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おふーが来たまち  作者: 縦島尾風
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プロローグ

 動物は、人間の言葉は喋れない。


 当然ながらこれは当たり前のことである。太陽が東から昇って西に沈むのと同じくらい当たり前だ。


 普段は人間からかわいがられ、時には怖がられ、そして珍しい行動をすると一時期話題になったりする。猫ならば「ミャー」と鳴き、犬ならば「ヴァゥ」と鳴く。また、本能のままに従い、自分で物事について深く考えることはない。そして笑ったり鳴いたりという豊かな表情をつくることはない。


 動物の特質としてあげられるのは、俺の小さい知恵袋の中では大体こんなもんだ。


 中には「動物にも言葉があるのだ!」とか「私には動物の声が分かる!」みたいに言い振る舞う愛好家もいるようだが、少なくとも言語を話したりしないってのは世界共通で誰に言っても賛成意見十割確実だろう。




 反対派はいないよな? よーし、オッケー。




 さてさて、なぜ俺がここまで精通に動物について語っているのかというと、実際に俺は常識を覆す出来事に出会ってしまったからだ。


 動物が喋る? そんなまさか。


 俺もそう思っていた。


 しかし俺は目の前で夢のような光景を目の当たりにしてしまったのだ!


 簡単に言うと「ありえない」ことに遭遇した。地球が大爆発を起こして中から緑色のアヒルが誕生することよりもありえない。神に誓って、ゼウスに誓って、これは常識の範囲では考えられないことだと主張する。


 詳細に説明すると動物以外に関することでも、もっと言うとこの世界そのものに関しても現実とは思えないようなとんでも現象が勃発し、俺の目の前に堂々と現れてくれちゃったのだが。


 俺は果たして幸か不幸か?


 レアな体験というのは誰もが経験してみたいものだろうが、今回のはちょっと例外だ。


 今のうちに言っておくが、俺自身はいたってまともで平凡な高校一年生である。


 特別に優れた能力を持ってるわけでもないし、暗い過去があるわけでもない。ましてや映画の主人公なんかにありうる奇怪なプロフィールも当然のことながら設定されていない。


 ごく普通に生まれ、ごく普通に育ち、ごく普通に生きてきた(少なくとも俺はそう思っている)。


 家族構成もごく一般的なもので、両親と姉を持つ四人家族だ。親は仕事でシンガポールに赴任しているため帰ってくることが少ないので、ほとんどは姉(弟をこき使う、近代の代表的馬鹿者である)と二人で生活しているようなもんだが。


 俺はまともだ。自信を持って言えるね。


 学力は低いが、そういうことは気にしない気にしない。


 スポーツ面ではどうかって? そりゃあ…… まあ気にしない(ごまかし)。


 まともじゃないのは…… 俺の通っている学校、周りの人々、その他もろもろ。


 最初はどうしようかと思った。誰だって現実逃避したくなるだろう。色々逃避手段を考えはしたんだが、何も名案が浮かばないまま、今現在に至る。


 俺は普通の中学卒業して、普通の高校入ったつもりだったんだが。


 俺が通っている、摩訶不思議で信じがたい行事を文化祭の一部に取り入れてあたりまえのように実行した変哲極まりない高校…


 その名は、春山高校。


 田舎でも都会でもない場所にひっそりと建設された、無名の県立高校である。環境も良好で、設備もそれなりにしっかりしている。


 なによりいいことが、家から近いこと。チャリで十五分弱。上々だ。


 というか、俺がこの学校を選んだ理由はこれだけ。二番目に近い学校はというと、通うのになんと片道二時間もかかる。しかも電車&バス使用だ。交通機関だけでも相当金を消費するし、第一、二時間もの時間がかかるのだ。毎日のようにこれだけの時間を費やして登下校するとなると、考えるだけで倦怠感がどっと脳内に押し寄せてくる。近いほうが良いに決まってる。


 結局俺は、その高校以外の選択肢を神様から授けられなかったわけだ。


 まあ、中学三年の後半にもなると、余命一ヶ月を宣告された直後の人のような顔をしてどの学校に受験するか悩んでた奴らを数えきれないほど見てきたから、そいつらに比べたら俺は楽な進路選択だったかもな。


 中学……か。


 ああ、あのころは平和だったなあ。


 まだ高校入学して半年も経っていないというのにそんな思いを脳内に駆け巡らせる俺って一体何者なんだろう。


 そう、あの頃はよかった。


 何事もなく毎日が過ぎてゆく。今思えば楽園のような世界じゃないか。


 ……懐かしい思い出に浸るのはこれくらいにして、


 俺の超ミステリアス・アンビリーバボー体験は春山高校に入学して何ヶ月か経過したある夏に突如姿を現した。


 しかもそれは一回だけでは済まされなく、何回も連続して俺の穏やかな生活をぶち壊しに来やがったのだ。まさに、一難去ってまた一難って感じだった。


 こんなことを誰が予想できよう? 予想できる人がいたら、そいつは将来占い師か予言者にでもなるべきだ。それで行方不明者の居場所を予言し、見事的中させてくれ。近来必要とされる貴重な人材になるに違いない。頑張れ、未来のヒーロー!




 さて、その超ミステリアスなんとか体験について話そう。


 あれはいつだったかな。5月下旬くらいか。


 ゴールデンウィークも過ぎて休みボケも解消の道を歩み始め、そろそろ学校生活にも慣れつつあった俺の耳に、不可解なニュースが飛び込んできた………

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