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54話

まず謝らなければいけないことがあります。

実はこれから二週間ほどですが、リアルの方が非常に忙しくなります。

というよりも最近はずっと忙しい状態で、ストックをずっと予約投稿していたのですが、それもなくなりました。

というわけで、これから二週間ほど間を開けてしまうことを先に述べておきます。

なるべく書くつもりですが……ちょっと厳しいです。すみません。

ふがいない作者ですが、これからも影薄をよろしくお願いします。

「とりあえず、あなた方が完了しなければならないことを完了したら、もう一度こちらにいらしてください」


 あのイビルアルラウネとの戦闘にさえならなかった邂逅のあと、ミツキたちはヤンバルにそう言われて、モットーから伝えられた奴隷商へと送り出された。


 モットーの道場は訓練が実践的であるだけに時間がかかる。

 そのことから予定があるならそのすべてを潰しておかなばならないのだった。


「それで、本当に俺が所有権を持つってことでいいんだよね?」


 道場から出たあと、モットーに教えられた場所へとアイリスに先導してもらいながら、ミツキはリーフィアにそう言った。


 無論、先の段階ですでにリーフィアの意見は聞いているため、確認としてのものだ。


「はい、問題ありません」


 リーフィアもそれが分かっているのか、きちんと自分の意思は変わらないと目でもってミツキに訴える。


「わかった。──それにしても、奴隷商か……」

「あら、奴隷商について何かあるの?」


 リーフィアの訴えを受けて、静かに了承の意を示したミツキがそのすぐ後に少し困ったような表情に変わったため、アイリスから質問を受ける。


 それにミツキは別にそこまで特別な感情はないんだけど、と前置きをしつつ、


「なんとなく、嫌な予感がするんだよね~」

「嫌な予感?」

「うん、そうなんだ」


 ミツキがこの感覚を覚えたのはモットーが奴隷商の話題を上げたときだった。


 話している途中、なぜか首筋がチリチリと警告を訴えてくるような感覚を覚えたのである。


 なぜこのような感覚を覚えたのか、まるで理解はできないのだが、それでも〝嫌な予感〟というのはそれだけで様々なフラグに繋がるものだ。


「口にすると余計に実現しそうで怖いものがあるんだけど……」

「そういう感覚は共有していた方がお互にいいことの方が多いわ。対処がしやすいし、それぞれがどこかしら感覚が鋭い部分があるわけだから、パーティーとしてそう言うことも必要ね」

「…………」

「あら、どうしたの?」

「ん? ……いや、なんでもないよ」


 アイリスの言葉に一瞬、足を止めたミツキだったが、すぐに歩くのを再開する。アイリスはその様子に首をかしげるも、ミツキが答える様子がないとわかるとすぐに先導を開始した。


 それからしばらくして、ミツキたちは奴隷商の前にやってくるのだった。


 ***


 その頃、ミツキが殲滅した盗賊団のアジトとして使われていた洞窟にて、人影が真っ暗な中に存在していた。


「フヒヒっ、やはりこの程度の形ではまだまだと言ったところですかネェ……」


 その声は、どこか、ミツキやソウタたちが対面したかの、怠惰の魔王と同じ、不快感を呼ぶもので。


 事実、その身に宿す力はそれと同等のものであると、この短期間で召喚された生徒たちの中で誰よりも強くなっているミツキや、一度魔王に殺されらのかというような攻撃を受けた、根はオタクの勇者ソウタならば、お馴染みの展開(テンプレ)として気がついただろう。


「まぁまぁ、ヨシとしましょうかネェ……所詮は実験な訳ですし──っと」


 突然、その人影がその場から飛び退く。


 もちろん、この行動には理由がある。


 それは──


「おやおやこれは……このような場所には不釣り合いな美人さんじゃないですかネェ……」


 人影がいた場所には何故か抉られたような跡があり、さらに人影の視線の先には素朴な印象を与える顔立ちの少女。


 受付嬢の制服を身にまとったその少女はそう、アイリスがアルテナの冒険者ギルド一の受付嬢といっていたエミリーだ。


「あなたはいったい何者ですか?」


 エミリーはその素朴な顔立ち、特に柔らかな印象を与える要因となっている目に、冷たい光を宿してややねっとりとした、君の悪い話し方をする人影に問いただす。


「さて、一体何者でしょうかネェ……そもそも生命というものは──おっと!」


 人影ははぐらかすように肩をすくめて、言葉を紡ぐが、それに対するエミリーの対応は素早かった。


 無詠唱(・・・)による魔術行使と、さらにそこから流れるような人影への接近。

 その動きはどこか動物めいた、独特のしなやかさがあり、人間のそれよりも自然で、とても速かった。


 ミツキでも〝第六感〟を頼りに回避をするようなその速度。


 しかし人影はそれに対して特に気にした風もなく、地面に何かを叩き付けた。


「!?」

「私は近接戦闘は苦手でしてね」


 驚愕するエミリーに対し、どこかの怠惰な魔王が言いそうな言葉を紡いだ人影。


 なぜ二人がこのような態度を取ったのかといえば、それは叩き付けたものに理由が存在している。


 人影が叩き付けた何かは、地面についた瞬間に植物のツタのようなものを出し始めたのだ。

 しかもそのツタは棘付きであり、色も紫。どう考えても怪しいものだった。


 そしてその一瞬を人影は逃さなかった。


 人影はもう一つ何かを叩き付けると、今度は紫色の煙があたりを漂い始める。


(──毒煙!)


 エミリーはすぐさま口を塞いで自分の身体に毒消しの魔法をかける。


 それからしばらくして煙が止むと、そこにはすでにエミリーと植物以外何も存在していないのだった。


「これは、どうやら報告する内容が増えそうですね」


 もともとエミリーがこの場所にやってきた理由はミツキの盗賊討伐に関する事後確認のためだった。


 つまりエミリーこそが、副ギルドマスター兼受付嬢でありながら、さらに斥候役を担っているということなのだが、それを苦にした様子もなくエミリーは淡々とこなしており、その時に感情をあらわにするようなことはなかった。


 のだが、久しぶりに厄介なことになりそうだとエミリーはこの場で遭遇した人影を思って、ため息をつくのだった。

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