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ベノムワールド  作者: 朝裏 刻


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1/11

#01喫茶店「〇」

【あらすじ】


嵐の中、ひとりの男は不思議な喫茶店へ足を踏み入れる。


そこにあったのは、見たことのない店員たち。

不思議なメニュー。

そして、どこか懐かしさを感じる一杯のコーヒー。


「はじめてですか?」


その問いかけから始まる、小さな出会い。


少し変わった喫茶店「〇」で紡がれる、

温かくて不思議な物語。



第一話



ザー。

どんがらがっしゃーん、と雷。

傘はない。

全身が濡れたまま目の前の喫茶店へ駆け込む。

記号だけの看板、「〇」。

「 いらっしゃいませー。 」


妙に明るく、薄くて軽い声。


みどり色や紫のトカゲの店員たちは、ブラウンのエプロンを小綺麗に纏っていた。


「 はじめてですか? 」


無言で、首を縦に振る。


(  変な質問だな。 )

そのまま席へ通される。

猫が通る。

一度だけこちらを見て、笑ったように見えた。

「 もう出られないかもね…。 」


( おしゃべりな猫だな。 )

異様な空気に不穏さを感じながらも、座ったまま携帯を取り出す。

パートナーAIのtonicにスマホで接続する。

検索:喫茶店〇

検索:〇

検索結果:該当なし

検索履歴:該当なし

この地点は地球上には存在しません。


「 ん?地球ってどこだ? 」

「 まあ、いいか。 」

メニューを見る。

トマト (微量)

きゅうり (不明)

人参 (刺激)

コーヒー (強力)

スマイル (最強)

( 不思議な書き方だな。 )

注文する。

「 コーヒーを一杯。 」

少し間。

「 本気ですか? 」

「 何が? 」



(  この店では不思議なことばかりだな….  )

…店内には、あまりに純粋すぎてむしろ逆に、毒のようにすら感じる、モーツァルトの軽やかなリズムが流れている。


( レコード…? )


そんなことを考えていた。

店員が元居たカウンターの中にまるで折りたたんでしまわれるように返っていく。

ふと、思い出したように言う。

「 あ、すいません。やっぱり、ブラックで。 」

店員の手が止まる。

「 コーヒーだけでもやばいのにー! 」と震える。

「 聞こえてるぞー(笑) 」


戸惑っている店員らに

「 炒った豆を優しく軽く蒸らして、数回に分けて淹れてくれ。 」と伝える。

「 お客様には既に聞こえています、お静かに。 」とあたまと手足の青い店長。


あわあわする店員たち。

空気が揺れる。

やがて店長がカップを運ぶ。

「 店長の、やぶかみです。 」

「 失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか? 」

( どうしてコーヒーに詳しいのか…? )


なにか、絶対に忘れてはいけない大切なことを思い出せないでいた。

「 ジョージ… 」

一口飲む。



「 あの人…コーヒー飲んじゃってるよ.... 」

「 しかも、ブラックって… 」



痛みが静かに引いていく。

同時に携帯が反応する。

ピン留め済みの地点です。

ピン留め履歴:40年前の記録があります。



ここは、危険な香りを放っているかもしれないと気付いた時には、既に手遅れだったのかもしれない。





__________☕



作品への反応をいただいたり、フォローしていただいたり、私自身をお気に入りに登録していただくと、


「楽しんでいただけたのかな」

「何かが届いたのかな」


と感じて、とても嬉しく思っています。


コメントなども、気軽に残してもらって大丈夫です。


作品について感じたことや、ふと思ったことなど、自由に書いていただけたら嬉しいです。


いただいたお言葉は、一つひとつ大切に読ませていただいています。


一番大切なのは、作品を読んでくださったあなたの気持ちだと思っています。


どんな風に感じたのか。

どんなものを受け取ったのか。


その一つひとつを大切にしていきたいです。


限りある人生の時間の中で、この作品に時間を使って読んでくださったこと。


本当にありがとうございます。




一杯のコーヒーから始まった、小さな出会い。


不思議な喫茶店「〇」には、

まだ誰も知らない秘密が隠されています。


なぜ、この場所にたどり着いたのか。


なぜ、このコーヒーはどこか懐かしいのか。


そして、この店で出会うものは――。


少しずつ紡がれていく物語の先で、

何か大切なものを見つけてもらえたら嬉しいです。


次の一杯は、

トカゲたちが淹れる新しいコーヒーとともに、

また新しい物語を連れてきます。


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