第三章:魔王城、ビジネスを始める
「観光業です」
謁見の間に集まった魔王軍の幹部たちが、全員首をかしげた。
「かんこう……業?」
「人間は、怖いものを見たがります。魔王の城、というのは相当な観光資源です」
幹部の一人、ドラゴン族のバルドが鼻息を荒くした。「人間どもを城に招くというのか! 我々の誇りが……」
「一人頭、入場料を金貨三枚にしましょう」
バルドが黙った。
「月に百人来れば、金貨三百枚。年間三千六百枚です。現在の食費が年間約五百枚ですから、七倍以上の収入になります」
静寂。
「……誇りより金貨か」とバルドが呟いた。
「誇りと金貨は、両立します」私は続けた。「怖くて格好いい魔王城、という商品を売るんです。弱くて情けない姿は見せない。むしろブランディングです」
「ぶらん……何?」
「格好よさを売る、ということです」
三日間の議論の末、魔王が決断した。「やってみろ」
観光業の開始と同時に、私はもうひとつの改革を進めた。
スタッフへの給与制度の導入だ。
「毎月、これだけ支払います」私は給与表を配った。「働きに応じて、ボーナスもあります」
城中が騒然となった。
「給料……もらえるんですか?」とグルタが震える声で言った。
「はい」
「今まで一度も……」
「知っています。だから今日から変えます」
グルタが、ごつい手で目をぬぐった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
グルタの「グオオオ」、いかがでしたか。
次章ではいよいよ魔王城の観光業が始まります。
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「転生したら魔王の経理担当だった」
著者:九十九 ぐるり
次回もよろしくお願いします!
九十九 ぐるり




