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プロローグ:最悪な一日

一人の少年が森の中を駆けていた。だが、その足はどこか目的地を目指しているわけではなかった。急いでもいない。それどころか、前を向くことさえせず、その瞳はただ地面を彷徨さまよっていた。その手は、今や指先にひどく違和感を与える鉄の剣を、ただ強く握りしめていた。


ふとした不注意で、草むらに隠れていた何かに足を取られた。少年は地面に倒れ込んだが、獲物つるぎを離すことはなかった。ゆっくりと立ち上がり、静かに膝の汚れを払う。その時、彼はそれを見つけた。木々の間に口を開けた、石造りの洞窟を。

 どういうわけか……それは彼にとって、見覚えのある場所だった。


少年はためらうことなく足を踏み入れた。その隠れ家は深くはなかったが、彼には心地よく感じられた。天井の小さな亀裂からは幾筋もの光が差し込み、宙に舞う塵を照らしている。

 少年は一言も発さず、ただ手にした剣を地面に投げ捨てた。岩に叩きつけられた金属の乾いた音が、静かで重苦しい怒りをはらんで響き渡った。


冷たい石の床に腰を下ろし、洞窟の壁に背を預ける。外ではついに空が耐えかねたように、激しい雨が降り始めた。天井の割れ目から雨水が浸み出し、規則正しい音を立てて滴り落ちる。それはやがて、部屋の中央に小さな水たまりを作った。


少年は動かなかった。ただそこに座り、静寂の中で一滴一滴が澄んだ水面に溶け込んでいくのを眺めていた。水面に波紋が広がるたび、彼の心の奥底にある暗闇が、静かに揺れ動き始める。


そして。

 彼は、思い出し始めた……。

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