Grand King⑨3/3
何も無い無機質な空間が『夜の都市の景観』を思わせる「世界」に変わっている。
この現象はきっとレン様が『仮想置換』という魔法技術かあり、それを使って仮想世界をこの【無機質だった空間内】に移し換えているのだろう。
そして、私がこの都市景観に見覚えがあった理由は、この仮想空間自体がニュースで見た【エリアANo.13】をそもそも、『模している世界』だからだ。
実際に現実に存在する。もしくは、現実に存在した世界を模倣した仮想世界は幾つも存在する。
皇崎学園内のエリアや他の各エリア連諸国。
例えば、皇崎学園所在地である【エリアA】の各地域ナンバーを模した仮想世界や、昔存在した世界で言うと
旧代旧アメリカ合衆国のニューヨークや旧代旧フランス国のパリだったり、また超古代のオスマン帝国を模した仮想世界もある。
夜の都市世界のビルが側面に並び立つ道路内にレン様が葬った学生達がバラバラと倒れている。
唯一立っている学生にレン様が近寄り
「どれどれ〜」
と、学生に渡したスマートリングが空間投写するウィンドウを覗く
「おっ!これとかバッチリじゃーん」
一体レン様は何をしているのか私はまるで分からない。
レン様が空間投写されたウィンドウをフリック操作しているところを見ていると
『!』
と、私の目の前にエリッターの新規メッセージ通知アイコンが表示された。
「えっ?」
突然の通知に私は驚いた。
そして、突如届いた通知を開くと【レ】と言うアカウントから送られた写真が添付されていた。
その添付された写真が、まさに寸前で起こったレン様が【仮想世界内の架空の学生】に黒い稲妻を纏う手で徒手攻撃されている瞬間が写っていた。
「それ、俺の誰にもバラしてない秘密のアカウントだから」
秘密アカウント・・・・・・?ということは真のプライベートアカウントと言う事だよね・・・?推しのプライベート垢が私のエリッターの通知画面に・・・・・・?やばい、また頭がクラクラしてきた・・・・・・。
「悪いけどフォローは返さないで。轟家と【TOPWOKER】の大人に見つかってしまう」
そんなの言われなくてもお・・・・・・恐れ多くて出来るはずないですよ・・・・・・!!
「は・・・はい・・・・・・」
私はレン様に向かってコクコクッと頷き返した。
「ここでこっちから送る分にはデータ上『UNKNOWN』として表示されるから、99%特定の心配が無い。
けれど、他のアカウントからアクションを受信すると送信元を起点として大人達に特定される可能性があるから」
そんな極秘なアカウントをよりにもよって
ただの有象無象の一部である私になんで・・・・・・。
この事が他のレン様オタクにバレたらなにが起きるかまるでわからず、恐ろしい。
もしかしなくても、私のエリッターは大炎上する事は間違いないだろう。
いや・・・寧ろ大炎上だけで済めばいい方だ。
「その写真載せて暴露エポスして、キミのアカウント規模なら直ぐ拡散されるでしょ」
そんな・・・いくら推し様から直々の頼みとは言え、これは流石に承諾出来ない・・・!!
私は「出来ない」と伝えるべく緊張でカサカサに渇いた唇を開き、言葉を発しようとした、その瞬間。
「・・・・・・やってくれるよね?」
レン様の天然由来の甘美な声と整った顔面で魅せる思わせぶりな表情の破壊力により私の正常な思考は吹き飛んだ。
「は・・・はい・・・」
思考停止したまま、私は無意識的に頷いてしまった。
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はぁ・・・・・・・・・なんで「はい」って言っちゃったんだろう・・・・・・。
家の自室に帰り止まっていた思考が再起した所で私は後悔と自分への「呆れ」の感情に見舞われる。
この事を私は翌日の授業中は勿論、翌々日のバイト中にまでも引き摺った。




