第二章:「時の移ろい」
深い森の中では、時間は時計で計るものではなかった。それは、樹液の巡りや葉の色づきによって刻まれていく。少年にとって、日々は静かな生存のための舞踏となり、常にその傍らには、青みがかった相棒の影があった。
二人の間に築かれた関係は、言葉のない言語として花開いた。声など必要なかった。スライムの冷たい表面が手に触れるだけで、それが危機の予兆なのか、あるいは安らぎの合図なのかを理解できた。
少年は本能的な憧れに突き動かされ、その生物のあらゆる動きを模倣しようとした。人間の関節では、スライムのような流動的な優雅さで滑ることは叶わなかったが、彼は工夫することを学んだ。
スライムが岩の間をすり抜ければ、少年はそれを登るための的確な足場を見つけ出した。スライムが地面の振動を察知すれば、彼は自らが景色の一部と化すまで息を殺す術を身につけた。
彼は文明世界の目ではなく、穏やかな野獣の感覚で森を読むようになった。嗅覚は、どの実が甘みを蓄え、どの実が毒を隠しているかを告げる。観察は、自然が残酷なのではなく、ただ「無関心」であることを彼に教えた。そして、その一部となるためには、忍耐が必要であることも。
そうして、霜の降りる冬と、木漏れ日の差し込む夏を繰り返し、八年の歳月が流れた。
かつて木の根の間に収まるほど儚かった少年は、もうそこにはいなかった。彼は成長を遂げ、それでもなお、森は無限で神秘的な王国として彼の前にそびえ立っていた。
かつての生活の名残である衣服は、時の流れに抗いきれず、ぼろぼろの裂け目だらけになっていた。汚れ、摩耗していたが、彼は樹液を接着剤や繊維として使い、素朴ながらも巧みな手つきで布を繕う術を覚えていた。
栗色の髪は今や腰まで届くほど奔放に伸び、小さな葉や小枝が絡みついている。その房は顔に垂れ下がり、エメラルド色の瞳を半分ほど隠していた。だが、その奥では野生の知性と深い静寂が輝いている。
彼の隣で、スライムもまた変化していた。もはや片手に収まるような小さなゼリー状の球体ではない。今では抱きしめることができるほどの大きさを持ち、透き通った鮮やかな青色の塊として、頼もしい存在感を放っていた。
彼らは共に森と草原を我が家とし、狩りと生存を司る唯一無二の存在となっていた。




