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133話

 


「ミーラさんってどんな人?」


 お弁当を食べながら向かいにいるシンジに僕は聞いた。


「どうしたんだモルン、ミーラのことが気になるのか?」


 なんだか違う意味で言われている気がしたので慌てて言葉を足した。


「気になるというか、いつも休み時間はあの感じで机に突っ伏しててほかの人と喋ったりしてないみたいだからどんな人なのかな、と思って。というかシンジだったら結構話しかけてそうだけど」


「そうなんだ。せっかく同じクラスの仲間なんかだらみんなで楽しく学校生活の思い出を作りたいって思って毎日話しかけてたんだけど「眠いから話しかけないでください」って毎回言われるんだよな」


「内気な人なの?」


「内気?いやぁそんな感じじゃない。早口で一気に断られたんだよ」


「そうなんだ」


 どうやら想像している感じとは違うみたいだ。


「ほらミーラって髪の毛が真っ白だろ?」


「そうだね」


 僕が知っているミーラさんの姿っていうのはほとんどが寝ているポーズで話した事が無いのであの白い髪の毛の印象が強い。歳をとった人に生えている白髪というのとは明らかに違っていて、僕は朝の太陽の光みたいな色だと思っている。


「すごく珍しい髪の色だからさ、そのことでヒサシとかにも結構からかわれていたから、そういうのが嫌でああしてるんじゃないかと思ってる。あいつらには何度もそういうのはやめるように言ってたんだけどもう全然聞いてくれなくて困ってたんだ」


「ヒサシって誰?」


「誰ってお前。お前が病院送りにしちまったやつのことだろ。何相手の名前も忘れてんだよ」


「そ、そうだった。違うんだ、名前とか覚える前にあんなことがあったから覚えてないだけなんだ。うん、そうだよ」


 確かにいまのはおかしかった。相手の名前くらいは憶えていないなんてすごく冷酷な人間みたいだ。いや、僕はそんなに悪い人間じゃないはずだ。ただちょっとあれだ、えーと、きっと思い出したくない記憶だから考えないようにしてたんだ。そうだ、きっとそうだ。


「モルンもミーラのことをからかったりするなよ」


「もちろんしないよ」


「一度でいいから戦ってるところを見てみたいんだよな」


「え、なんで?」


 このクラスにいて分かったことなんだけど戦闘特進クラスとはいっても必ずしも全員が将来戦う仕事に就こうと思っているわけではないということだ。


 入学テストを受けた時に普通のクラスに入る分には筆記試験の点数が足りないけど運動テストのほうの成績が良かったので、戦闘特進クラスになら入れますよ、と学校から言われた入ったという人も結構いる。学校をちゃんと卒業しました、ということになれば働くことになった時に有利だからだ。サブレさんが僕を学校に通わせてくれたのもそれがあるからだ。採用する側から考えれば学校を卒業しているというのは、そうじゃない人に比べて安心感があるというのはわかる。


 それに将来何がしたいのか全然まだ決めてないひともいる。僕もそうだ。ただ僕はサブレさんについていきたいということだけは考えている。だからこの学校でもしっかりと勉強してサブレさんの役に立つ人間になりたいと思っている。せっかく入れてくれたのにさぼってばかりいたら失望されてしまうだろう。


「なんでって、ああそうだ言ってなかったな。ミーラの家って道場なんだぞ。たしか「流気道」っていったかな。徒手で戦う珍しい道場なんだ」


「徒手ってなにも武器を持たないで戦うってこと?」


「そういうこと。まだ見たことがないんだけどな分かんないんだよな、世の中武器があふれてるっていうのに、最近では人造魔銃がものすごい勢いで広まってるしさ、それなのになんでわざわざ徒手で戦おうと思うんだろうな、ものすごく興味あるだろ?」


「確かに興味あるね」


「だろ?そうだよな」


「でも授業で見たことないの?普通のクラスだとないけどこのクラスは戦闘特進クラスだからそういうのもあるって聞いたけど」


「あるんだけどミーラはいっつも見学なんだよな」


「そうなんだ。まあでも本人が嫌ならしょうがないよ」


「まあそうだよな」


「何だか意外」


「なにがだよ」


「シンジはそういうのを「皆で一緒に頑張ろう!」とか言い出すのかと思ってた」


「おいおい何言ってんだよ。たしかにみんなで一緒にやる方が思い出になるからいいと思うけどさ、無理やりやらせようとは思わないって」


「そうなんだ」


 行動的で熱い男のイメージがあったから意外だった。最初シンジはグイグイ来すぎてクラスのみんなから嫌われているんじゃないかと思っていたけどそれは誤解で、僕のことを呼び出したあの人たちがシンジのことを嫌いで、みんなはそれを知っていて親しくしている何か言われたりするんじゃないかっていうのが怖いから、シンジと少し距離をとっていただけだった。だからいま彼らが学校を休んでいる状況だと普通に話すようになっている。


「ねえモルン君」


「あれ、キウイさんとパイナさん」


 女子生徒がふたり、僕たちの席に来た。


「名前覚えてくれたんだ」


「もちろん覚えてるよ。僕早くこのクラスになじみたいから」


 僕のことを呼び出した男たちの名前はすっかり忘れていたけど。というかまずい、もう忘れてしまっている。さっきシンジはなに君って言ったんだっけ?



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