なので「ドレス。」と答えてみる。カイルはすぐさま仕立て屋へ連れて行ってくれた。
「アケミ。君は何色が好きなんだ?」
「水色。」
「…水色か…似合わないな。」よく言われますよという風に少し顔をしかめる。
「君はどちらかと言うと淡い黄色だろ。このドレスなんてどうだ?」カイルが進めてくれたのは黄色のフリフリドレス。
私はさすがにカイルの美的センスを疑った。
すぐさま店員に今の流行を聞いてみる。流行はフリルも何もないノーマルなドレスのようで私はそれの黄色にしてもらった。
届けてもらえるらしいのだが住所がわからないのでカイルに頼んだ。
仕立て屋を出て、本当にやることがなくなったと感じた私は再び「帰ろう。」と提案した。
もうジェルやルゥナも帰っているころだと思ったし、やることもない。
しかし、カイルはまたもや無視をして「喫茶店に入ろうか。」と提案してくる。
違和感しか感じなかったが、私はうなずいてついて行った。
店内は明るく、ウェイターが忙しく動いている。
私が想像していた喫茶店そのものであった。
席に座ると、メニューを開いてみる。
読めるには読めた。
神様の語力補正のおかげで。が、なんと書いてあるのは読めるが、実物が分からない。
とりあえずカイルに「甘いもの。」と頼んでみる。するとカイルはウェイターを呼んで何かを頼んでくれた。
ウェイターが持ってきたのは特大のパフェのようなもの。と言うかパフェそのものだった。
美味しい。
この世界にアイスがあったことにも感動できた。
カイルはハーブ系のお茶を嗜みながら私を見る。そして私は確信に触れてみる。
「何を隠してるの?」カイルは一昔前の漫画のように盛大に吹き出し、せき込んだ。
「きたなっ。動揺し過ぎでしょ…」
「な、なにも隠してなど…」口をもごもごしながら濁す。
「家にいるときからみんな違和感しかなかったよ。で、何隠してるの?私は傷つかないから全部言って。」
考えてみれば当たり前のことだ。
数日前いきなりやってきた美少女(自分で言うな)は、いきなり家の中を改革させてあまつさえ居座っているのだから。
みんな動揺しているのかもしれない。
昨日みんなだけで話し合っていた内容も結局は聞かせてもらえなかった。
「…ま、まあいったん店から出よう…」カイルがそういうので二人は会計を済ませて店の外に出た。
二人は当てもなく歩き始める。
「実はな…」カイルが口を割ろうとしたとき、遠くの方に御車さんが見えた。御車さんは大きな荷物を馬車に詰めているところだった。
私は走って御車さんのところへ向かってみる。
「フォッカさん!!」
そう明るく呼びかけただけで御車さんは明らかに狼狽え、
「すみません!!」と残して馬車で走り去ってしまった。




