Grand King ⑦
■皇崎学園第一学舎内 高学部 2年A室内
一人の男子生徒の周りに数人の男子生徒が集まっている。
「レン!GrandKing4連覇おめでとう!」
「やっぱすげえよ轟!」 「流石!【覇王】の異名は伊達じゃない!ってね☆」
「おいおい、【覇王】はやめてくれって前にも言っただろう?」
「えー?いいじゃないっすか【覇王】俺もレン君みたいなカッチョイイ〜異名欲しいっすー」
「じゃあ、来期の出場試験申し込んだらどう?」
「い・・・・・いやぁ・・・・・それは流石にハードル高いっす・・・・・・」
最初に話しかけた人物から順に、名は高山シュウ、八木ノルン、五十嵐ドラン、小野寺シートという。
「そういえば、来週もう来期出場試験だっけ?」
「つい、昨日終わったばっかりなのに、マジ休む間なくねぇか?轟」
「あぁ、正直1ヶ月くらい間を開けてくれって毎回思ってたけど、今となっては慣れたから大丈夫だよ。適度に休みたい時は休んでるし」
レンは自分の多忙さを心配しているシュウとノルンに学園ランキングのスケジュールへの小言を漏らしながらも別段心配されることではない旨を伝えた。
「と・こ・ろ・で・〜」
椅子に座っているレンの前方に立っているシートが頬杖をつく形で講義机の上に上半身を乗り出した。
「史上初の5連覇を祝して報酬額をアップしてくれたり・・・・・・?」
「前期も似たような理由で報酬上げたじゃないか・・・」
「そこを・・・!どうか・・・・・・ッ!!」
「うーん・・・・・・・・・わかったよ、経理担当に言っとく」
「よっしゃあ!!」
レンが数秒考えた後に出した返答を聞いたシートは立ち上がり喜びのガッツポーズをしてみせた。
「いいなー給料アップ」「俺もバイトやめて陣員になろうかな、轟の」
「いやいや、そう簡単になれるもんじゃないっすよ〜!陣員にはー少なくとも・・・・・・」
2年A室の学生達の頭上に巨大な炎の玉が出現した。
「な・・・なんか熱くね?」
「急に真夏みたいになったぞ?なんだぁ?」
「あつい・・・・・・あついよぉ・・・・・・」
A室内でレンを囲んでいる生徒を除いた他のクラスメイト達も頭上の炎の玉の存在には気づいていないが、それによる湿度の上昇により異変を感じている。
「こうやって無詠唱無動作で魔法行使出来るようにならなくっちゃ話にならないっすよ?」
「す・・・すごい・・・・・・」「わぁーお・・・・・・」
一方レンは、シュウとノルンに己の魔法行使精度を自信満々に見せつけているシートを見て、やれやれ・・・・・・と言いながら一言声を発した。
「『クエスト』外での戦闘魔法行使の禁止・・・・・・」
レンが言葉を発した直後、あるいは最中にA室の天井近くに出現していた大玉サイズの炎の球がまるで夢か嘘かの様にバッと消滅した。
「やっべ・・・・・・つい、やってしまったっす・・・」
「まったく・・・・・・人に向けてなくて良かったよ」
「でも、見て良かったよ、こりゃ俺には届きそうにない」
「ふふんっ、理解が早いのは良いことっす」
「あぁ、あんな高等テク俺には逆立ちしても出来そうにないやセンスなのかな・・・?やっば・・・」
「ふふんっあったりま」
「いや、努力すれば、ある程度の魔法行使は無詠唱無動作で出来るよ、シートがそうだし」
「ちょっと!天才って事にしといてくださいよ〜!」
「だから、必ずしも無理って訳じゃない。興味があるなら陣員採用テストを受けて見たらどうだ?来月にあるし腕試しと思って」
「あんなの見せられたばかりだから正直まっっったくできる気がしないが・・・轟が言うなら、やってみようかな」
「ちょっとレン君!俺を無視しないで欲しいっすー!」
「あぁ、ごめんごめんシート。安心してくれ、シートは充分に他の陣員と比べたら天才だから」
「本当に思ってるっすか・・・・・・」
「思ってるよ俺が陣主なんだから」
レンは内心でこう思う。
寧ろ、天才であり秀才であるからこそ、困る。
シートも含めて、現在、レンに雇われている陣員達は世界中のランカー陣員を集めても圧倒的な実力の高さがある。
だから、密かに自身の敗北を祈るレンにとって
彼らはあまりにも、強すぎて。
あまりにも、可能性を秘め過ぎていると。




