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31話

『さあお前たち! お前たちの壁を超えるときが来たのです! 頑張るのです!』


 イザヨイの掛け声によってニア、ワン、カーが動き出す。


 ここは洞窟内であり、真っ暗である。

 そのためミツキが呼び出した使い魔たちにとってはある意味最高の環境だと言えるだろう。


(……頑張ってくれよ)


 先程あったときに能力を確認しているし、ゴブリンキングのことを雑魚と言っていてイザヨイがいるため大丈夫だとは思うのだが、ミツキはただじっと魔力サーモグラフィーを使って小さなモフモフたちを応援するのだった。


「ニャー」


 まずはニヤがゴブリンソーサラーに向かって行く。


「グギャーギャギャ!」


 ゴブリンソーサラーはミツキが発見したときには持っていた杖をニヤに振るう。

 ミツキの魔力サーモグラフィーにはその杖に魔力が収束していくのがはっきりと見えていた。

 そして、その魔力がこもった杖から青黒い火の玉が三つほど発生、ユラユラと揺れながらニヤに向かって行く。


『ニヤ! その炎は火属性中級レベルの、呪い系統魔法〝鬼火〟なのです! 触れたら魔力を奪いながら相手を燃やすという中級ながらに恐ろしい技なのです! しかも速ぞは遅くとも少しばかりのホーミング機能付き! だから影技で回避なのです!』

「ニャニャ!」


 イザヨイの実にありがたい説明付きの指示により、ニヤが足元に魔力を収束されていく。


「ニャー!」


 そして、ある程度まで魔力がたまったところで、ニヤの身体が闇の中へと入っていった。


(これは……)

『これはニヤの固有スキル〝影技〟なのです。効果は影を操作したり、相手や自分を影の中にいれたりできる効果なのです!』

『あ、ありがとう。でもなんで俺の疑問が分かったの?』

『? お兄ちゃんが脳内チャンネルを切っていなかったからなのです?』

『そ、そうですか……』


 脳内会話はチャンネルをきちんと切っておかないと考えが筒抜けらしい、とミツキは丁寧に脳内チャンネルを切った状態で思うのだった。


(イザヨイと関わると、どーも調子が狂うんだよなぁ)


 なぜ自分の使い魔にこうも調子を狂わされているのか、ミツキはぶつぶつと悩んでいる間にも戦闘は続いていた。


 ワンは剣と盾を持つゴブリンナイト相手に自分の幻影を複数つくって、隙を生みだしながら闇魔法や自分の牙での噛みつき攻撃などを繰り広げる。

 カーは迷彩を発動してその存在を透明化させ、ゴブリンジェネラル相手に闇魔法で動きや声を封じながら牽制している。


 もちろんその間もゴブリンキングは動いているのだが、そこはミツキのペット筆頭を自負するイザヨイが適度に足止めをして手を出させることもなく、ただニヤ達が他のゴブリンを倒すために指示を出している。


(いいパーティーだな)


 ミツキはなんとなくうらやましいなぁと思った。


(俺はアイリスと一緒に行動してはいるけど、パーティーとして動いたことはないし、何よりパーティーを作るならもっと人数が欲しいよなぁ)


 異世界召喚ものであれば、個性的なキャラクターたちと主人公がパーティーを作って大冒険するのが定番だ。ミツキも将来的にはそれを達成したいと思っているし、パーティー名とかを考えるので盛り上がったりしたいと思っているのだ。


(でもなぁ……それはそれで問題があったりするんだよなぁ)


 だが、途中でなんとなく残念な気持ちになってしまうミツキ。理由はもちろんあのスキルだ。


(──〝存在希薄〟が厄介すぎる)


 そうミツキをいつも悩ませる〝存在希薄〟くんだ。もう一度効果を見てみると……


=====================================

〝存在希薄〟(オリジナルスキル)

 存在感が希薄になり、他人に認識されにくくなる。また、周りに存在感の強い人間がいるときはその効果が強まる。常時発動型で解除不能。

 派生効果1:気配を操る力を得るスキルに大幅な上昇補正がかかる。

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 とこのように、周りに存在感の強い、つまり個性的な仲間たちが集まってしまうと、それに比例してどんどんミツキの影が薄くなってしまうのだ。


(普通ならヒロイン候補たちがどんどん増えていって、その結果周りからそんな美女美少女を侍らせている存在が誰なのか~って注目を集めて目立つはずなのに、どんな矛盾だよ…………って、あれ?)


 ミツキは自分に降りかかる致命的なまでの呪いに嘆いていると、ふとおかしなものがついていることに気がついた。別にヒロインが自分を中心に侍るはずがないのにおかしな妄想をしていることではなく、本当に不可思議なものを発見したのだ。


「何この派生効果って?」


 今ミツキは自分が隠密行動をしているのにも関わらず、無意識に声をだしてしまった。……まあ、結局ミツキの影の薄さが幸いしたのか気がつかれはしなかったが。……それが本人にとって幸いかどうかは別としておこう。

 もちろん、思わずといった感じで声を出してしまったミツキはそれよりも今、自分の脳内に浮かんでいる能力について確認していた。


(なんだんだ本当にこれは……というか、俺は今〝調和〟を発動していないはずなのになんでスキルの効果を見ることが出来てるんだ?)


 何やらいろいろとおかしいことに気がついたミツキは一度、〝調和〟のスキルを発動して自分のステータスを見てみる。


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[ネーム]ミツキ・オボロヨ(男:16歳)

[クラス]《異世界人Lv.70》《大英雄Lv.10》《暗殺者Lv.90》《魔人Lv.70》《召喚士Lv.30》

[スキル]調和・存在希薄・言語理解・万能召喚・念動力・超成長・超感覚・看破・威圧・暗殺術・状態異常無効・魔法耐性・物理耐性・全属性適正・魔力操作

[タイトル]【神さえ気がつかない存在感の男】【影が薄い異世界人】【魔王を暗殺せし影が薄い大英雄】【暗殺の超人】【幾万の呪いを身に纏いし者】

=====================================


「…………」


 なぜかいろいろと変化していた。

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