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水玉はじけて輝くひかり―5―完結

 

 その後の話をしよう。 

 まず浩平だが、修二に殴られた。有無を言わさず二度三度。

 浩平は事情がつかめないのは仕方ないが、今回のすれ違いの原因はほとんどが浩平の冗談のせいである。 佳帆も苦笑いを浮かべるだけで止めもせず、茜は大体の事情を察して「黙って殴られてろ」とだけ言った。浩平が涙目だったのは言うに及ばない。

 そして茜だが、何も言わず、水晶の破片を片付けていた。修二らがずぶ濡れで帰ってくると、何も聞かずお風呂に案内してくれた。既に暖かいお湯が張ってあり、なにもかもお見通しのようだった。夏だというのに冷えた体で湯に浸かると、茜の優しさが身に染みた。

 修二は相変わらずぶっきらぼうに振舞っていたが、時折何かを思い出したかのように赤くなっていた。少し可笑しくなったのではないかと茜は疑っているが、佳帆はその理由を知っている。

 佳帆は壊れた水晶の破片を茜にもらい、研磨して、二つのペンダントにした。随分ちいさくなったな、と呟きながらペンダントを見つめる修二に、こもった気持ちの量は変わってないよ、と告げた。修二は顔を赤らめ視線を背け、佳帆が彼の胸に飛び込むという一連の流れができたのも、この事件があったからだ。

 そして、一番の変化と言えば――


「おい佳帆、なににやにやしてんだ、行くぞ?」

「うん、待って」

 夏の終わりが近づき、修二らの高校生活がそろそろ始まる。その最後の休みに、修二と佳帆は休みを合わせ、水族館に来ていた。以前ちらっと佳帆が水族館に行きたいと言ったのを、修二はちゃんと覚えていてくれたのだ。

嬉しさのあまり、どうしてもはしゃいでしまう。

「あんまりはしゃぐなって、危ないだろ」

「だって!」

 ため息混じりに文句を言う修二だが、満面の笑顔で振り向かれると何も言えなくなってしまう。

「ほら、手。繋ぐぞ佳帆」

 差し出された手は、とても大きい。佳帆は自分の小さな手を重ねる。

「私を見失わないでね?」

 うるせえと小さくつぶやきそっぽを向く修二の腕に、体ごと絡みつく佳帆。歩きづらいだのなんだの文句を言う修二に佳帆は満面の笑みで言う。

「大好きだよ、修二君!」




 あの日弾けた小さな水玉は、確かに佳帆と修二の心を離した。だが、今は欠片となって彼らの絆を支えている。輝きだした晶(ひかり)は彼らの未来を照らすように、優しく静かだった。

 



 夏。

 例年より少しばかり暑く、蝉の多いその年。

 修二は彼女の名前を初めて呼び、

 佳帆は自分の思いに素直になれた。

 そんな小さくも暖かな、物語。





 ここまでお読みくださってありがとうございました。水玉はじけて輝くひかり、これにて完結です。今後彼らがどうなっていくのかは皆さんのご想像にお任せいたします。

 さてこのオーディオドラマを小説化しよう! 企画ですが前回投稿の【キミソラ。】も今回の【水玉】も短編といえば短編ですね。長編のオーディオドラマがこのあと控えているのですが、次は冬に上げていきます。次の話が冬の話なのでね、ちょっとだけ季節感を……え? なんで【水玉】は夏に上げなかったのかって? それは大人の事情です。

 次回の予定は既に立っています。前回あとがきでも書きましたように、遂にファンタジーに手を出します。ええ書いちゃいますよ! そしてこれは私が書きたい作品の前準備とだけ言っておきます。そして何を隠そう私は捻た話が書けません。なので完全に王道な、誰でもシナリオ展開わかるよ! とういうような物語になること請け合いです。……あれ? これいったら読者って離れちゃうのかな、まあいいや。

 それでも歴史や、神話など、その辺りから考え始めるので、重厚な物語になることは保証します。楽しみにしていてください!

 

 ここまで後書き駄文にお付き合いくださいましてありがとうございました! よければオーディオドラマも聞いてみてください! ではまた会いましょう!

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