第一話:友人との再会
───八月二十三日午前六時、東京新宿空きビルにて遺体発見───。
警視庁は、自殺として取り扱ったがその部屋には不審な
点がいくつかあった。遺体の後頭部と腹部にあざがあった。
そしてこの部屋には窓がない、さらには遺体の横に部屋の
鍵があった。私が見る限り密室殺人となった。警視庁へ、
報告しもう一度詳しく調べてもらった。遺書もなく、薬の
粉があった。手をビニール紐で縛られていたのに飲めるわ
けがないとの判断。こうして警視庁が捜査本部を設置した。
二十四日午前七時東京駅地下一階のトイレにて、事件発生。
またしても密室殺人。天井と仕切りの間に隙間があるが、
すべてのドアに鍵がかかっていた。ついに第二の犠牲者が
出てしまった。その遺体の横には最初の事件現場にあった
薬の粉があった。その粉は、シアン化カリウム。別名青酸
カリ、毒性の強い薬物だ。こうして事件名は、連続密室青
酸カリ殺人事件となった───。
私の名前は、志田俊夫。志田探偵事務所創立者、志田隆
次の息子だ。探偵歴は、十五年だ。手がけた事件の中で、
一番印象に残っているのは、元首相暗殺事件だ。さて、今
回の事件は密室で青酸カリを使い殺害されたと考えられる。
又、かなり計画性のある犯行だと分かる。
私は、なんだか嫌な予感がした。
「すぐに解決できるといいが・・・・。」
一人でつぶやいていた。事件現場で、ある男と会った。
「久しぶりー。」
ある男が言った。
「あ、鉄。お前、警視庁に勤めているのか?」
私は訊ねた。ある男というのは、高校の同級生で仲が一番
よかった神田鉄という三十八歳の男だった。高校を卒業し
てからは、ぜんぜん連絡をしていなかったから、かなり久
しぶりだった。
「俊は、こんなところでなにしてるの。」
と、鉄が言った。
「俺は、探偵だよ。」
と淡々と答えた。
「親父の仕事、結局継いだのか?」
と鉄が聞いた。私は、首を少し動かしうなずいた。
「どうですか?探偵さん。」
鉄は、おちょくるような感じで言った。
「難しいですね。警察は、何か言い手がかりでも見つけたか?」
私は、まじめに言った。すると、鉄が
「特に何にも見つかってないよ。」
と言った。
「そうか。」
と私は、ため息をつき言った。その後、数十分間話をしてい
た。鉄が
「どうだ一杯やっていかないかい?」
と訊ねた。
「ごめん。また今度な。」
と私はきっぱり断った。
「ま、頑張れよ。」
と言い別れた。その後私は、一時間ほど現場にいた。その
後、一人で考え込んで、事務所に帰った。




