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きらい

「大丈夫かな、あの人…」

蒸気車の走る音を耳にしながら、別れた嶺亜を気に掛ける燈夜。

海陸の居場所がわからない状態で、手掛かりとなる嶺亜がすぐに殺されるような事は無いだろうが、それでも多少の心配は残る。

歩きながら徐々に離れていく嶺亜と別れた通用口を振り返る。追手が来るどころか、扉を開けようとする音すらしない。

(まぁ殺しても死ななさそうだしな、あの人…。)

“ヘマすんなよ”

まずは言われた言葉を守る為、海陸を支えながらいち早く安全な場所を目指す。

「燈夜…」

「?どうした?」

「気持ち悪い。」

「え、マジ?…あ、おい_」

嶺亜に“荷物”として抱えられたまま容赦なく頭を揺らされた海陸が限界を迎えたらしい。海陸はその場にへたり込んでしまった。

「悪い、あの人たまに小走りだったもんな。抑えてくれって言えば良かったな。」

「……。」

目が回っているのか、首を振っているのか、頷いているのかもよくわからない動きだ。

「まぁでも悪い人じゃないぞ。…良い人でもないけど。」

「………_」

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな呟き。

でも確かに“僕は好きじゃない”と聞き取れた。途端に燈夜が吹き出す。

「はは、ごめん。お前でもそういう事、言うんだなって思って…」

「?」

燈夜の笑いの意味は海陸にはわからない。怪訝な顔をする海陸に燈夜が背を向ける。

「嫌いなヤツに説教されるのもムカつくだろ?ん。背負ってくから。」

「…嫌いとまでは、言ってないよ。」

そう言いながらもまた嶺亜にどやされるのは嫌らしい。大人しく従い、燈夜の背中に身を預けた。

「あの人なりに考えはあるみたいだ。お前がその…調整、だっけ?される前に助けたいって言ったら聞いてくれたしな。無事に会えたら礼、言おうな。」

「……。」

声にこそは出さなかったが海陸が頷いたのを背中越しに感じた。


「燈夜。どこに…向かってるの?」

頭の中の地図を辿って排気口から再び排水路、そして坑道へ。迷いなく歩いていく燈夜。

「そんなもんわかるじゃん。帰るトコは一つしか無いだろ?」

重い金属の扉を開かれた。見覚えのある光景に思わず顔を上げる。

道の先には、楼蘭の孤児院があった。

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