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第27話 生臭坊主のクリスマス

 庭に植えたモミの木の背がグングン伸びてる気がしている、今日この頃。

 結局モミの木は馬鹿息子にお使いを頼んで下まで運んで貰った。

 初めは爺に頼むつもりだったんだが、重いもんは永遠の若手に任せるのが一番だろう。

 まあ、爺は爺で俺のベンツを乗り回してブイブイ言わせてるみたいだから、頼めば断れないだろうけどな。


 そんなこんなで必要な物は集まったので、クリスマスイブから本格的にクリスマスの準備を開始する。

 クリスマスイブからじゃ準備が遅くないかって?

 モミの木に飾りを付けるだけなんだから、遅いなんて事は全く無いな。


「楽しいね!」


 そして座敷童の五子が屋敷の外に出られる様になった。

 見た目は五人姉妹の中で一番小さいんだが、一人だけ成長速度が異常だ。


 五子は背が低いので、俺が抱き上げてモミの木を自由に飾らせる。

 見える奴からしたら、絵面が完全に爺さんと孫だろうな。

 昔は馬鹿息子にも同じ事をやっていた事を思い出す。


 子供ってのは可愛いもんだ。

 例え血が繋がっていようが繋がっていまいが関係無くな。


『我には幼女を抱えてニヤついている変態にしか見えんぞ』


「余計な事を言うんじゃねぇ。

 お前も馬鹿息子が小さい頃は、ニヤつきながら撫でてただろうが」


『覚えておらんわ』


 あやかしの中でも強い力を持つ奴らは、見えない人間にも干渉出来る。

 だから神隠しみたいなもんの一部はあやかしが干渉してって事もあるらしい。

 殆んどが自発的か人為的からしいけどな。


 化け狐の場合は、馬鹿息子が子供の頃に結構頭を撫でたりしていた。

 あいつは子供の頃の事を殆んど覚えてないみたいだがな。


「こんなもんで良いか。

 五子、どうだ?満足か?」


「うん!」


 表情の無かった座敷童が弾ける笑顔だ。

 俺がもし幼女好きの変態爺だったら。日々メロメロになっていた事だろう。


 屋敷の外は雪が降り積もっている。

 誰かさんが降らせているせいでな。

 器用な事に家と畑だけは外しているが。


 冬用の作務衣にダウンジャケットを着こんでも寒いので、料理に必要な野菜だけ収穫したらさっさと屋敷の中に戻る。

 室内は日替わりローテーションで人魂や鬼火が入って、気合いを入れて温めているので温かい。


 囲炉裏の側に座って手足を温めて、ウイスキーで体を温めたら酒が止まらなくなって、買っておいたチキンを食いながら夕方まで飲み続けていた。

 とりあえず、夜を前にして丸鶏のローストチキンが消えたな。

 昔はこの手の料理の宅配って味は薄いし、食感はパサパサしているイメージだったが、宅配でも随分と旨くなった気がする。

 8割化け狐が食ったけど。


 そろそろ料理でも作り始めるか。

 作ると言っても、殆んど宅配で頼んだ物を温るだけだからスープだけな。


 雪女によって空になった家庭菜園だが、今はブロッコリーと白菜、小松菜、ほうれん草なんかを育てている。


 あと河童用にキュウリだな。

 冬なのに何故か生るキュウリが謎過ぎるんだが。

 あの畑なら時期なんか気にせずに植えちまっても、何も問題は無いのかもしれない。


 そんな訳で今日作るのは簡単に出来るブロッコリーのミルクスープだ。

 まずはブロッコリーを軽く洗い、茎を切って小房に分ける。

 鍋に牛乳を入れて囲炉裏で火にかけ、沸騰する前にブロッコリーとチキンスープの素を入れる。

 後はブロッコリーに火が通るまで軽く煮たら、雑に塩を振り、皿に盛ってたっぷりと粉チーズを振りかける。

 俺と化け狐の分だけ後で胡椒も掛けよう。


 こうして、俺のクリスマス究極料理が完成した。


『何が究極だ。単なる手抜き料理ではないか』


「文句を言うなら食わなくていいぞ」


「さっさと胡椒を掛けろ。生臭坊主」


 なんて傍若無人な振舞いなのだろうか。

 付き合いが長いので、今更気にする事でもないが。


「外も暗くなって来たし、縁側に出てクリスマスパーティーやるぞ」


 誰かのせいで雪が振ってて寒いんだが、俺達は全員で縁側に出た。

 空からは雪が舞い、ポツポツと橙と青の火の玉が浮かんでいて、幻想的に雪化粧した庭を照らす。

 五子が飾り付けたモミの木も、星や鈴や金テープが灯りを反射していて綺麗だ。


「こういうクリスマスも悪くないんじゃないか?」


『悪くはない』


 素直じゃない化け狐と酒を飲みながら、あやかし達の作り出すホワイトクリスマスイルミネーションをしみじみと楽しんだ。

こちらの小説はアルファポリスで開催中の【第7回キャラ文芸大賞】にエントリーしています。

アルファポリスでは既に90話以降の投稿を開始していますので、是非そちらもご覧頂き、面白いと思ったら【投票】をお願いします。

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